FILE57  ハンゲショウ
7月初旬 開花が始まる
白化した葉 花序のクローズアップ
8月下旬 白化が戻りつつある
 
 ハンゲショウは半夏生と書き、別名をカタシログサ(片白草)とも言います。
暦の上では、夏至から11日目を半夏生といい、平成12年の今年は7月1日でした。この半夏生のころに、花を開き、葉が白くなるから半夏生と呼ばれると、一般には理解されています。茎の先端の葉数枚が、一部分だけ白く変わるので(それも表側だけなので)、片白草とも呼ばれます。
半化粧(葉の一部だけ白いので、白粉を塗りかけた、つまり半分しか化粧ができていない)とする理解もあります。
 このことについて、團伊玖磨さんは、昭和58年7月15日のアサヒグラフ誌上で興味深い随筆を書かれているので、概要を紹介いたします。( )内は私の付けた注です。

 (暦の)半夏生の語源は、どの暦の解説書にも、辞典にも、丁度この頃半夏(ハンゲ:カラスビシャクという植物のこと)が生えるからだと記してあって一寸不思議な気がする。暦の上で半夏という候があって、その頃に生える植物の名が半夏生になったのなら判るが、半夏の方が植物の名として先にあって、その植物が生える頃だから半夏生という候が暦に載るというのだから、順序が逆な気がする……その仏炎苞(サトイモ科の小草で、マムシグサのような仏炎苞をもった花を咲かせる)が出るのが今頃(暦の上での半夏生のころ)なのである。従って、半夏生の語は、(生の字が付いてはいるが)半夏が生えるからではなく、半夏の花が咲く頃の意味なのであろう。……結局、
半夏という植物が先にあって、その半夏の花が咲く頃だから半夏生という暦の上の候が出来、その半夏生の候に茎の先端の二、三枚の葉が白化する半夏生という植物の名(異彩を放つ植物があり、そのものの名を半夏生とつけた)が生まれたという事になるのだろう。ややこしいことである。 
 それにしても、半夏生の名はどうも半化粧の方が感じが出る。……その先端の二、三枚の葉を白化させているのを見ていると、花魁(おいらん)か芸者か知らないが、玄人筋の女が鏡台の前で厚化粧に取り掛かっている最中に、用を思い立ってふと立ち上がったような姿に見えてならない。……もう少し論理的な見方は、この葉の白化は、注意深く見ると表側だけで、葉の裏側は淡い緑色をしているので、表側だけ化粧して、あとの半分、裏側は化粧していないと見て半化粧の名が付いたのではと考えることも出来る。古和名の片白草はそうした観察から付いた名であろう。中国では三白草と呼び、上の一枚が白化した時には小麦を食らい、二枚目が白化した時には梅や杏を食らい、三枚目が白化した時には黍(きび)を食らう、などと言う。

 長文にお付き合い下さいましてありがとうございました。
 ハンゲショウは6月の終わり頃から、茎の先端部の葉数枚が部分的に白くなります。これは、葉の表側の表皮の下にある柵状組織の葉緑素が抜けるからだと言われています。マタタビも同じような現象を起こします。ところで、ハンゲショウはドクダミ科の植物です。ドクダミでは、
花序の下に4枚の白い苞(総苞)をもっています。ハンゲショウで部分的に白化を起こす葉は、決まって花序に向かい合った葉です。つまり花序の付け根にある葉なのです。まだ苞になりきっていないということで、苞(総苞)に関して、ドクダミよりは原始的と言うことなのでしょう。白化した葉は、花が終わると下の写真のように次第に緑に戻りますが、元のような緑にはなりません。


花模様