た〜なさん○○歳誕生日記念SS  **

【彼女の探している人♪】

〜かのじょのさがしているひと♪〜

作者 : かすき(風水樹)

 

 

いびき。

いびきをかいていた・・・。

「うがぁ〜〜〜っ・・・ふみゅぅ〜ん、ふみふみ・・・・・」

・・・・・いびきだろうか?

と、とにかく・・・少年が寝ていた。

ここは広さ25畳ほどのリビング。

朝日の差し込むフローリングの綺麗な床に、汚れひとつない壁。

そこに彼は横になっていたのだ。

ふと見上げると、照明がまだついていた。

彼はゆっくりと起きあがると、辺りを見渡す・・・が!!

「・・・・・・・・・」

目の前に、ストレートのロングの髪を広げて寝ている女の子がいた。

その子に寄り添うように、セミロングの髪にカチューシャをかけた女の子と、髪をツインテールにしていた女の子が寝ていた。

「・・・・・・ぐはっ!!」

思わず脳天に電撃が走る。

あまりの刺激に、目を横へと向ける・・が!!

「うぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜っ!!」

それを見て叫んだ。

ロングの髪にリボンをつけた女の子に、また、抱き合うような形で眠る黒髪の女の子。

あまりにも悩ましかった・・・。

慌てて反対を向く彼の視線に入ったものを見る。

「・・・・・・・・」

・・・硬直した。

一人の女の子が、必死にスケッチブックでデッサンをしていたのだ。

「あ・・あのぉ〜・・・・・」

「話しかけないでください! 今、いいところなんです!!」

そう言って、夢中で手に持った鉛筆を走らせている。

ショートカットの髪型にチェックのストールを巻きつけた女の子。

彼女の顔は、可愛らしい口調とは裏腹にとりつかれたような形相だった。

「・・・・・す、すいませんが・・」

「出来ましたぁ〜!!」

彼が再び尋ねようとした瞬間、彼女が嬉しそうな表情で万歳の格好をして喜んだ。

その笑顔を見た瞬間・・少年の胸の高鳴りを覚えた。

「あ、ごめんなさい・・・私ったら、夢中になっちゃって。私・・・美坂 栞って言います♪」

すると、ぺこっとお辞儀をする。

『か、可愛いぃ〜〜〜〜っ!!』

この瞬間、彼は彼女の虜になった。

「お、俺はこの家の隣に越してきた・・・」

名前を言おうとした時である・・・2人は見つめられる視線を感じた。

「だ、誰だ!!」

「ここの家のものです♪」

彼が叫ぶと同時に、雰囲気とは反対の明るい声で返事が返ってきた。

「あら・・もう起きられたんですか?」

そう言って、頬に手を添えて微笑む。

「・・・・あ、あのぉ〜・・・」

「はい? ・・・ああ、私、お邪魔でしたか? ごめんなさいね」

「いえ、違うんです! そ、そのぉ〜・・・」

「はい?」

女性2人の視線を集めた彼は、照れながらも勇気を振り絞って尋ねた。

「あのぉ〜・・・昨日、俺の引越し祝いをしてくれたのは感謝しています」

「いいえ・・たいしたことしてませんよ♪」

「で・・確か、ここの家にはあなた・・」

「秋子です。 水瀬 秋子」

「あ、すいません・・秋子さんと、娘さんのお2人しかいないと聞いたのですが・・・」

恥かしそうに、でもしっかりとした口調で問い出す。

「はい。私と娘の2人だけですが・・・それが何か?」

「では、この子達は?」

そう言って、辺りを見渡す彼に秋子はそっと呟いた。

「・・・・・コンパニオンです♪」

「・・・・・」

彼はあっけらかんとした表情で固まる。

それを見た秋子は、嬉しそうに笑うと一言。

「冗談です」

にこにこと微笑んで見せた。

「え〜と・・・え〜と・・・・・」

「昨日、近所を歩いていたので、パーティーにご招待したんですよ♪」

「私もご招待されたんです♪」

そう言って、隣で聞き入っていた栞も笑顔で答える。

一瞬、頬の筋肉が緩んだが、慌てて持ちなおすと再び聞きなおす。

「この子達は、秋子さんの知り合いの子ですか?」

「いいえ、初対面ですよ♪」

平然と答える秋子。

「初対面って・・どうしてそんな子を・・」

「大勢の方が楽しいですから♪」

「・・・・・・・」

何も言えなかった。

普通、見知らぬ人を連れ込むのも問題だが、ついて来る子も問題である・・と彼は思った。

その時、ふと思い出したように栞へと視線を戻す。

「そう言えば、栞ちゃんはさっき何を書いていたんだい?」

ちょっぴりかっこよく、優しい口調で尋ねた。

「・・・ロリ」

不意に、床に寝ていたツインテールの女の子の寝言が聞こえた。

「ほっとけ!!」

彼は思わずつっこんだ。

「え〜と・・・ちょっと早く起きちゃったんで、あなたの絵を・・・」

ほんのりと頬を赤らませて、語尾が消えるような小さな声で恥かしそうに言う。

『めっちゃ、俺好み!!』

そう思いながら、うっとりとしていたが・・・。

「・・・・・たこさん・・18歳未満禁止」

「・・・あはは・・・・・」

どこからか寝言が聞こえた。

「・・・・・こいつら、みんな漫才師か?」

一気に現実へと戻された彼は、脱力感に満たされる。

それを振り切って、もう一回尋ねてみた。

「もしよかったら、見せてくれないかなぁ?」

「えっ! だ、だめです!! 私、絵・・下手ですから・・・・・」

突然の申し出に戸惑う栞。

でも・・・。

「頼むよ・・引っ越してきて、知り合った記念に・・ね♪」

彼も必死に笑顔で友好的に申し込む。

「でも・・・見たら、後悔しますよ?」

「そんな事ないさ。きっと、嬉しいに決まってるじゃないか! ね、だから・・・」

「う〜ん・・・じゃあ、知りませんよ・・後悔しても・・・・・」

そう言うと、渋々スケッチブックを彼へと手渡した。

「ありがと、栞ちゃん♪」

少年は満面の笑みを送ると、ゆっくりそのスケッチブックを開いた。

そして・・・・・。

「・・・・・・・・・・・」

絵を見た瞬間、動けなくなった。

「・・・ね、後悔するって言ったでしょ?」

くすくすっと笑みを浮かべる栞。

「こ・・これって・・・・・」

そこには、今にも女の子に襲いかかりそうな彼の姿が、妙にリアルに描かれていたのだ。

慌ててそのページを破こうとするが・・・。

「無理です・・それ、破くことも・・燃やすことも消すことも出来ない、特殊な紙なんです♪」

にっこりと笑うと彼女。

「こ、こんなの描いてどうすんだよ!」

思わず怒鳴る彼だが・・・。

「アイス・・・私、好きなんです♪」

「・・・・・・・」

それから、彼の記憶はなかった・・・・・。

その後・・彼は自分の家から出ることはなかったという。

もちろん、学校へも・・。

なぜなら・・・・・。

パーティーから数週間後、水瀬家に祐一が引っ越してきて数日が過ぎた、ある日の学校のとある場所。

「なあ・・誰か待っているのか?」

祐一がそう尋ねたその相手は・・・栞だった。

「はい・・ちょっと、知り合いがこの学校に・・・」

そう言って、おとなしい口調で答える。

「そうだ、一緒に昼飯でも食べないか?」

優しく誘う彼の言葉に、彼女も嬉しそうに頷いた。

「じゃあ、私・・アイスがいいです。できれば、バニラ♪」

「アイス? この寒いのに?」

「はい。私、アイスは大好きですから♪」

「そっか・・・じゃあ、買ってくるから待ってろな・・・」

そう言い残すと、祐一は校舎へと走っていく。

それを見ていた栞は・・・。

「最近、あの人が見つからなくて、アイスを食べてないんです♪」

独り言を呟いた・・・。

そして、その後・・栞はいつまでも、アイスをただで食べれる生活を送っていたそうな・・・。

 

そうそう、そう言えば・・引っ越してきた隣に住む彼はというと・・・・・。

いつのまにか表札を残したまま、再び引っ越していったそうです。

その表札には・・【他亜菜】と書いてあったらしい・・・・・・。

 

 

〜FIN〜

 

 

 

【あとがき】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!

ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!

これ、SSかな・・・。(汗)

ほんとはラブラブなSSにしようと思ってたのですが、誕生日SSだから変わったものにしようと・・・。

変わり過ぎちゃいました!(爆)

こんなのがお祝いかぁ〜? (⌒▽⌒;

でも、本人・・楽しんで書いてましたが。(苦笑)

SS祭りが近いもので、あまりネタが使えない分、変わったものに挑戦させてもらいました。

このSSを書いて、思ったこと・・・。

 

『私は、ギャグは向いていない!!』

 

はっきりわかりました。

しかも、た〜なさんを知ってる人にしかわからない、最後のオチ(?)。

あう〜・・・・・やっぱり、ラブラブにすればよかった・・・。

今度はちゃんとした贈り物を用意しますんで、お許しくださいませ!!

最後に、本人(た〜なさん)のことを弁護しますと・・お兄ちゃん属性ですが、襲いません!!(爆)

手は出しますが、襲いません!! (⌒▽⌒;

可愛い子に、お兄ちゃんと呼ばせますが、襲いません!!(しつこいって・・)

・・・・・・・・。

以上、フォローでした・・ぐはっ!!  (T▽ T(( C===−−−( ̄_  ̄#

 

ではでは・・・た〜なさん、○○歳のお誕生日・・本当におめでとうございます!! \(*⌒▽⌒*)/

これからもますますのHPのご発展と、お体の健康をお祈りしております。

それでは、また・・・。

                          2000.3.20. 23:11  福島の自宅より  かすきでした♪