新.新.山スキー道具について(僕の独断と偏見)

                 H23.12改訂

 道具について基本的に値段に関係なく良い物,信頼できる物しか使用しません。

一度使って没にした山道具もかなりあります。山スキーは命がけです。お金には代えられません。

当然スキーのメンテナンスはすべて自分で行います。山行終了時にワックスがけはもちろん

ビスの緩み,エッジ研ぎ,ビンディング,シールに至るまで細かく必ずその日にcheckします。

これが終わって初めて山行終了です。妥協は許しません。

 ついでに山スキー道具、ウェアー類は帰宅途中の車中で暖房ガンガンで乾かして自宅到着時に

すべて次の山行スタンバイになります。

 

最近の板の長さと種類に関しての考え方。(身長170cm・体重58kgの僕の場合)

 山スキーをはじめた頃は180cmを使用していました。カービングが出てきて幅広く曲げやすく安定性が

向上してからは長い板は不要になり年々短くなりました。山の中では短ければ短いほどかっては

良いはずです。170,160,150と比較してみて現在のような幅広のカービングスキーなら

残雪期に滑るだけなら150でも全然問題ないという結論に達しました。

山で使う板は山スキーから選ぶ必要はなく,ゲレンデ用でも軽量な板なら問題ありません。

山スキー板はどうしても大量生産できないため値段が割高になり,メーカーも力を入れたがりません。

ゲレンデ用でも軽量で幅広のカービングの良い板はいくらでもあります。

ただし極端なカービングとなると堅い斜面のトラバースでエッジのかかりが悪く危険になります。

雪の締まった残雪期なら短くかつ幅広でそこそこのカービング板160cm 前後がベストです。

これから残雪期山スキーをはじめられる方は160前後の板で山に入ってください。ただし板の性能が悪ければ

ダメですから評判の板をよく比較して選択してください。

ただしラッセル不要の残雪期と猛烈なラッセルになる厳冬期では同じ板と言う訳には行けません。

お金に余裕があれば使い分けを行い厳冬期はフアットもしくはスーパーファットスキーが浮遊力が良いため滑りも

ラッセルも楽です。TLTを使えば近年板の重さはさほどでもなくなりました。

スーパーファットにTLTを付ければ179cmのヘルベントでも2.8kg程度の重量ですみます。

現在使用中の厳冬期用の板、厳冬期でも降雪直後でなく比較的締まった雪質ならファットで十分

ファットスキー:ブラックダイアモンド バーティクト 180cm

        サロモンポケットロケット       165cm  

        アトミックシュガーダディ      153cm          

ファットスキーはトップからテールまでとても太くできています。ゆえに浮力が増し特にパウダーでは良く浮いて

くれます。さらに悪雪でも安定した滑りが期待できます。しかし重量が増し,シールも太くなるため登りではかなり

足に負荷がかかります。ただし冬季のラッセルでは沈みが軽減でき重さ以上のメリットがあります。ファットスキーの

中でも比較的軽いのがポケロケで165cm(これ以下はない)で現在後継機もあります。ファットの中でも重量

安定感は評価の高い名機です。しかしアトミックからさらに短いタイプで重さもポケロケより軽いシュガーダディ

が発売されました。僕がこれまで追い求めていた短く,軽く,太いを満足させてくれる理想の板だと思います。

2007から激パウダー用にバーティクト180cmを買いました。TLTをつければシュガーダディより軽くできました。

この長さと太さがあれば激ラッセルもかなり楽にこなせます。この三本のファットスキーを雪の状態で選択します。

やはり最高の滑りが楽しめるのは厳冬期です。この時期を楽しまないで山スキーとは言えません。

上からバース7150cm・シュガーダディ153cm・ポケロケ165cm・BDバーティクト180cm

重さはディアミール,スキーブレーキを付けた状態で片方が上から順に2.2−2.4−2.7−2.3(これはTLT付きで)kgです。

湿雪ラッセルでは雪がスキー本体にまとわりつき苦労することがあります,ホームセンターで

売っているシャベルなどに使う着雪防止スプレーをかけておくと雪をよくはじいて快適です。

気をよくしてアイゼンにもかけてみました。

スーパーファット PONTOON,Herbent

板の浮力はその面積に比例するのでとくに深い雪や緩斜面ではスーパーファットの威力が発揮される。

Pontoonは160-130-120と普通の板と比較するとその太さが歴然とする。一度この板で激パウを

体験するともうこれしか無いと言う感じになってしまう。ラッセルもかなり楽である。

シールはブラックダイアモンドの140cm幅のものを使えばちょうど良い。問題無し。

PONTOONのもう一つの特徴はトップとテールの反りである。この反りのおかげでラッセル時でも

トップは必ず雪の上に自然と出るのでとても楽に進める。

問題の重量はTLTを使えば重さは片方2.85kg(179cm)であり山での使用にそれほど苦にならない。

厳冬期を滑るならPONTOONやHerbentが一押しでしょう。サイズは169,179,189がある。

一方ヘルベントは150-122-141、 Pontoonは160-130-120でトップは負けるがテールは太くややカービング系

どちらの板もトップもテールも反っていて厳冬期のラッセルはとても楽、現在厳冬期はもうスーパーファットしか使わない。

どちらの板も169cm 179cm 189cm から 179のスーパーファットが使いやすい。

折角スーパーファットを買うなら179cm辺りが浮力もありその真価が発揮できる。

スーパーファットとTLTspeedの組み合わせがこれからの厳冬期定番になるだろう。

ビンディング:これからは TLTspeedがベストだろう

過去エメリークロノ,ジルブレッター404、ディアミールを使用しましたが、最近はTLTのみです。

現在ディアミールは外してほぼすべてTLTに切り替えました。

TLTは慣れるまで少し使いずらいですが一度この軽さに慣れてしまえばもうディアミールには戻れません

TLTに合う靴は限られますが最近は各社ともTLT用の靴をドンドン出して来ています。

それほどTLTの評価が高いと言う訳です。解放値の設定も左右前後10まであり十分です。

TLTspeedはブレーキが無いのでテレマーク用の流れ止めを利用していますが不便はありません。

TLTspeedの欠点はクトーをはめるプラスチックが壊れやすい点、写真のように購入時に強化ボンドで補強して

おいた方がベター。

TLTspeedの注意点は歩行時のレバーをしっかり上げる事カチット音がするまで上げないとすぐに外れてしまう。

レバーを上げる時はウィペットセルフアレストのピックを使うと屈まなくとも楽に上げられる。

またビンディングのバネの下に雪が詰まるとしっかり締まらないのでやはりピックで雪を除いておく。

開放値は6〜7外れてはいけなない危険な場所では8〜9です。TLT専用クトーもフアットスキーにあわせて幅広いものが

出ています。最大で135mmのものもありスーパーファットにも対応可能です。

ただし135mmはTLTspeedのみの対応となります。

使用方法さえ誤らなければTLTは歩行時にも外れやすいと言うことはありません。

ディアミールは山行中の破損で痛い目に何度か遭いましたが、TLTはまず問題ないと思います。丈夫です。

靴:ガルモントメガライド

ガルモントシリーズでもこの青の靴は重さが1680gと軽くさらに4バックルでTLTも使えるので

最近では一番のお気に入りである。歩行も滑りもともに満足できる。

足が靴に合わず靴擦れが出来る方は専門のチュンナップ店か登山店で足形を取って熱処理をしてもらいましょう。

驚くほど足にフィトして快適な歩行が可能になります。

インナーがすれて穴が空いたらインナーのみ注文することが出来ます。

インナーのかかとの部分とくるぶしの部分はすれやすく穴が開きやすいので新品の内に

補強しておいた方が良いです。僕はわずか1年で穴が開きました。

インナーの補強には当たる場所に生地の強いガムテープを当てておきます。

擦れてきたら新しいガムテープに張り替えます。これで長もちします。

ガルモントメガライトg−fit

ガルモントシリーズで最軽量なのがこちらちと値段は少し高いが

重さは1.48kgと約400gも軽くなった。インナーも熱形成可能なサーモインナー

である。バックルは一つ減ったがさほど問題は無く,登りや移動距離が長い

ハード山行に選んで使用している。

ストック:ブラックダイアモンド2段

ブラックダイアモンドの2段式を使っています。もちろんジョイントは回転式ではなく

ワンタッチレバーです。これなら厚手の手袋をしていても調節可能です。回転式は凍ると

使用不能になります。ゲレンデ用を使用する人も多いようですが,登りと下りで長さを変え

られる2段式が無難です。ゲレンデ用ストックリングは山スキーでは潜ってしまい全く役に

立ちません。カーボン製の細いタイプも出ており,耐久性には問題無いようです。

 最近はピックが付いたウィペットセルフアレスト(ブラックダイアモンド)を必ず両方持つようにしています。

登りのモンキーラッセルで有用な事はもちろん硬いアイスバーンでもこれがあれば安心です。

これを持つようになってピッケルは不要になりました。ピックカバーはホースにゴムを付けてOK。

シール:ブラックダイヤモンド、G3 シールの実際の加工

ブラックダイヤモンドのシールはこんな感じ、最近はブラックダイヤモンドしか買わないようになった。

スキーに張り付けた状態で周囲をカッターで切った上,はんだごてで周囲を焼きました。

これで周囲の糸のほつれを防ぐ事ができます。

いずれにせよシールは消耗品と考えて下さい。シールは周囲が最初に痛むのでスーパーファット用のシールが痛んだら

周囲を切ってファット用さらに細板用にと使い回す事も可能です。またシーズン始めには特にテールや端だけは

糊を付け足しておいて下さい。シールの不調は冬山では命取りになります。

冬のクラストした斜面ではシールが役に立たず,クトーを使用します。

シールをカットする場合は滑走面が極力出ないようにします。

トップとテール以外は滑走面が出なければベストです。エッジは隠れていても

まず問題はありません。カービングの幅広シールならかなりの急斜面でもガンガン登行する事

が出来ます。幅広シールは登りがとても楽です。シールの糊の善し悪しで山行は大いに影響を受けます。

張り付きは強いに越したことはありません。

またシールは張り流しタイプが好みで使っています。

張り流しタイプでは剥がす際にはプラスチックの板を使用しています。何処で折り曲げるかを迷わないように

油性ペンで真ん中に印を付けておけば良いでしょう。張り流しを使用する場合テール部分の5cmほどは

しまう際に次回張る時はがしやすくくっかないように自作のプラスチックの板をあてておきます。

プラ板は100均でプラスチックまな板買って自分で切りましょう。

厳冬期にシールを濡らすとだんごが出来て大変な事になります。シールは決して濡らさないように徒渉などは十分

注意しましょう。

春先の降雪直後はシールワックスを塗っても一度だんごが出来るともう厳しい状況になります。

 

朝スタートする時は車内で暖まった板にシールを付けた状態でしばらく外に出して立てて冷やしておいて下さい。

シールが暖かい状態で歩き出すと新雪が溶けてシールが濡れてしまいます。

最近のワイドシールは貼り付が強すぎて難儀する場合がある。付属の網を使いで張り合わさないとはがれない。

付属のシートはブラックダイアモンドは今一、G3のシートは使いやすい、別売でもG3を買いましょう。

ワックス:山行中雪質にあわせ三種類の固形ワックス,コルクは持参します。気温,標高,

雪質に応じて使い分けています。春先の湿り雪,厳冬の粉雪など雪質によりWaxは変更します。

塗ったあとしっかりコルクで伸ばします。

特に緩い林道ではワックスの差が滑りに出ます。山では標高によって雪質は変わりますので

新雪、湿雪、ザラメ用の三種類が必要でしょう。事前にワックスを縫っていなければシールの糊が

スキーに付いてしまいますので山行終了後にワックス掛けをしておきましょう。アイロンでなくても

構いません。スプレーでも構いませんからしっかりコルクで延ばしておいて下さい。

先日噂のノットWAXを購入し使用しました。噂どおり滑りはよいのですが値段があまりにも高くて

(小さな液体瓶で1900円)今のところ一般向きではありません。

 

おまけの自作ノーズガード作り方へ

サングラスに付けるノーズガードは100均の牛革キーケースを切って作る。

写真のように紐と留め金を付ければどのようなサングラスにも対応出来る。

ノーズガードは凍傷予防や日焼け止めなど一度使うと手放せない。目出し帽はいらない。

その他装備としてどんなところへ行く場合でも(日帰りだろうが低い山だろうが)シャベル,

ツェルト,高度計,コンパス,ライト,十得,2.5万分の一の地図は最低限自分で持ちます。

もちろん磁北線は必ず何本も引いておきます。仲間がいればビーコンは常識です。

近年はGPSが最大の武器になっています。これのおかげで初めての土地の真夜中スタートが

可能になりました。コロラド300使っています。使いやすくて便利です。

 最低でもシャベルがあれば雪洞が掘れるため命を失うことはありません。

雪洞の中でロウソクをつけるだけでまずまず暖かいものです。また,危急時は骨の一本や二本

折れても自力で這ってでも戻って来る気力は必要でしょう。連れが歩けなければ負ぶってでも

帰ってくる根性がなければ安易に雪山に入ることは避けた方が良さそうです。

 以上独断と偏見いっぱいで書いてみました。あくまでも軽く聞き流して下さい。自分が

信用している道具が一番です。

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