笠が岳(穴毛谷)2897m 岐阜県
笠が岳はメインルートから外れているためこの時期でもスキーで出かける人はほとんどいない。
毎年大雪崩が発生する穴毛谷,原始的なにおいがする静かな谷である。この谷を詰め杓子平経由で
穂高の展望を楽しみながら笠を目指そう。
新穂高より左俣林道を歩くこと30分。林道分岐から終点穴毛谷堰堤へ。大きな堰堤がいくつかあるが
堰堤はすべて右岸から楽々乗り越せた。
穴毛谷雪渓末端
堰堤を乗越歩くことしばらくで雪渓末端だった。ここから荒れた谷をシールで歩きだそう。右岸には順に
1から6まで名が付いた沢と出会う。どれからもデブリがすごい。雪の状態が良ければ5の沢からは
直接笠に行けそう。
穴毛谷下部
穴毛谷下部からは焼岳がまずみえてくる。深い谷は徐々に傾斜を増していく。両岸からの落石雪崩には
十分注意しよう。
穴毛大滝
標高1960m に穴毛大滝が見える。滝は雪のため小さく見えた。滝は右手のザイテンタールを詰めて
滝上に出るのがよい。ここからはガチガチのアイスバーン傾斜も急なためアイゼン歩行としてスキーを担ぐ。
このままザイテンタールを詰めても杓子平に出ることができる。
滝上から見た乗鞍岳
ザイテンタール中間よりトラバース。此のあたりで左手小尾根を乗越し大滝上部に出た。
此処で再びスキーを履き杓子平を目指す。だんだん視界が開け素晴らしい景色が広がっていく。
振り返れば乗鞍が一望できる。
杓子平
標高2400mあたりが杓子平素晴らしい斜面である。帰りはこの斜面に抜戸岳からシュプールを刻もう。
杓子平らから見た笠
笠が岳はまだまだ遠い。まずは稜線を目指す。
稜線
稜線上は雪庇がゴロゴロし夏道を進んで稜線には出られない。写真左の岩峰(夏道の左地図上2753mピーク)
に出る小尾根に乗って稜線を目指す。傾斜はかなり急でありスキー歩行は慎重を極めた。
稜線直下から見た穴毛谷
慎重に稜線を目指す。傾斜は急であり滑落すれば穴毛谷まで真っ逆さまである。この尾根の先では雪庇は切れていた。
穂高連峰
稜線直下から穂高連峰の景色を楽しむ。槍から西穂まで大展望が広がる。このコースの最大の魅力である。
抜戸岳
笠から抜戸岳までの稜線は写真のように雪庇がつながっている。ブロック崩壊には十分注意したい。
午前中には稜線に抜けないと危険である。
稜線から見た笠が岳
稜線からもいくつかのアップダウンが笠まで続く。雪庇には十分注意しながら笠を目指そう。
笠手前
笠がだんだん迫ってくる。右手小笠を過ぎ山荘が見えたら最後の一登りである。
山頂にて
ついに標高2897m 笠が岳山頂着。残念ながらガスと雲で穂高の雄大な景色は望めなかった。
回りからガスが湧き出してきているためもたもたできない。シールをはずし記念写真を撮ったら出発だ。
山頂にて
山頂からは小屋が小さく見える。さあお待ちかねの滑走である。
杓子平のシュプール
下りは播隆平からも行けそうだがやっぱり抜戸岳山頂から杓子平を下るのが最もダイナミックで
楽しめそうである。稜線伝いに引き返し杓子平にシュプールを刻んだ。あとは新穂高まで一気に滑り込む。
今日も充実した一日であった。
山行記録2001年5月4日(金)
時刻-標高-場所
3.55 1075m 新穂高駐車場
4.30 1305m 林道終点 穴毛谷堰堤
4.51 1360m 一の沢
5.09 1420m 雪渓末端スキー歩行開始
5.27 1570m 三ノ沢
6.42 1960m 穴毛大滝
7.18 2080m ザイテンタール中間より大滝上部
8.00 2400m 杓子平
9.37 2750m 稜線着
11.08 2897m 笠が岳山頂着
11.25 2897m 笠が岳山頂発
12.24 2812m 抜戸岳着
12.36 2812m 抜戸岳発
1.03 2400m 杓子平
1.20 1960m 穴毛大滝
1.34 1420m 雪渓末端
2.01 1305m 林道終点 穴毛谷堰堤
2.14 1075m 新穂高駐車場
GW後半以前から狙っていた笠が岳を山頂から滑ってきました。
【山域】笠が岳(2897m)
【場所】岐阜県
【日時】5月4日(金)前夜発日帰り
【コース】新穂高−穴毛谷−杓子平−稜線−笠が岳−稜線−抜戸岳−穴毛谷−新穂高
【メンバー】単独
【装備】アトミックβライド9.22160cm,ディアミール,TR12,アイゼン,ピッケル
【天気】晴れのち曇り
笠が岳はメインルートから外れているためこの時期でもスキーで出かける人はほとん
どいない,よって静かな山行が楽しめる。以前から是非とも滑りたかった山の一つで
ある。
5月3日(木)やっと天気が回復するとのことで午後金沢出発。目指すは新穂高である。
夜7時頃新穂高到着。登山センターで入山届けを出し,駐車場に車を止め車中泊とし
た。
5月4日(金)朝3時起床。このルートは稜線からのアップダウンがあり笠が岳までア
プローチが長いためかなり気合いが必要だと思いいつものように早朝スタートだ。今
回は買ったばかりの最新式マウンテンバイク同伴である。
3.55 1075m 新穂高駐車場発。いつものようにライトをつけマウンテンバイクにま
たがった。快調な滑り出しである。きつい登りも何のその穴毛谷堰堤下まで自転車で
こぎ切った。帰りは楽である。
4.30 1305m 林道終点穴毛谷堰堤。ここで自転車をデポ,スキーを担いで歩き出す。
堰堤はすべて右岸から楽々乗り越せた。
4.51 1360m 一の沢。最初の沢である。やはりデブリはあるが昨年の猛烈なデブリ
はない。昨年は春に大雪崩が起き作業員が数名亡くなっている。耳と目をとぎすまし
慎重に進むことにする。
5.09 1420m 雪渓末端スキー歩行開始。さあいよいよスキー歩行開始である。両サ
イドからのデブリはすごいが歩行に支障はない。下部は緩斜面で歩きやすい。
5.27 1570m 三ノ沢。右岸に出会う沢に順番に名が付いている。笠が岳は五の沢か
らも詰められそうだが昨夜上部で雪が降っているはず,やはり雪崩の危険性は高く杓
子平経由で稜線に立つのがもっとも安全である。
6.42 1960m 穴毛大滝。さあお待ちかねの大滝である。滝は雪のため小さく見えた。
滝は右手のザイテンタールを詰めて滝上に出るのがよい。ここからはガチガチのアイ
スバーン傾斜も急なためアイゼン歩行としてスキーを担ぐ。
7.18 2080m ザイテンタール中間よりトラバース。此のあたりで左手小尾根を乗越
し大滝上部に出た。此処で再びスキーを履き杓子平を目指す。だんだん視界が開け素
晴らしい景色が広がっていく。振り返れば乗鞍や穂高連峰が一望できる。笠が岳もよ
く見える。さあ待ってなさい。
8.00 2400m 杓子平。ここから稜線にどう抜けるか迷った。稜線上は雪庇がゴロゴ
ロし夏道を進んで稜線には出られない。夏道の左地図上2753mピークに出る小尾根に
乗って稜線を目指す。傾斜はかなり急でありスキー歩行は慎重を極めた。
9.37 2750m 稜線着。何とかかろうじて稜線だ。しかしここから笠までかなりの距
離である。気合いを入れ直す。稜線はガチガチのアイスバーン。おまけに左手には巨
大な雪庇が出ているため気は抜けない。途中ヒールフリーで下降中雪に突っかかり転
倒顔面をクラストした雪面で強打,痛かった。出血してしまう。気をつけなければ。
笠はさらに先だ。GWだが誰もいない。笠から来る人もいない。独占状態である。いく
つかアップダウンを経てようやく山荘横を通過,笠までもうすぐだ。
11.08 2897m 笠が岳山頂着。やったやっと笠だ。残念ながらガスと雲で穂高の雄大
な景色は望めなかった。回りからガスが湧き出してきているためもたもたできない。
シールをはずし記念写真を撮ったら出発だ。
11.25 2897m 笠が岳山頂発。下りは播隆平からも行けそうだがやっぱり抜戸岳山頂
から杓子平を下るのが最もダイナミックで楽しめそうである。稜線伝いに引き返すこ
とにする。笠山頂からのスキーは快適だった。真っ新な斜面に僕だけのシュプールを
刻み込んだ。下りきったところで再びシールをつけまたもやアップダウンを繰り返し
やっとの事で抜戸岳直前に。丁度二人パーティが穴毛谷から稜線に上がったところで
ある。
12.24 2812m 抜戸岳着。やっとの事で山頂だ。二人パーティとほとんど言葉を交わ
すこともなくいよいよ山頂からスキーイングである。視界は今ひとつだが満足感に浸っ
ていた。
12.36 2812m 抜戸岳発。山頂から杓子平までは実に快適だった。まだ誰のシュプー
ルもないためやはりど真ん中を滑るしかない。
1.03 2400m 杓子平。写真を撮りながらあっという間の滑走は終わった。ここから
腐った雪を転倒しないように慎重に滑り降りる。
1.20 1960m 穴毛大滝。ここからは両サイドの落石やデブリに警戒しながら一気に
滑りおりる。
1.34 1420m 雪渓末端。無事終了。ここでスキーを洗いかついだ。
2.01 1305m 林道終点 穴毛谷堰堤。此処で自転車に乗り一気に新穂高まで下る。
2.14 1075m 新穂高駐車場。
下山後バス停前浴場で汗を流し,向かいの食堂でカツ丼を食べビールを飲んだ。やは
りベースキャンプは新穂高に限る。時間もたっぷりあるので持参したパソコンで山行
報告を打っている。明日は新穂高から抜戸岳でも行こうか。