昼闇山(昼闇谷)1840m 新潟県
海谷・妙高山域の中でも焼山北面台地はあまりにも有名だが,これに勝るとも劣らず
豪快な日本離れした景観を見ながらのスキーが楽しめる素晴らしい谷が昼闇谷である。
昼闇山山頂からの滑走はかなり勇気と技術がいるので心して挑戦して欲しい。
北陸道糸魚川インター下車30分で焼山温泉に着く。豪雪地帯ゆえ標高の割に雪の多いことに驚くだろう。
焼山温泉横スキー場が出発点である。リフト一本の緩斜面のスキー場を登り切りしばらくは林道沿いに歩き
アケビ平を目指す。
アケビ平
歩くこと約1時間,標高600m付近で林道は終点。ここで小さな沢を渡り右手杉の植林が生えるアケビ平に
取り付く。積雪は充分すぎるくらいだ。杉の植林が多いが場所を選べば快適な疎林スキーが楽しめる。
昼闇谷下部
アケビ平から歩くこと40分で標高750mの昼闇谷出合である。さあアケビ平に別れを告げ昼闇谷にはいる。
谷の下部は狭く特に左岸からの雪崩には要注意だ。所々で雪が落ちている。右岸沿いのルートを取り標高を
上げる。正面奥に屏風のように聳える昼闇山が望める。
昼闇谷全景
標高1000m付近で視界が一気に開けてきた。眼前に広々としたカールのような昼闇谷全容が見えた。
山頂に至る稜線が屏風のように聳えている。素晴らしい日本離れした景観である。谷の上部は急峻で雪崩も至る
所で出ている。山頂は左から三っ目のピークである。ここから右手に見える稜線北尾根に取り付くことにした。
稜線北尾根
標高1080mで稜線から北に派生する尾根に取り付く,クトーを効かせ直登気味にガンガン尾根を登る。
登るにつれ正面に見える右の烏帽子岳や左阿弥陀岳など周囲の山々の景観も素晴らしい。
尾根右手の景観
右の烏帽子岳や左阿弥陀岳も独特の個性を持った玄人好みの山である。
尾根中部から見た昼闇谷
標高が上がるにつれ次第に傾斜は増しジグザグ歩行となる左手には昼闇谷が見える。雪崩跡もいくつか見える。
標高1575mでスキーを担ぎアイゼンを履くことにした。稜線手前は急な雪壁となっているためピッケルを打ちながら
四つん這いになって何とか稜線にたどり着いた。
稜線からの昼闇山
何とか苦労して標高1580mの稜線に到着。この辺りは広々とした尾根だがここから昼闇山まで北面に雪庇がせり出し
北側が切れ落ちた厳しい稜線が続いている。いくつかのアップダウンと急な雪壁,危ういトラバースの連続である。
昼闇谷の観察
この辺りで山頂下斜面の雪の状態を観察しよう。山頂からの斜面は50度以上だ。かなり勇気が必要である。
自信がなければこの辺りでスキーをデポしてとにかく山頂を踏もう。
山頂からの焼山
やつと標高1840mの昼闇山山頂に到着。焼山が噴煙を上げていた。焼山北面台地も是非一度訪れて欲しい。
焼山の向こうに火打が見える。山頂から稜線づたいに焼山へ向かうこともできる。
愛機と記念写真
しばし休憩して下るルートを探る。地図では山頂北面はぐるりと崖のマークである。いかに北面の昼闇谷に滑り込む
かである。ツボ足で少し下ってルートを探る一カ所雪庇が切れなんとか降りられそうなところがある。50度以上の
急斜面だが何とかなりそうである。ガンガンにワックスを塗り直し,いつも以上に靴をきつく締めた。あとは愛機に命を
預けて谷に飛び込むしかない。祈る気持ちで昼闇谷に飛び込んだ。
昼闇谷上部斜面
最初のターンは決まった。厳しいターンを繰り返し急いで安全地帯まで滑り降りる。安全地帯まで下りて見上げれば
雪庇がごろごろしている。こんなとこ長居は無用である。振り返るとよくあの斜面を滑ったものだと怖くなった。
雪は割れずに続いていた。
昼闇谷カール中部
急な斜面をこなすとあとは真っ新の誰のシュプールもない素晴らしいカールの滑走だった。今回も何とか無事に
豪快なスキーが楽しめた。
雪崩跡
稜線には今にも落ちそうな雪庇がごろごろしている。雪崩に気を付けながらあとは快適な斜面を下りるのみ。
焼山温泉が待っている。
山行記録2001年3月25日(日)
時刻-標高-場所
4.22 380m 焼山温泉
5.12 590m アケビ平取り付き
5.50 750m 昼闇谷出合
6.33 1080m 稜線北尾根
7.58 1575m スキー終了アイゼン歩行
8.08 1580m 稜線
9.15 1840m 昼闇山山頂
9.44 1840m 昼闇山山頂発
10.08 750m 昼闇谷出合
10.24 590m アケビ平取り付き
10.37 380m 焼山温泉
海谷・妙高山域の中でも焼山北面台地はあまりにも有名だが,これに勝るとも劣らず
豪快な日本離れした景観を見ながらのスキーが楽しめる素晴らしい谷が昼闇谷である
。本日この谷を昼闇山山頂から滑ってきました。
【山域】昼闇山 1841m
【場所】新潟県
【日付】3月25日(日) 前夜発日帰り
【行程】焼山温泉-アケビ平-昼闇谷-稜線北尾根-稜線-昼闇山-昼闇谷-アケビ平-焼山温泉
【メンバー】単独
【装備】アトミックベーターカーブ160cm-ディアミール-ノルディカTR12
焼山北面台地は素晴らしい日本離れした景観を見ながらの豪快なスキーが楽しめるが
最近はヘリスキーなど入山者も多く,メジャーになりすぎて少し嫌気がさしてきてい
る。その反面吉尾平経由の鉢山や昼闇山からの昼闇谷はいまだ人少なく山スキーヤー
の天国である。焼山温泉手前橋から屏風のような昼闇山北面が見える。その山頂下キ
ラキラ輝いて見える昼闇谷上部が見えるだろう。以前からこの谷を狙っていた。
3月24日(土)夜8時金沢発。北陸道を飛ばして糸魚川インターで下車。国道八号線を北
上し早川で右折焼山温泉方面へ,標高は低いがしばらくで雪が出てきた。さすがに豪
雪地帯だ。焼山温泉ではいまだ所によっては2m近い雪があった。夜11時温泉横駐車場
で車中泊。日曜は午後から雨が降る予報のため午前中には下山することにした。
3月25日(日)朝3時半起床。星も見えるが少し雲がかかっているようだ。天気は下り坂
になる,雨は嫌いである。急いで準備をする。
4.22 標高380m 焼山温泉発。ライトを付けながらシールでスキー場を登り始める。
気温は高く雪は少し緩んでいる。しばらくは林道沿いに歩きアケビ平を目指す。前日
に入山したらしいトレースが何本か見られる。
5.12 590m アケビ平取り付き。林道終点で小さな沢を横切りアケビ平に取り付く。
積雪は充分すぎるくらいだ。杉の植林が多いが場所を選べば快適な疎林スキーが楽し
める。しばらくで雪洞が見えた。スキーの数からして4人はいるようだ。吉尾平で遊
んだ帰りだろうか。
5.50 750m 昼闇谷出合。アケビ平から歩くこと40分。昼闇谷が見えてきた。さあア
ケビ平に別れを告げ昼闇谷にはいる。トレースが一本有る。前日誰か一人入山したよ
うだ。谷の下部は狭く特に左岸からの雪崩には要注意だ。所々で雪が落ちている。右
岸沿いのルートを取り標高を上げる。
6.33 1080m 稜線北尾根取り付き。標高1000m付近で視界が一気に開けてきた。眼前
に広々としたカールのような昼闇谷全容が見えた。山頂は屏風のように聳えている。
素晴らしい日本離れした景観である。谷の上部は急峻で雪崩も至る所で出ている。こ
こから右手に見える稜線北尾根に取り付くことにした。クトーを効かせ直登気味にガ
ンガン尾根を登る。登るにつれ烏帽子岳など周囲の山々の景観も素晴らしい。
7.58 1575m 稜線北尾根上部。稜線手前100mほどで傾斜は増し,上部は雪壁となっ
たためここでスキーを担ぎアイゼンを履くことにした。ピッケルを打ちながら四つん
這いになって何とか稜線にたどり着いた。
8.08 1580m 稜線着。この辺りは広々とした尾根だがここから昼闇山まで北面に雪
庇がせり出し切れ落ちた厳しい稜線が続いている。いくつかのアップダウンと急な雪
壁危ういトラバースの連続である。標高1700m付近でスキーを担いで下りてきた単独
行とすれ違う。真っ黒な顔をしたバチバチの山屋さんである。昨日入山し山頂で雪洞
を掘ってビバークしたとのことである。昼闇谷に滑り込まないんですかと尋ねると自
信がないので吉尾平経由で下るという。更に登行を続けるとやっと山頂が見えてきた
。とてもじゃないがこんな稜線をスキーで下る気にならない。
9.15 1840m 昼闇山山頂着。焼山が噴煙を上げていた。山頂には棺桶のような雪洞
が掘ってあった。随分息苦しかったことだろう。しばし休憩して下るルートを探る。
地図では山頂北面はぐるりと崖のマークである。いかに北面の昼闇谷に滑り込むかで
ある。ツボ足で少し下ってルートを探る一カ所雪庇が切れなんとか降りられそうなと
ころがある。50度以上の急斜面だが何とかなりそうである。
9.44 1840m 昼闇山山頂発。ガンガンにワックスを塗り直し,いつも以上に靴をき
つく締めた。あとはビンディングとスキーを信じて谷に飛び込むしかない。祈る気持
ちで山頂発。昼闇谷に飛び込んだ。見た目以上に急な斜面だ。最初のターンは決まっ
た。何とかなりそうだ。見上げれば雪庇がごろごろしている。こんなとこ長居は無用
である。厳しいターンを繰り返し急いで安全地帯まで滑り降りる。雪崩の跡も散見で
きた。急な斜面をこなすとあとは真っ新の誰のシュプールもない素晴らしいカールの
滑走だった。何とか無事に豪快なスキーが楽しめた。振り返るとよくまああの斜面を
滑ったものだと怖くなった。谷の下部では腐った雪に苦労する。
10.08 750m 昼闇谷出合。ここでアケビ平に乗り越し,疎林のアケビ平を快適に下
る。雪洞もカラになっていた。
10.24 590m アケビ平取り付き。
10.37 380m 焼山温泉。何とか午前中に下ることができた。焼山温泉で500円を出し
温泉に浸かる。脱衣場で知り合いのK君にバッタリ出会わす。単独で8000m峰を登り続
けている強者である。烏帽子岳に挑戦したが雪が悪く早々に下山したとのことであっ
た。相変わらず雪焼けで真っ黒な人なっこい笑顔である。
充実した気合いの入った山行に満足して小雨の降る北陸道を金沢に向かった。