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FILE51 ナガハシスミレ Viola rostrata Pursh var. japonica (W. Becker et H. Boiss.) Ohwi (スミレ科 Violaceae) 学名は日本の野生植物 2 平凡社 による |
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図1 スギ植林地の林縁で見られた群落(平成13年4月14日:石川県小松市) |
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図2 距が長く後ろへ跳ね、花が正面から押しつぶされたように咲いていることが多い。特に上弁が後ろへ反り返るので、花の形から言えば今ひとつの感がする。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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図3 花の横顔(2005年4月8日:金沢市) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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スミレの仲間の花は、後方に距(きょ)と呼ばれる膨らみを持っています。ナガハシスミレは、この距が特に長いので長嘴菫(嘴の長いスミレ)と名付けられています。天狗の鼻のようにも見えるところから、テングスミレ(天狗菫)の名もあります。いずれも、名は体を表すで、覚えやすい植物です。距が長いほかに、花弁が強く反り返るのも特徴のようです。しかし、中にはタチツボスミレと紛らわしいものもあります。 世界的には、北アメリカ東部と日本に遠く離れて分布します。また、国内でも、北海道南部から鳥取県までの日本海側に広く分布します。しかも、東北や関東の太平洋側や四国などにも点在するという不思議な分布を示しています。 距:スミレには5枚の花弁があり、下側の中央の花弁は下弁(かべん)と呼ばれ、その後方が袋状になって突き出ています。おんどりの蹴爪(けずめ:距)のようであるところから、距と呼ばれています。 距の中へ、雄しべから伸びた尻尾のようなものが入り込んでおり、雄しべの距または脚柱と呼ばれます。脚柱の先端に蜜腺があり、そこから分泌された蜜が距の中に貯まっています。ちょうど観察中に先端から蜜が分泌されてきました(図6、図7)。この蜜を目当てに花を訪れる昆虫に、花粉の媒介をさせることになるのですが、ナガハシスミレの距は特別に長いので、長い口吻をもったビロウドツリアブが送粉者になると言われています。 |
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