奥穂高岳(直登ルンゼ)(3190m) +白出沢
日本第三の高峰奥穂高山頂から滑るこのルートは何とも言えない快感が味わえる。スキーヤーなら一度は滑りたい
クラシックルートである。白出沢滑走と組み合わせれば更に楽しみは倍増する。新穂からなら日帰りできる。
白出沢標高2500m
新穂高から白出沢小屋付近までは自転車。あとは白出沢を夏道に従い進もう。大滝は巻いて沢に下りれば
遥か上に穂高岳山荘が見える。早朝のクラストした時間帯に一気に登り上げよう。先行するのは深澤君。
標高差900mを休まず直登で1時間半で登り切った。この人は化け物か。
笠が岳
白出沢から振り返れば朝陽に照らされた笠が岳が素晴らしい。
白出沢最上部にて
雪は標高2950mまでつながっていた。振り返ればようやく朝日が白出沢に当たり帰りはザラメで
快適だろう。
穂高岳山荘
ようやく穂高岳山荘2983mに到着。涸沢側からの多くの登山者であふれていた。新穂高を出て6時間半であった。
ハシゴ上部雪壁
ハシゴ上部雪壁は大渋滞。僕たちは右から新たなトレースを付け追い抜いた。
ジャンダルム
奥穂山頂手前からのジャンダルムは絵になる。
奥穂山頂にて
山頂祠下から雪はあった。折角だから一枚撮ってもらう。
深澤君
既にスタンバイ,僕たちがこの日初シュプールだった。
山頂からの展望
出発前に周囲の展望をパチリ。
オッとボーダーが
先にボーダーに先行されてしまった。出だしはかなりの急斜面。このボーダーも決まっていた。
直登ルンゼ上部
大勢のギャラリーに見送られて僕が先行し深澤君が後を追った。
直登ルンゼ見下ろし
涸沢の合流まで標高差約500mの快適な急斜面が続く。
直登ルンゼ中間点
深澤君の見事な滑走。脇を登りの登山者が行く。羨ましいと見送ってくれた。
直登ルンゼ2900m
此処まで下ると涸沢のテント村が見える。完全に自己陶酔の世界。
直登ルンゼ下部
この人も完全に自己陶酔している。ほとんど病気かも。
涸沢との合流
標高2800mで涸沢と合流。後は約200mの登り返しである。何処まで滑るかは体力と相談。
白出沢源頭
穂高岳山荘裏白出沢は誰もいなかった。源頭からの急斜面は申し分なし,
見事にジャンプターンを決めてくれた。
白出沢全景
何処までも急斜面が続く。左岸伝いが荒れていないのでお勧めである。
白出沢標高2500m
この辺りから落石も目立つがそれほど気にならない。標高2200m辺りでトラバースして大滝を巻く。
白出沢下部から見上げ
穂高岳山荘は遠い存在になった。バイバイである。
ジャンダルム
白出沢トラバース付近でジャンダルムが見送ってくれた。
滝を巻き切って
標高2000mで滝からのルートと合流。この辺りからは落石とデブリのオンパレード。
更に厳しい滑りを要求される。二人とも根性で白出小屋まで滑りきった。山スキーヤーの意地にかけ
スキーを脱がなかった。
山行記録2003年5月4日(日)
昨日の大喰岳に続いて今日は山梨の超人深澤君を同行して新穂高から直登ルンゼを日
帰りしました。連日の3000mを越す山頂からの滑走,さすがに疲れました。
【山域】奥穂高直登ルンゼ 3190m
【場所】長野県
【日時】本日 5月4日(日)
【コース】新穂高−白出沢−奥穂−直登ルンゼ−涸沢−穂高岳山荘−白出沢−新穂高
【メンバー】僕と深沢君
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12(僕)
カービング150cm,ディアミール,TR9(深沢君)
【天気】晴れ
深澤君とは三回目の同行。毎回厳しい山行につき合ってもらった。今日も標高差
は2300mとかなり厳しい。数日前に一緒に来ないかと声を掛けたら二つ返事で行くと
言ってくれた。
5月3日(土)大喰から帰ってバス停前風呂から車に戻ると携帯が鳴った。山梨から新
穂に向かっている最中と深澤君からの連絡であった。夜7時前彼が到着。とっておき
の駐車スペースに案内して明日の打ち合わせ後早々に眠りについた。彼は数日前にML
の会員になったという。南アルプスの未滑走ルートを数々狙っているという。今後の
活躍が大いに期待できる。
5月4日(日)朝1時半起床。今日に備えて珍しく朝飯をとった。かなりきつい一日に
なりそうである。
2.18 標高1080m 新穂高発。二人MTBにまたがり暗闇の林道を走り出す。彼はいき
なりダッシュで走り出す。何と言うパワーか。僕は昨日の疲れが残りやや足が重い。
3.04 1350m 穂高平避難小屋。小屋を横目に更に進む。悪路をものともせず,あっ
と言う間に白出小屋手前のデポ地点に到着。新穂を出てわずか1時間。いきなりのハ
イペースである。ここからシールで歩き出す。
3.31 1540m 白出小屋着。ここから河原に下りて白出沢左岸を歩き出す。たまに雪
が切れたりデブリに行く手を阻まれたり少々難儀した。
5.06 1925m 天狗沢出会い。この辺りから猛烈なデブリと落石に行く手を阻まれス
キー歩行をあきらめスキーを担ぐことにする。白出大滝の巻き道でルートを誤りトラ
バースルートのかなり上に出てしまい仕方なく下る羽目になった。ああもったいない。
6.20 2100m 白出大滝巻いた白出沢末端。さあいよいよ末端に到着。ここから穂高
岳山荘まで標高差約900mのきつい急登が待っている。雪面はガチガチのためアイゼン
歩行しかなかった。深澤君は直登が得意という。穂高岳山荘まで直登でほとんど休ま
ず約1時間半で登り切った。化け物である。僕は昨日の山行で左足のすねを痛めてし
まい直登できないので横歩きでジグザグを切るのでドンドン離されてしまう。おまけ
に写真を撮るため立ち止まるたびにまたまた離されてしまう。
白出沢上部では雪が切れ岩が出ていた。此処はズルズルしてとても歩きにくく多いに
時間を浪費してしまう。
8.50 2983m 穂高岳山荘着。ようやく到着。深澤君は既に涸沢岳から一本滑ったと
いう。ほんまかいな。折からのGW大勢の人が奥穂に向かうため列をなして大渋滞であっ
た。ハシゴ上部の雪壁ではトレースが一本しかないため上り下りの人でうんともすん
とも動かない。後にいたおじさんがしびれを切らして大声で怒鳴り始めた。もたもた
すんなと。とんでもないおじさんだった。あおってどうすんだ。みんな仕方がないん
だ。大体トレースが一本というのがおかしい。
トレースの右急な雪壁をトレースを付けるべく僕は登り始めた。かなり急だったっが
深澤君も追随した。あのおじさん当然付いてくるかと思ったらやはり来なかった。な
ら大声で怒鳴らないで欲しい。
10.05 3190m 奥穂高山頂着。ようやく到着。大勢の人で山頂は賑わっていた。皆何
処滑るのと不思議そうに問いかける。隣にボーダーが一人,扇沢は滑れるかと聞いて
きた。滝があるけど行けるんじゃないと答えた。扇沢に行ってくれと内心思ったが,
直登ルンゼへ先を越されてしまった。
10.24 3190m 奥穂高山頂発。さあ深澤君行きますか。祠裏からエントリー。快適な
急斜面である。大勢のギャラリーが見ているのは気分がよい。昨日の大喰は誰もいな
かった。リズムよく標高差500m下った。極楽であった。
10.49 2780m 涸沢。ここからまた穂高岳山荘に登り返しである。
11.17 2983m 穂高岳山荘着。まだ大勢の人がくつろいでいた。少し岩場を下ると雪
が。雪面もゆるみこちらも豪快な急斜面が続く。
11.52 2930m 白出沢発。さあレッツゴ−。こちらも極楽,リズムよくジャンプを交
え二人宙に舞った。なんて快適なんだろう。スキーは楽しくなくっちゃ。あっと言う
間に巻き道まで。
12.14 2165m 白出沢下端。ここから滝を巻いて雪を見つけ滑り出す。ここからは落
石とデブリだが小刻みにターンを繰り返し下る。西穂沢のデブリに唖然としながらも
根性で雪をつないで下ると白出小屋横林道に出た。スキーヤの鏡である。
1.36 1540m 白出小屋着。
1.45 1500m 林道MTBデポ。自転車を見つけもう着いたも同然である。後は一気に下
るのみ。
2.15 1080m 新穂高着。約12時間の楽しい山行は終了。今日はスキー滑走の総合力
を試されるコースであった。二人仲良くバス停前風呂で汗を流し,またの再会を誓っ
た。