沢登り

登山には色々なジャンルがあるが,夏に欠かせない楽しい遊びは沢登りである。この
ジャンルも一度はまったら病みつきになってしまう。

沢登りを簡単に説明すると川の上流へと源流に向かって遡っていくスポーツである。
上流に行くにつれ川は澄みわたり,遡るにつれ様々な滝が姿を現す。そうした色々な
滝を如何に攻略して突破していくかがまたおもしろい。小さな滝から何十メートルに
及ぶ大きな滝まで,時にはザイルの手を借り,時には全身ずぶ濡れになりながらシャ
ワークライムを続けていく。運が良ければイワナのご馳走にもありつける。まさに夏
しか味わえない醍醐味である。

ただし滝の突破は転落,落石などそれなりに危険も多いため十分な装備と経験がなけ
ればいけない。ある年の夏子どもたちをつれて浅野川の源流を探索するための探検に
出かけた。この川の最初の一滴が見てみたいだろうと誘いを掛け,まんまとこの世界
に連れ出した。

湯涌温泉の更に奥にある採石場が沢登りの入渓地点であった。子どもたちは運動靴の
ままジャブジャブと川に膝下まで浸かりながら歓喜の声を上げて進んでいく。これよ
り先上流には人家はないため水は澄みわたり遡りながら時には顔を水につけ潜ったり
泳いだりと好き放題である。当然何処でも水は飲むことが出来る。進むにつれ次から
次へと色々な滝が現れる。ちよっと危険な場所ではロープで確保するので子どもでも
安心であった。

ある滝を乗り越えるとそこには日本庭園のような景観が広がっていた。穏やかに流れ
る水面には木々が眩しく輝き,聞こえるのは鳥のさえずりと水の流れるせせらぎだけ
でまさに神秘的な沢登りであった。どんどんと上流に進むにつれ沢は水流をどんどん
減らしやせ細っていく。いよいよ源流が近いことを教えてくれる。

川に入ってから約7時間後,全員くたくたになりながらついに浅野川の最初の一滴に
たどり着いた。そこは奥医王山の山頂のすぐ下であった。山頂で出会った登山者たち
はずぶ濡れになった僕たちを見て皆不思議そうな顔をしながら一体どこから来たのと
問いかけていた。

道無き道を川に沿って源流へと進む沢登りはやはり夏しか味わえない登山の醍醐味な
のである。

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