厳冬期富良野岳山頂滑降(原始ヶ原から)
原始ヶ原経由で長い林道ラッセルに耐えてピークを目指した。予想通り11時間半に及ぶ厳しい山行に
完全燃焼した。
いよいよ今回の山行中最も難易度が高い原始ヶ原経由の富良野岳ワンディである。一
般的なコースである十勝岳温泉に比べ標高が900m低く、しかも長い長い林道ラッセル
が行く手を阻む。厳冬期このコースからピークを目指す人はほとんどいないだろう。
まさに元旦山行にふさわしい記録になる。芦別岳から下山後再び白銀荘で汗を流して
登山口になる林道まで車を走らせる。
しかし目指す林道の遥か手前の道で通行止めとなっていた。除雪が十分されていなかっ
たが車が一台通った轍があったので恐る恐る少し先まで車を侵入して車中泊とした。
【山域】富良野岳 1912m
【場所】北海道
【日時】20012年1月1日(日)
【コース】布部川林道発-三の沢出合-前富良野岳と富良野岳コル-富良野岳往復
【メンバー】僕、あんちゃん
【装備】ヘルベント179cm,TLT,スカルパマエストラーレ(僕)
ヘルベント179cm,TLT,ガルモント(あんちゃん)
2.15 390m 林道発
4.23 720m 登山口 避難小屋
5.34 880m 尾根取り付き
8.13 1359m 前富良野ー富良野コル
10.01 1763m アイゼン歩行開始
10.46 1912m 富良野岳山頂着
11.00 1912m 富良野岳山頂発
11.37 1359m 前富良野ー富良野コル
12.26 880m 尾根取り付き
12.58 720m 登山口 避難小屋
13.41 390m 林道着
今日はかなり厳しい山行になるので深夜1時過ぎに起床した。予報は今一の天候で晴れ
は期待できなかった。
2.15 390m 林道発 さあ行くぜ,あんちゃん。今日ももちろんトレースは無い。黙々
と林道の靴ラッセルである。この時期ヘルベントでなければラッセルは務まらない。
暗闇の中GPSだけを頼りに林道の複雑な分岐を慎重に歩いて行く。
この林道長い上にアップダウンも多く帰りも苦労しそうである。行けども行けども先
が続く。時々地図に無い分岐が出て来て時には誤った道に入り込み無駄足を踏む事も
あった。2時間以上交代でラッセルに耐えてようやく夏の登山口に着いた。
4.23 720m 登山口 避難小屋 ここには立派な小屋があったが鍵がかかっており
入れなかった。この時期利用する人もいないのだろう。この先もアップダウンが続く
長い林道を超えてようやく目指す尾根の取付に着いた。
5.34 880m 尾根取り付き ここまで3時間以上の辛い林道ラッセルだった。前富良
野岳南尾根はいきなりの薮尾根で這い上がるのに苦労した。這い上がるとようやく疎
林になる。当初トラバースしながら原始ヶ原に出て夏道をコースにとる予定だったが
複雑な地形で高度を上げざるをえず途中から前富良野岳と富良野岳のコルを目指した。
天候は今一で今日も風とラッセルの闘いになりそうだ。長い長いトラバースの末よう
やくコルが見えた。この辺りは樹林のモンスターが美しい。
8.13 1359m 前富良野岳と富良野岳コル コルは平坦でこの辺りからしばらく富良
野岳が見えたが以後その姿を見る事は出来なかった。富良野岳を南西斜面から限界ま
でスキーで登り上げて行く。
強風のため雪が少なく時折岩や這松が出ておりその都度難儀させられる。次第に雪質
は固くなり標高1750m辺りがもうスキーの限界だった。
10.01 1763m アイゼン歩行開始 幅広いヘルベントを担ぐと強風で体ごと揺さぶら
れる。強風とガスで高度が上がるにつれドンドン厳しくなる。低温であんちゃん
のGPSは電池切れ、とても電池を交換できる状況ではなく、僕のGPSを頼りにただただ
高見を目指す。
ようやくピークらしき場所に立ったが標識が無い、違うまだ先だ。こんな事を数度繰
り返しようやくエビのシッポびっしりの山頂に立てた。
10.46 1912m 富良野岳山頂着 8時間半の厳しい道のりでした。余りにも風が強くて
長居は出来ない、視界もまるで無い。急いでシールを剥がしてこの地獄から逃れたい。
11.00 1912m 富良野岳山頂発 さあ帰ろう。視界が無いのでGPSを頼りにただ慎重に
滑るだけ、時折岩場にぶち当たり難儀させられる。沢筋の快適な斜面を探しながらコ
マメにコースを変えて標高1600m付近まで下るとようやく視界が良くなった。助かった。
平坦なコル目指して一気に滑り降りる。
11.37 1359m 前富良野岳と富良野岳コル ようやく安全なコルまで下りて休憩、も
う大丈夫だろう。ここからの長かった道のりも帰りは行きに付けたトレースに助けら
れあっという間に滑り降りられる。快適なツリーランを楽しみながらようやく林道に
出た。
12.26 880m 尾根取り付き林道着 林道まで無事下りたが帰りの林道はアップダウ
ンも多くその都度カニ歩きを強いられもう勘弁して欲しい。
12.58 720m 登山口 避難小屋 ようやくここまで来たもうひと頑張りだ。そろそ
ろしんどいが根性で林道をこいでようやく車が見えた。
13.41 390m 林道出発点着 無事元旦山行が終わった。11時間半におよぶ親子の挑
戦であった。
長い長い林道
原始ヶ原までの長い長い林道に3時間以上も要した。
夜が明ける
ようやく夜が明けて初日の出に期待する
2012初日の出
今年も初日の出は山で迎えた。毎年の事だが
長い長いトラバース
前富良野岳と富良野岳コルを目指してトラバースを続ける
原始ヶ原
手付かずの原始ヶ原を眼下に
モンスター
素晴らしきモンスター群
富良野岳が見えた
ちょうどドンピシャで富良野岳が見えた
待ってなさい
さあ富良野だけ待ってなさい
これを最後に
コル手前を最後に富良野岳は二度とその全貌を見せなかった。
限界までスキーを使う
1750m徐々に雪面は固くなって行く。激しい風雪に耐えながら根性で高度を上げる
アイゼン歩行
1750m付近でアイゼンに変えて最後のアタック
ピークに
偽ピークにだまされながらもついにピークに立った
極寒の世界
視界は全くなく極寒の世界だった。もちろん他に登頂者がいた形跡はなかった。
逃げるように山頂を後にする
早くこの地獄の様な世界から逃れたい
視界の無い中気合いで滑降
岩場も多く慎重に滑り降りる
標高1500mまで下り
ようやくこの辺りでコルが見え視界が開けた
コルで休憩
ようやく安全地帯で休憩
さらば富良野岳
後は一気に戻るのみ 今日ももちろん完全燃焼