『雨の日の2人』   

 

 

 

 

ザ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「雨だな、葵ちゃん」

「そうですね、雨ですねぇ」

「………………………」

「………………………」

学校裏の神社の境内に佇む2人。

先程、急に降り出した雨……

これから練習を始める所だった俺達は、何かやりきれない想いが残る。

外で練習する俺達にとっては、雨は常に大問題だった。

 

「今日は練習……無理みたいだな」

「えぇ、残念です。こう言う時に、室内が使えればいいんですけど……」

葵ちゃんは申し訳なさそうに呟く。

「この同好会が部に昇格すれば、室内の使用許可を取る事も可能なんですけど……」

「それには部員を5人以上集めなくちゃな」

あいかわらずこの同好会のメンバーは、俺と葵ちゃんの2人だけだ。

「でも、俺としては葵ちゃんと2人っきりの練習の方が楽しいけどな」

「せ、せんぱい………それは私も、同じです…………

今では俺も葵ちゃんも以前ほど必死に、部員の勧誘をやってない。

 

「まあ仕方ないさ、こうゆう時は気分を変えようぜ」

「どうするんですか?」

「気晴らしにパーっと遊びに行かないか?」

雨はとても止みそうに無い……こんな日は、練習熱心な葵ちゃんを遊びに誘う絶好の機会かもな…。

「パーっと……ですか?」

葵ちゃんは考えている、もうひと押しだ。

「そうだ、考え方を変えて見るんだ。この雨は、いつも一生懸命に練習している葵ちゃんに、

すこしは休め、って神様が降らせてくれたんだって」

葵ちゃんはクスッっと、微笑み。

「そうですね…たまには息抜きも必要ですね、ここは神様の言う事にしたがいましょう」

「よし、じゃあさっそく行こうぜ!」

俺は立ち上がると、相変わらず雨が降り続いている空を見上げ、

   『サンキュ〜、恩にきるぜ』

突然沸いた、葵ちゃんとのデートを神様に感謝した。

ふと葵ちゃんを見ると、何か困っているようだ?

「どうかしたか? 葵ちゃん」

「はい、え〜と…あの……私、今日かさ持ってきてないんです」

えへへ、と葵ちゃんは苦笑いを浮かべる。

「なんだ、そうなら早く言えばいいのに、ほら」

俺は、傘を差し出す。

「えっ!」

「いっしょに入ろうぜ、葵ちゃん」

「…………………」

「あいあい傘だな」

「は…はい……」

葵ちゃんは真っ赤になって照れている。

本当、葵ちゃんはかわいいなぁ。

 

その後俺達は、あいあい傘で駅前の方に歩いて行った。

う〜ん、らぶらぶだ(笑)

 

 

『雨の日の3人』 につづく

 

   

 

 

 

 

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