剣岳ワンディ一周(三ノ窓越え)
馬場島を起点にした周回コースは色々とコースがとれる。今回立山川から剣沢に入り,三ノ窓雪渓を登り返して池ノ谷左俣から
ゴルジェを通過して馬場島に戻るコースをたどった。累積標高差は3150mに及んだ。
周回ルートマップ このコースも山スキーの総合力が試される厳しいコースである。
室堂乗越へ
馬場島から標高差1600mをこなして室堂乗越に着く。時間が早いのでまだカチカチである。
奥大日
室堂乗越に着けば朝日に染まる奥大日が見事である。
さあ御前へ
室堂乗越からは標高差450mの登りで剣御前小屋を目指す。
立山室堂
ようやく室堂にも朝日が射して来た。雷鳥沢のテント村が見える。
剣沢滑降
まだ緩んでいない剣沢を剣岳を正面に滑降する。
名人と剣
このアングルの滑降写真が欲しかった。
剣沢見上げ
今年の剣沢も雪は多い。
八峰
平蔵谷を過ぎ長次郎谷まで下ると八峰の圧倒的な岩峰に血が騒ぐ。
三ノ窓雪渓
標高1600mの近藤岩まで滑り込みいよいよ標高差1000mを登り返して三ノ窓を目指す。
雪渓上部
雪渓からは左手にチンネやニードルが迎えてくれる。
三ノ窓雪渓全景
三ノ窓雪渓上部から後立山の山々が
三ノ窓
三ノ窓から背後のチンネや池ノ谷ガリーを見上げる。
池ノ谷左俣
池ノ谷左俣はクラストしている上急斜面なので滑降は十分注意しないと危険。
池ノ谷左俣
上部のアイスバーンに緊張の連続だった。
左俣中間
中程まで来れば少し斜度は緩むが緊張は抜けない。
左俣全景
池ノ谷左俣は岩に挟まれた谷である。
無事二俣まで降りて
標高1900mの二俣まで降りてようやく一安心。
二俣の下
池ノ谷の二俣より下は快適な緩斜面が続く。
いよいよゴルジェ帯に入る
いよいよこのコースの最大の難関ゴルジェ帯に入る。滝は出ないが落石と雪崩の巣なので一気に通過する。
小窓尾根乗越コースは時間がかかるが安全である。
すごい景色
予想通り池ノ谷ゴルジェはすごい事になっていた。こんな光景長いスキー人生でも初めて目にする。
池ノ谷ゴルジェ核心部
しばらくは落石多く滑りにならなかった。右岸沿いに行けば少しは安心だが気は抜けない。
ゴルジェ見上げ
僕達は走って下った。
ゴルジェ下部
ようやくゴルジェ下部まで下って板がはけた。もう安心だ。
白萩川
白萩川下部はもう徒渉できず高巻するしか無かった。馬場島は近い。
山行記録:2008年5月6日
GWの〆は剣周回でした。剣の魅力満載の厳しくも素晴らしいコースでした。
累積標高差は3150m、要した時間は13時間。この時期の池ノ谷ゴルジェもしっかり見
てきました。
【山域】剣岳
【場所】富山県
【日時】2008年5月6日(火)
【コース】馬場島―立山川―室堂乗越―剣御前小屋―剣沢―近藤岩―三ノ窓雪渓―三
ノ窓―池ノ谷左俣―池ノ谷ゴルジェ―白萩川―馬場島
【メンバー】僕、名人
【装備】フォルクル・マウンテン 156cm,TLT,ガルモントメガライド(僕)
バース7 140cm,ディアミール,ガルモントメガライド(名人)
【天気】晴れ
1.00 760m 馬場島発
6.04 2350m 室堂乗越
7.13 2780m 剣御前小屋
8.15 1600m 近藤岩
11.10 2650m 三ノ窓
11.51 1900m 池ノ谷二股
12.34 1050m 白萩川
1.50 760m 馬場島着
馬場島を起点にした剣岳周回コースは色々考えられる。以前から考えていたこのコー
スを安全に通過するためにはどこを何時に通過するかがポイントだった。
前夜馬場島に午後5時頃待ち合わせをした。早めに着いた名人は警備隊に登山届けを
出してくれた。十分気を付けて下さいとアドバイスを受けたとの事だった。僕は6時
前に到着、馬場島は嵐のような激しい雨が降っておりGWと思えないくらい閑散とし
ていた。立山川が増水しないように祈るような気持ちで眠りについた。
2008年5月6日(火)深夜0時起床。雨は上がり空は満天の星、助かった。急いで準備を
していざ出発。
1.00 760m 馬場島発 立山川に向かう林道の雪は巨大堰堤までは無かったがこ
の堰堤を過ぎた頃からシール歩行可能になった。
真っ暗な歩行は嫌だが安全第一を考えればこの時間に行くしかない。
立山川の雪の状態は例年並みで右岸左岸と渡り歩くが特に難儀した場所はなかった。
ゴーゴーとすざまじい音が谷をこだまする。凍った雪面を慎重に進んでいく。川に落
ちたら助からない。
東大谷を過ぎれば雪割れはなく、デブリも融けて快適に進めた。正面に乗越が見えた
頃夜が明けた。まず最初に奥大日に日が射してくる。斜度が増してからアイゼンに変
えた。
6.04 2350m 室堂乗越 簿時到着です。ここまで標高差1600mですが、暗い中歩い
たのでそれほど疲れはなかった。ここから僕はシールで名人はアイゼンで御前を目指
す。雷鳥沢のテント村も人は少なめだ。昨日の悪天が響いたか。
7.13 2780m 剣御前小屋 ようやく着きました。ここまで標高差2000mです。さあ
近藤岩まで標高差で1100m滑り込みます。カチカチ斜面に新雪が乗っている。うまく
新雪を選べば快適だがそうは問屋が卸さない。快適と試練半々の滑りで近藤岩が見え
てきた。ブリッジはしっかりしており問題なくここまで来られた。
8.15 1600m 近藤岩 ここで大休止。ようやく朝飯にありつける。日差しが強く
もう暑くてたまらない。さあ急いで三ノ窓を目指さないと何が落ちてくるか分からな
い。三ノ窓雪渓は斜度も手頃でチンネやニードルを眺めながら快適に高度を上げてい
く。標高差1000mの登りも苦にならずすべてシールで登りあげられた。
11.10 2650m 三ノ窓 着きました。ここは風が強いです。さあシールを外して池
ノ谷です。予想通りこの時間まだ池ノ谷はクラストしていたが新雪が10cmほど乗って
いるおかげで滑りは楽しかった。左俣はまさに岩に囲まれた廊下状の谷だった。数日
前に小窓尾根から滑落した遭難者の捜索のための足跡が多かった。
11.51 1900m 池ノ谷二股 さあここまではまずまず楽しめた。問題は池ノ谷ゴル
ジェだ。今年の雪なら問題なく滝は出ていないだろう。ただ落石と雪崩の巣だから一
気に飛ばすしかない。やはりゴルジェはすざまじい落石と土砂崩れの巣だった。
板が痛んでも命には代えられない。早く下ろう。急ぐしかない。ガンガン下るとよう
やく白萩川に合流できた。とにかくハラハラし通しだった。でも怖い物見たさで無事
通過できた。
12.34 1050m 白萩川 合流してすぐに雪は割れとても徒渉できる水量ではなかっ
たので高巻きして取水口に下った。
1.50 760m 馬場島着 無事到着。やはり剣です。試練と憧れの殿堂でした。