旭岳東面(仮称中央・稲妻ルンゼ)(2867m)
旭岳は白馬岳の西に聳える2867mの独立峰である。その東面は切れ落ちておりスキー滑走はかなりスリリングである。
猿倉を起点に旭岳山頂から東面の2本のルンゼを滑り降りた。
朝焼けの大雪渓
朝3時に猿倉を出発。大雪渓で夜が明け,真っ赤に染まる大雪渓を黙々と歩く。
赤天狗菱
天狗菱も真っ赤に染まった。
旭岳東面のルート図
青が中央ルンゼ,赤が稲妻ルンゼいずれも仮称。時期によって残雪量が異なるためルートもかなり変化する。
よって名前の付けようがない。ハイシーズンは東面はほとんど雪で埋まる。6月前後は岩が露出してより変化に
富んだスリリングなコースを提供してくれる。
いざ中央ルンゼへ
山頂には雪庇があった。それをクリアーして急斜面に飛び込む。上部の斜度は50度弱程度か。
無事滑走体制に
最初の急斜面をこなせばあとはジャンプターンの連続で高度を落とす。柳又まで高度差約300m。
岩が出ているので絶対転けてはいけない。
どこまでも急斜面
柳又まで一応な急斜面が続く。
中間から見上げ
深澤君が宙に舞っていた。
中央ルンゼ下部
岩をすり抜けると斜度は緩み安全地帯に入ることになる。
稲妻ルンゼ
2本目の稲妻ルンゼもエントリーに雪庇がある。こちらは更にランクアップ。斜度も更に急。
いざエントリー
少し下って写真を撮るため待機した。立っているだけでもつらいほど急傾斜。
上部に雪庇が見える。こちらもジャンプの連続で高度を下げる。
中間核心部手前
中間で更に斜度は増す。下がよく見えないほど。
中間核心部
このあたりの斜度は50度を遙かに超す。下はよく見えない。シュルンドもあるので要注意だ。
中間部で宙に舞う
中間部核心でまたもや宙に舞う深澤君。
無事安全地帯で
核心部をこなし安全地帯で一息する。ビビリ顔で真っ青の深澤君。
稲妻下部
下部でようやく斜度は緩み柳又へ快調にGo
無事滑り終えて
無事滑り終え深澤君を待つ。真ん中に米粒のように見えるだろう。いずれのコースも高度差は約300m
山行記録2003年6月4日(水)
オフ宣言した方も多いと思いますが,僕たちの挑戦はまだ続いています。
旭岳東面の稲妻ルンゼ(勝手に命名)は初滑走かも。誰かいたらご連絡下さい。
【山域】旭岳東面 2867m
【場所】長野県
【日時】本日 6月4日(水)
【コース】猿倉−大雪渓ー旭岳山頂−中央ルンゼ滑走−旭岳山頂登り返し−稲妻ルン
ゼ滑走−柳又登り返し−稜線−大雪渓経由猿倉
【メンバー】僕と深沢君
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12(僕)
カービング150cm,ディアミール,TR9(深沢君)
【天気】晴れ時々曇り
白馬周辺の名だたるルンゼの中でも旭岳東面のルンゼはまだ雪質も良くこの時期でも
まだ荒れてはいない,標高差300m弱と一度の山行で2度楽しめる。昨年中央は滑った
ので今年は稲妻も滑ろうと深ちゃんを誘った。この人なら平日でも来るだろう。
6月3日(火)前日急遽メールを入れて山梨の深ちゃんを誘う。もちろん二つ返事でOK
だった。仕事が終わった夜7時過ぎMTBを付け一路白馬へ。北陸高速を糸魚川でおり最
近定番になった市内のすし活で腹一杯寿司を食べる。お勧めは特特上寿司3700円。一
度是非,とても美味しいです。
さて深ちゃんに電話を入れると夜7時半には猿倉に着いたと。僕も急いで猿倉へ,
夜10時過ぎ到着。深ちゃんのバン以外誰もいなかった。軽く打ち合わせの後僕はビー
ルを飲んで寝てしまった。夜中に仕事の電話が鳴って眼が覚める。結局3時間弱しか
寝れなかった。
6月4日(水)朝2時半起床。急いで荷をまとめる。気持ち悪く朝飯を食べる元気はな
かった。
3.00 1230m 猿倉駐車場発。1分も無駄にしたくない僕たちは当然MTBで大雪渓を目
指す。予想外の悪路でとてもMTBは乗れたモンじゃなかった。まあ帰り用である。そ
れでも根性でガンガン押しまくる。
3.33 1445m 林道終点 自転車デポ。深ちゃんのMTBは調子が悪く空気が完全に抜
けたが空気入れはあったので帰りも大丈夫。
ここから雪は問題なく稜線まで続いていた。まだまだ雪は多い。シールでガンガン大
雪渓を登る。途中朝焼けが大雪渓を真っ赤に染めたので何度も立ち止まり写真を撮る
ので時間はいつもより多いにかかってしまう。今日は写真家にもなる。標高2200mで
斜度が増したのでスキーを担ぐ。
6.08 2400m 小雪渓取り付き・公衆トイレ。このあたりも雪は多く小雪渓も雪は途
切れることなく稜線に伸びていた。上空を何度も荷揚げヘリが往復しうるさかった。
6.54 2780m 村営小屋上稜線。ようやく到着。まだ雪が堅いのでゆっくり旭に向か
う事にする。お目当ての中央ルンゼ,稲妻ルンゼは雪がつながっており楽しめそうだ。
7.49 2867m 旭岳山頂着。ふーう到着。山頂から中央ルンゼを見下ろすとかなりの
斜度深ちゃんはこれまでで最も傾斜がきついと少しビビリ顔。僕は昨年滑っているの
で楽勝ムードである。それでは交互に滑りながら写真を撮ることにする。
8.05 2867m 旭岳山頂発東面中央ルンゼ滑走。雪庇の横を一気にダウン。なんとま
あスリリングな急斜面か。2度目の今日も随分感激深い。鑓中央や2号よりは更に斜度
はありそうだ。途中岩が出ておりその間をくぐるので更にスリルは増す。転けたら最
後岩に激突だろう。僕が先行しビシビシ写真を撮る。やはりモデルがいると写真は良
く決まる。あっと言う間に素晴らしい雪質の標高差250mを滑り降り柳又へ。
8.17 2600m 柳又谷。フーッ見上げるとなかなかの光景。さてお次は稲妻ルンゼで
ある。こちらは更に斜度は増し岩の露出も多いのでジグザグルートでスリルは大きい。
根性で登り返す途中ルートはよく観察した。シュルンドは危険である。
8.54 2867m 旭岳山頂着。さあダブルヘッダーですね。深ちゃんはさらにビビリ顔
だが,二人で滑れば怖くないと腹は据わったようだ。さあ行きますか。エントリーは
雪庇。すごい高度感。最大斜度は60度近くあるかも知れない。さてお先に行ってカメ
ラを構えるとするか。
9.15 2867m 旭岳山頂発東面稲妻ルンゼ滑走。Goジャンプ,ジャンプで高度を落と
す。写真を撮るために所々急停車しなければならないのでちょっとつらいが,今日の
雪質なら楽勝である。岩をすり抜けすり抜けシュルンドに気を付けて,二人完全に自
己陶酔。スキーという魔法の板があればどんな斜面も怖くない。不思議だ。二人交互
に先頭に立ちながらえぐい斜面もドンドンジャンプターン。ようやく安全地帯で安堵
感。
9.30 2550m 柳又谷着。二人顔を見合わせ無事を確認。このコース初滑走ならいい
ねと喜び合う。
9.40 2550m 柳又谷発。あとは稜線向かって登るのみ。
10.23 2800m 稜線着。
10.30 2800m 稜線発。もう着いたも同然。あとは惰性で大雪渓を下るのみ。そろそ
ろ膝にきて早く下りたい一心。平日にも関わらず10人程度の登山者とすれ違う。
10.59 1445m 林道終点 自転車デポ着。自転車で良かった。
11.26 1230m 猿倉駐車場着。累積標高差は2200mほどか。今日も充実した山行を終
え白馬飯店で祝杯を上げた。
勝手に名付けた稲妻ルンゼ。誰か滑られた方いましたらご連絡下さい。