大日岳(人津谷経由)(2501m) 富山県

立山駅近くの称名滝ゲートが出発点。山頂まで標高差2000mを越す冬の登山ルートである。前大日,早乙女岳を経由し

大日岳に至る長大な尾根である。冬では通常5日はかかるルートであるが,スキーを使えばラッセルしても日帰りも出来る。

展望に優れ素晴らしい景観が待っていることだろう。

登山口ゲート

3月も中旬になれば有料道路までは除雪がされているだろう。人津谷出合まで3km弱ほど。自転車を

使えば帰りも楽である。マウンテンバイクでスキーを担ぐしかないだろう。

人津谷出合

この辺りでも1m以上の雪がある。クムジュンが人津谷出合の目印である。ここで自転車をデポし,いよいよ

ラッセルが始まる。

人津谷終点鞍部

出合から右岸に沿って林道を歩く。標高940m付近で林道を離れあとは谷をどんどん詰め標高1300mの

鞍部を目指す。林道を離れると見通しの悪い杉林の中をうまくルートを取って高度を上げよう。

ラッセルもつらい。

文登研前進基地

谷を登り切ると前進基地がある。標高1300mである。この日積雪は5mあった。(ポールで確認)

ここから進路を右に取り566さらに1778(前大日)を目指す。ブナの疎林が続く。

標高1500m

ラッセルに耐えながら高度を上げるここを登り切ると一気に展望が開ける。この辺りからルートはしばらく

平坦になるので帰りのことも考えてうまくルートを取ろう。

毛勝三山

標高1500辺りから毛勝三山の眺めが素晴らしかった。左から毛勝,釜谷,猫又である。

弥陀ヶ原     

1566を過ぎると進行方向右手に弥陀ヶ原が輝いていた。まだ除雪はされていない。

鍬崎山

更に振り返ると鍬崎山も間近に見える。

大日への長い尾根

標高1600m辺りで大日岳が見える。まだまだ道のりは長い。アップダウンもあり根性しかないだろう。

薬師岳

弥陀ヶ原の向こうには純白の薬師岳が見える。

前大日手前から振り返る

標高1700mから登ってきた尾根を振り返る。奥に三角形の大辻山も見える。富山平野も一望だ。

前大日手前

右手に前大日1778mが見える。手前ピークは右からうまく巻こう。

前大日手前からの毛勝

この辺りからの毛勝の展望は素晴らしい。

前大日からの早乙女,大日岳

前大日から見る大日岳の展望はこのルートの最大の見所でもある。前大日からは少し下る。

前大日を振り返る

早乙女岳登りから前大日を振り返る。1本のラッセルトレースが見えるだろう。

迫力の大日岳

早乙女岳の登りから見る大日岳も圧巻である。

早乙女岳と大日岳

左に標高2050m早乙女岳更に大日へと続く。早乙女から大日までかなり長い。

大日岳手前

正面ピークの奥が大日岳である。ここからが根性の見せ所である。ここからシュカブラが発達し,

雪面もクラストしていることが多いのでクトーが必要になる。

手前ピーク前

手前ピークは右から巻く。シュカブラのためスキーでは歩きにくい。

大日岳山頂にて

山頂からの剣岳の展望に言葉を失った。山頂付近では雪庇に要注意である。

山頂からの立山

この時期の立山はまだ純白である。

              山行記録2003年3月21日(金)

1月に体調不良から敗退した人津谷ルート。標高差2000mを越える長大な尾根をラッセ
ルに耐え12時間で往復しました。大日岳をはじめ剣立山方面も雪はとても多いです。

【山域】大日岳(北ア)
【場所】富山県
【日時】本日 3月21日(金)
【コース】立山駅手前橋近くゲート−人津谷−文登研前進基地ー前大日−早乙女岳−
大日岳往復
【メンバー】単独
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12
【天気】晴れ

今シーズンの大きな課題であったこのルートの日帰りパウダーラン。おととい山では
雪が降ったので快晴の今日行くしかないと僕の山スキー原点のこのルートを目指した。

3月20日(木)連休前日と言うことで仕事が忙しく昼飯も食べることは出来なかった。
明日の大日に向け栄養補給にとろ一に行くしかないだろう。食いも食ったりタコ煮,
バイガイ煮,おから,ウナギの肝焼き,やっこ,ホタルイカとぶり刺し,ウナギ蒸籠,
お吸い物,ノンアルコールビール2本締めて5000円。これだけ食えば明日は大丈夫だ
ろう。立山駅手前橋付近のゲートに到着。ここで数時間の仮眠とした。問題はどれほ
どのラッセルが待ち受けるかである。

3月21日(金)朝3時起床。標高差は2000mを越え単独ラッセルでは何時間かかるか見
当が付かないので出来る限り早いスタートとした。もちろんマウンテンバイクも持っ
てきた。スキーを担いでいざ出陣。

3.41 460m 立山駅手前橋近くゲート発。空には星が見えていた。天気は予想通り晴
れそうである。称名滝に向かう有料道路を人津谷出合まで自転車を漕ぎ出す。出合ま
では約3kmである。今日も満月で周囲の地形ははっきり分かった。

4.09 580m 人津谷出合着(喫茶クムジュン)。この辺りでも1m50cmほどの積雪はあ
ろう。ここで自転車をデポしいよいよ人津谷に入る。下部のラッセルはなかった。前
回変な林道に迷い込んだが今日は間違えない。トレースはなかった。谷の右岸を林道
に沿って歩く。谷の中間から杉林が茂り見通しは悪くなる。谷の中間から靴程度のラッ
セルその後山頂まで靴から膝下のラッセルが永遠と続いた。

6.45 1300m 文登研前進基地。谷を登り切った所に前進基地がある。積雪は何と5m
であった。6mのポールがほとんど埋まっている。屋根もすごい雪である。ここから進
路を右に取り前大日を目指す。尾根の北側のため稜線までラッセルはきつかった。新
たな積雪は40cm程度はあったようだ。帰りは楽しみである。

地図上1566から前大日までは緩斜面であり時間がかかる割には標高は稼げない。
この辺り弥陀ヶ原,鍬崎山,薬師岳,毛勝山の展望はすこぶる良い。

9.14 1778m 前大日山頂着。ようやく此処まで来た。研修会ではここで雪洞をほる
ことになっている。ここからの大日の眺めは圧巻である。ここからしばらく下ってい
よいよ早乙女への急な登りである。

早乙女への登りはラッセルの上雪庇にも気を遣わなければならず,かなりしんどかっ
た。まだまだ大日は遠い。

10.47 2040m 早乙女岳着。既にかなり足に来ているが此処まで来たら山頂に行くし
かないだろう。早乙女からも長かった。大日前衛の登りはクラストにシュカブラと歩
きにくいことこの上なし。山頂が見えてからもかなり疲労がたまり足が思うように出
なかった。

1.00 2501m 大日岳山頂着。ついに到着。実に9時間半を要した。槍の日帰りと同じ
時間だった。山頂の雪庇は非常に安定していた。山頂からの剣の眺めは圧巻である。
立山方面も真っ白で静まりかえっている。写真をばんばん取ったら行きますか。

1.18 2501m 大日岳山頂発。早乙女までの下りはシュカブラのため慎重に下った。
この辺りから徐々に雲が出始めた。

1.36 2040m 早乙女岳着。ここからはパウダーランがおもしろいように楽しめた。

2.05 1750m 前大日前鞍部着。ここまで一気に滑り込みシールを付けてのぼり返す。

2.31 1778m 前大日山頂着。ここに来た時点で完全にホワイトアウトになる。今日
はトレースがしっかり残っているので全然心配はないが,トレースがないとまず帰れ
ないだろう。トレースを外さないように滑り込む。徐々に視界も開けてきた。この後
も尾根の北側ではパウダーランに浸る。なんて楽しいんだろう。

2.51 1300m 文登研前進基地着。基地に別れを告げ人津谷を一気に滑り込む。谷の
下部からは雪が腐ってきたが何とか林道まで滑ることが出来た。

3.29 580m 人津谷出合(喫茶クムジュン)。ここから自転車にまたがり一気にゲー
トへ

3.41 460m 立山駅手前橋近くゲート着。丁度出発から12時間。楽しいながら自己と
の戦いであった。

自宅に帰ったらやはり4kgやせて56kgになっていた。今日は完全燃焼であった。

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