2003 山スキーシーズンを終えて

今シーズンの僕はいつものシーズン以上に山スキーに没頭した。メジャーな山域だけ
でも昨年11月の白山山頂からのスキーを手始めに12月の槍が岳,年が明けて大日岳,
薬師岳,朝日岳,奥穂高岳,鹿島槍が岳と山頂または直下からのスキー滑走に明け暮
れてかなりのエネルギーを費やした。そのすべてが日帰り山行であった。振り返って
みると昨年11月から今年の6月までの雪のあるワンシーズンに実に40回のスキー山行
を行っていた。ゲレンデスキーは一度もなく,そのすべてが山に出かけて自分の足で
登って滑ると言う山スキー一途であった。

一週間の内水曜と日曜が当院の休診日だから週によっては水曜日曜と連ちゃんでほぼ
毎週のように山に出かけていた勘定になる。山でのスキーは人に会うことも稀でどっ
ぷり自然に浸れて嫌なこともすべて忘れられるので文句無しに楽しく自己陶酔に浸れ
る。また日頃の仕事のストレス発散にもなる。さらに自己の能力の限界に挑戦できる
と言う魅力がある。今シーズン最もつらかった山行は3月の北ア・大日岳山行であり
立山町から山頂まで標高差2000m以上を単独でラッセルしながら進むという,登りだ
けで実に9時間半を要し1日13時間以上も山で悪戦苦闘していた。正に自分の気力と体
力の限界に迫ったスキー山行であった。下山後は大きな仕事を達成した充実感に酔い
しれてしまった。

また今シーズン行った山行の中でも奥穂高岳,鹿島槍が岳,鑓が岳山頂などの3000m
前後の頂から滑ったスキーは正にエクストリームスキーと言っても良いだろう。40度
を超す斜面というのは上から見ると正に真っ逆さまに落ちるような急斜面である。ゲ
レンデならいざ知らず山の斜面は落石やアイスバーン,クレバスなど至る所に落とし
穴がある。これらをうまく避けながら岩に挟まれた狭く急なルンゼを滑るのは快感で
はあるが,一歩間違えれば危険極まりないことも事実である。

ただし実際滑っている自分は絶対転倒することはないという自信だけはある。なけれ
ば滑ることはできない。急斜面をジャンプターンの連続でやり過ごしていくこのよう
なエクストリームスキーでは転倒イコール死を意味することになり転倒すればまず止
まることはない。山スキーはある意味で底なし沼のようなもので難しい斜面を滑れば
滑るほど益々より難しい斜面を滑ってみたくなるものである。どこまで行ってもきり
がないのである。今シーズンも剣岳山頂からの滑走に失敗した山スキーヤーが滑落し
て命を落としたように,いわゆる馬鹿は死ななきゃ分からないと言った具合である。

今シーズン少し激しく滑りすぎたのでメ−ルで自重を促す手紙が多く寄せられた。来
シーズンは少し遠慮をしようかと考えるがシーズンが終わらない内にまた来シーズン
用の板を買ってしまった僕は来シーズンも相変わらず山スキー中毒から抜け出せない
かも知れない。

鑓が岳中央ルンゼ

ホームへGo

随筆集へGo