鍬崎山(厳冬期日帰り) 2089m 富山県
鍬崎山はその天を突くような秀麗な姿から富山のマッターホルンとも呼ばれる。雪の締まる残雪期なら日帰りも楽だが
厳冬期は累積標高差約1700mの激ラッセルが行く手を阻む。しかしその労に余るほどのパウダーを楽しめる。
粟巣野スキー場を起点に大品山経由で山頂を目指す。大品山からの100mの下りと1756ピークの巻きが面倒。
大品山北面の激ラッセルに耐えて山頂に着くと遥か遠くの先にとんがった鍬崎山の頂が見える。
ここからの下りが疲れた体にこたえる。鞍部に降りてからが本番である。
鞍部からラッセルは更に厳しくなり斜度が増すと大腿部まで潜った。行くしかない。
素晴らしき樹氷の中黙々と高度を稼ぐ。
青空も広がり始めモチベーションも全開。
尾根の左手には弥陀ケ原を始め立山方面が箱庭のようだ。
1756ピークは登り上げるのは困難で右から巻いたがここが危うかった。安全な向こう尾根まで斜滑降で高度を落として
登りあげる事にした。
1756を巻くと正面に鍬崎がどーん。残り300m,行くしかない。
この辺りから吹きさらしでラッセルは楽になり足は早くなる。
左手の雪庇に気を付けて所々クラスとした斜面を慎重に行く。
ようやく辛い闘いが終わる。
山頂から薬師岳をバックに記念写真。今日のような激ラッセルは175cmのポケロケが有利です。
薬師岳稜線では雪炎が舞っていた。
山頂から快適なパウダーを頂く。
樹氷を縫うようにして快適なパウダーが続く。頑張って良かった。
ここの斜面が最も素晴らしいパウダーを楽しめました。
名人とテール滑りの競演
この快適そうな滑り,皆さんも是非
下の鞍部までずっとパウダーでした。さあ登り返して大品北面パウダーを頂きましょう。
本日は11時間行動,お疲れさまでした。
山行記録2007年2月4日(日)
昼前から快晴になる絶好の本日、激ラッセルに耐え鍬崎山山頂を目指しました。累積
標高差約1700m、11時間に及ぶ厳しい山行でしたが激パウダーを楽しめました。
【山域】鍬崎山 2089m
【場所】富山県
【日時】2007年2月4日(日)
【コース】粟巣野スキー場―大品山―鍬崎山往復
【メンバー】僕・名人
【装備】アトミックシュガーダディ 153cm,ディアミール,ガルモント(僕)
ポケロケ 175cm,ディアミール,ガルモント(名人君)
【天気】雪のち快晴
前日ギリギリまで行き先が決まらなかったが、厳冬期に鍬崎山を日帰りする人はまず
いないだろうとパウダー狙いで挑戦する事にした。
2月3日(土)この日仕事を終え名人と富山市内のとろ一に夜8時前待ち合わせとした。
久しぶりのとろ一宴会、ウナギ蒸籠、鱈汁、すり身揚げ、唐揚げ、つまみ諸々大満足
で店を出た。
粟巣野スキー場では月が出ていた。とろ一の差し入れをつまみに酒有り宴会を夜遅く
まで続けた。明日は楽勝だろうと解散。夜中に小便がしたくなって深夜3時に目が覚
めた。ドアを開けると雪がどさっと落ちてきた。激しい雪が降っている。やばい。朝
までに車の屋根に15cmの新たな積雪があった。
2月4日(日)朝4時起床。相変わらず激しく雪は降っている。急いで支度だ。
5.00 610m 粟巣野スキー場駐車場発 スキー場では圧雪車が作業を始めていた。
辺りは真っ暗だ。車にひかれたら大変と圧雪車の来ない樹林帯やコースの端をラッセ
ルしながら歩いていく。踝から靴程度のラッセルで大汗をかいてリフト終点に着く。
5.52 830m リフト終点 ここから昨日のものと思われるトレースがうっすら残るが
相変わらず雪は降り続き厳しいラッセルは更に続く事になった。
6.41 1000m 貯水池横尾根取り付き この辺りでようやく明るくなる。ここからト
レースはなく黙々と膝下ラッセルは続く。しかし名人のポケロケなら靴程度とその差
は歴然だった。やはり20cmの板の長さの差は随分違うと実感。
斜度が増すと大腿部までシュガーは潜る。厳しい、果たして鍬崎に届くだろうか。頑
張るしかない。
8.37 1420m 大品山山頂 ハアー辛かった。まだ天候は今一で風も強く寒い。ここ
から標高差で100mのラッセル下りは辛かった。帰りの事を考えトレースはジグとした。
8.55 1330m 大品山下り鞍部 ここで積雪調査。3mの積雪だった。十分で藪は隠れ
ていた。ここからのラッセルは更に過酷だった。延々と膝下が続く。たまらず名人の
ポケロケを借りて先頭で頑張る。やっぱ楽だわ。
11.00 1700m 鍬崎山北西尾根1700m ここからが最大の難所であった。尾根は痩せ
ていて急すぎるし雪庇もバンバン、トラバースするのも危険。敗退の2文字がよぎる。
地形を読んで枝に捕まりながら際どいトラバース。雪崩れても下に落ちないように踏
ん張る。斜度が緩んだところで安全な向こう尾根に斜滑降で下って登り返す事にした。
格闘する事1時間、標高はまるで上がらなかった。タイムリミットは午後2時に設定。
行くしかなかろう。安全地帯までトラバースして回り込むと山頂が正面にどーん。モ
チベーション全開でラスト高度差300m頑張った。
ようやく念願の山頂が目前だ。辛かった闘いがもうじき終わる。
1.22 2089m 鍬崎山 着きました。8時間半の苦闘でした。山頂からは薬師岳を始
め立山、剣岳、大日と絶景だ。弥陀ヶ原が箱庭のようだ。記念写真を撮ったら行くぜ
よ。
1.49 2089m 鍬崎山発 うわー、激パウです。このために頑張った訳です。フェイ
スショットの連続であっという間に鞍部まで下った。1時間とかからず鞍部へ。
2.42 1330m 大品山下り鞍部 ここからシールで登り返す。
3.16 1420m 大品山山頂 さあもう一度パウダー三昧です。こちらも最高でした。
3.48 1000m 貯水池横尾根取り付き
3.50 830m リフト終点 ここからも樹林帯に入り最後までパウダーさせてもらい
ます。
4.00 610m 粟巣野スキー場駐車場 着きました。今日も辛かったですが激パウ大
満足です。厳冬期の鍬崎は甘くはなかった。
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