笈ガ岳(県内最難関の山)

 県内で登頂が最も困難な山は何処であろうか。白山だろうか,はたまた別山だろうか。
否違う,それは笈ガ岳(標高1841m)である。毎年白山へは何千人という人が押し寄
せるが,笈ガ岳に登頂できる人はかなり熟達した一握りのエキスパートだけである。

秘境の山として知られるこの山に明治38年陸地測量部が三角点を設置した際,山頂か
ら多数の仏像や銅剣が出土された事は有名であり,人跡未踏と思われていた当時既に
数百年も前から白山信仰の修行僧が大勢登っていたことは驚きであった。

この山は白山の北方稜線上の石川県と岐阜県の県境にあり未だ登山道がなく無雪期に
は猛烈な藪こぎとなるため登頂には残雪期の限られたわずかな期間に挑戦する以外に
は方法がない。しかも山頂に至るアプローチがとても長く一般的には山中でテント数
泊をしなければならないためかなりの体力も必要である。さらに道中に冬瓜山という
山頂が剣の先のように両側とも切れ落ちた危険な難所が待ち受けているためその困難
さを助長している。

かの深田久弥もこの山は是非とも日本百名山に入れたかったと後々後悔したほどの名
山なのである。科学が進歩して人間が月の上に立てるようになった現代でも未だ人が
容易に立ち入れない秘境が身近にあるなんてなんて興味深いことではないか。この日
本でも未だ登山道が開拓されずに人の立ち入りを拒み続けている山がいくつかある。
県内ではこの笈ガ岳,富山では毛勝山,岐阜県では猿ヶ馬場山などがその代表格であ
ろう。実はこうした山こそ手つかずの自然が豊富に残っており登山を満喫できる。

僕自身この山の山頂からスキーで滑り降りることが念願であった。今年の3月の二度
目の挑戦でようやくその念願が達成できた。まだ真っ暗な一里野温泉から自転車にま
たがりスキーを担いで白山自然保護センターに到着。ここからジライ谷を経由して道
無き道をスキーを駆使して登り詰め,幾多の難所を乗り越えて登頂し日帰りで下山し
た。出発から実に13時間に及ぶ厳しい限界に近い格闘だった。帰宅が夜遅くになった
ためかみさんを大いにあわてさせてしまったものだった。

最近この山にも登山道を付けようとする動きがあると聞いた。秘境の山はそれ故に価
値があるのである。後世まで秘境であって欲しいと祈るような気持ちで願っている僕
である。

ルート解説有り

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