山岳写真

山を始めた当初は写真なんてまるで興味が無く,山行に写真機を持っていくことはな
かった。しかし山行を積み重ねるに連れ,使い捨てカメラ,コンパクトカメラを持っ
て写真を撮るようになった。山中で神の存在をも信じたくなるような素晴らしい景色
に出会うことも多くなると是非ともこの千載一遇のチャンスを写真に収めない手はな
いと当時の一眼レフカメラでは最高峰とされたキャノンNewF-1を購入することになっ
た。交換用のレンズもいくつか持ち三脚を含めると重量はかなり重くなっていった。
まして山岳写真が最も映える山の朝焼けや夕焼けの写真を撮ろうとすると山中でテン
ト泊をすることが避けられず,すべての装備の上に写真装備を担ぐ冬山の写真山行な
どになると30kg近い荷物を担いで黙々とラッセルをするという地獄のような試練の繰
り返しであった。

それでも僕の山岳写真にかける情熱は止むことはなく,写真機は更に大型の中判カメ
ラへとエスカレートしていった。また個人の山のHPを開設するようになるとその日の
山行を随時更新するためにデジタルカメラも必ず携行するようになった。

山岳写真ほど過酷で根気と体力のいる写真は他にはあるまい。冬山の朝焼けや夕焼け
の写真などはまさに僕にとっては一枚一枚が命がけで撮影されたと言っても過言では
ない。だから山の写真を見ていただく場合にはその写真一枚の背景にどれほど苦労が
あったかと言うことを少しは理解して欲しいと期待するわけである。

このようにして撮影された貴重な写真を眠らせておくのはもったいないと開業を考え
ていた頃開業した暁には是非とも待合室に山で撮影したお気に入りの写真を飾る本格
的なギャラリーを作りたいと夢を膨らませていた。夢は3年前に現実のものとなり,
開業にあわせて設計士に医院待合室にギャラリーを作ってもらった。個々の写真にス
ポットライトまであたる本格的なものである。

開業後このギャラリーの評判はすこぶる良いようであり,診察そっちのけでギャラリー
の写真だけを見せて欲しいとの問い合わせも多く,そのような場合は受付に断らなく
ても気軽に勝手に見ていって下さいと応えている。遠く県外から噂を聞きつけて写真
を見に来てくれた方もいた。

ギャラリーの写真はその年に撮影したお気に入りの納得のいくものだけを大角にまで
引き延ばして飾ってある。再来患者さんに同じ写真ばかり飾ってあると言われないた
めにも季節ごとにまめに写真は交換しているし,入れ替えの写真を撮影するためにせっ
せと山にも通っている。いつまで体力が続くかは分からないが体力と気力の続く限り
ギャラリーの写真を入れ替えていこうと考えている。

院内ギャラリー

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