白馬鑓が岳中央ルンゼ滑降写真(2903m)
鑓中央ルンゼは2903m山頂から標高差約1000m落ちる急峻な狭いルンゼである。このルンゼ
の実際の滑降写真をついに撮ることができた。落石も多く危険なルンゼ内での決死の撮影であった。
山頂にて
左から僕・深澤・塚田,猿倉から約5時間の行程である。
ルンゼ全景
山頂直下は絶壁,2250mがノドで最狭部は幅3m程度。
いざ滑降
いよいよ滑降開始,此処が最大の核心部。転けたら一貫の終わり。
直下絶壁へドロップ
山頂からジャンプターンで絶壁をやり過ごしていく。これが最大の見せ場。
標高2850m
標高2850mの狭い岩場をすり抜けていく。転けたら岩に激突。
標高2800m
どこまでも急斜面が続いていく。一瞬たりとも気は抜けない。
標高2700m
大展望を見下ろしながらの快適な滑降。雪質は最高のザラメで恐怖感は全くなかった。
標高2600m
見上げれば上部に稜線が見える。
八方尾根を見ながら
標高2500m辺りも素晴らしい斜面が続いていた。数日前の降雪で落石は隠れていた。
標高2500m
どこまでも自己陶酔の連続。
標高2400m
下ではギャラリーが大勢僕たちの滑降を見ていてくれた。
標高2400m辺りも広々として気持ちがよい。ルンゼ上部は落岩が少ないが,徐々に増えていく。
いよいよノドへ
標高2300m辺りからいよいよノド(最狭部)へ向けルンゼは狭まっていく。
標高2250mノド部分
ルンゼの落石はすべてノドに落ちてくる。最狭部は2〜3mである。
ノドの見上げ
ノドは落石の危険地帯なので一気に抜ける。
ノドを過ぎて
ノドを過ぎるとだんだんルンゼは広くなり斜度も緩むが,落石には十分注意しよう。
安全地帯標高1900m
ほぼ標高差1000mを滑り降りて安全地帯に出た。ようやく一息ついた。
山行記録2004年5月2日(日)
1週間前悪天で敗退した白馬鑓,今日は中央ルンゼでリベンジを果たしてきました。
今日の中央ルンゼは雪も豊富で雪質も良く,落石も比較的少なく良いコンディション
でした。シュプールはなく今シーズン初滑降かも知れません。
【山域】白馬鑓が岳中央ルンゼ 2903m
【場所】長野県
【日時】本日 5月2日(日)
【コース】猿倉−大雪渓−鑓が岳−中央ルンゼ−小日向のコル−猿倉
【メンバー】僕・深澤・塚田
【装備】サロモン・Verse7 150cm,ディアミール3,ガルモントGライドg-fit(僕)
K2・summit 153cm,ディアミール2,ローバストラクチュラ(深沢)
ハーガン 160cm,ディアミール3,スカルパチタン(塚田)
【天気】晴れ
来る者は拒まず去る者は追わず,今日もメールで是非同行をと依頼のあった福井の塚
田さんを加えて3人で白馬鑓を目指した。深澤君が夕方5時から同窓会があるというの
で今日も早朝速攻スキーであった。
5月1日(土)塚田さんとは約7年前一度白山でお会いしたことがある。猛烈なラッセ
ルで山頂を目指していたその馬力は強く印象に残っていた。先日1本のメールが届き
ならばと次回の山行をお誘いすることとして今日の同行となった。
夜7時前金沢出発。高速に乗って糸魚川で下車。いつものようにすし活でちらし寿司,
今日も焼山帰りの静岡のスキーヤーが訪ねてきてくれたとマスターは感激していた。
とっても美味しいお店なので後立山山行でもここでの晩飯は定番となりつつある。特
上ちらし3200円しかないでしょう。
ここから一路猿倉へ,1週間前に比べ路肩の雪は減っていたがまだまだ十分な量であ
る。猿倉で深澤・塚田両君と合流。時は既に夜10時,朝3時発なので塚田さんは先に
就寝するとのことであった。僕と深澤君はいつものようにパジェロで酒盛り,睡眠時
間を削っても酒だろう。飲んだらさあもう寝るぞ・・・
5月2日(日)朝2時起床。もう皆さん起きているようだ。急いでうどんを食べてアミ
ノ酸もしっかりとることにした。僕たちが一番出発のようである。
3.10 1235m 猿倉下駐車場発。まだ雪は多く駐車場横林道からすぐにスキーが使え
以後雪は途切れることがなかった。天候が気になって度々空を見上げる。周囲にはガ
スが立ちこめていた。嫌な気分。
3.44 1350m 大雪渓取付。かなりのハイペースもう汗だくでアウターを脱いで下着1
枚で十分だった。大雪渓は深いガスで何も見えない。既に主稜に取り付くパーティが
チラホラいる。皆気合いが入っている。次第にガスが晴れ朝陽が昇りだした。なかな
か良い雰囲気だ。
その後も写真を撮りながら3人マイペースで歩く。大雪渓上部で振り返ると小さな登
山者が多数見える。2号雪渓からのデブリはすごかった。
6.10 2355m 小雪渓。急登を乗り越すと稜線は間近だった。頑張っていきますか。
塚田さんも予想通り強かった。
7.11 2600m 稜線。ようやく稜線に来た。太陽は燦々と輝き稜線付近でもザラメ雪
になっている。この稜線から鑓まではアップダウンもあり少々難儀した。途中ルート
を誤ったたため時間は少しロスしてしまう。鑓山頂から杓子沢に落ちる急斜面は雪が
少なくこのコースは却下することにした。となると中央ルンゼしかないか。深澤君も
是非是非という顔をしている。
8.01 2700m 鑓が岳−杓子岳間鞍部。ここの少し手前でスキーを担ぐことにした。
スキーを担いで強風の中シコシコ登り上げる。ようやく山頂である。
8.30 2903m 鑓が岳山頂。今日は天候は良く写真も撮りまくったので昨年より30分
時間はかかった。山頂で記念写真を撮り周囲の絶景に舌鼓をする。深澤君は早く中央
ルンゼにドロップしたくてうずうずしている。塚田さんは中央ルンゼはちょっとと鑓
温泉経由で安全策をとった。僕は2度目なので今日は初めての上部右又狙いとする。
9.00 2903m 鑓が岳山頂発。ほぼ山頂からエントリー,エントリー部はほぼ絶壁,
ここが核心である。先に少し下って深澤君のドロップを写真に撮ることにした。さあ
スタート。ジャンプターンの連続で深澤君は落ちていった。超エグイ,決まってる。
僕も負けじとジャンプの連続。今日はザラメで最高の状態である。昨年と比べても落
石は少なく斜面もスベスベである。互いに先頭を譲り合いバチバチと写真を取り合う。
なかなか良い写真がたくさん撮れた。
自己陶酔に浸りながらドンドン下るといよいよノドである。此処が一番の危険地帯で
ある。上部の落石はすべて此処に集中してしまうからだ。それでも昨年と違い落石は
ほぼ皆無であった。でも油断しないで一気に安全地帯まで下ることにした。
ギャラリーも大勢見てくれている。やはり快感である。下手な滑りはできない。
ノドを過ぎればだんだんと広くなりいよいよルンゼのフィナーレを迎えることになっ
た。
9.46 2135m ルンゼ終了。下には塚田さんが待っていてくれた。ビールを冷やして
くれていてご馳走になった。ようやく危険地帯から脱出した。今日は最高の滑降が楽
しめた。雪よし,斜度よし,天気よし,こんどこそもう此処を滑ることはないだろう。
10.08 1640m 杓子沢下部。ここから小日向コルの登り返しである。振り返れば中央
ルンゼに僕たちののシュプールが確かに刻まれていた。
10.49 1824m 小日向のコル。テントを張る人も多かった。周りの景色をのんびり眺
めながら感慨に浸った。後は猿倉へ滑り降りるだけ。ゴーゴー。
11.10 1235m 猿倉下駐車場着。深澤君は昨年のリベンジが果たせたことをいたく感
激していた。今日も大満足,完全燃焼であった。
此処で別れ僕は急いで金沢に戻り,家族を連れて家族サービスに出かけた。これがで
きて初めて一人前のスキーヤかも知れません。自己満足だけではいけません。