鹿島槍が岳(北俣本谷)(2889m)

鹿島槍吊り尾根に突き上げる北俣本谷は急な斜面で容易に人を寄せ付けない。時期を選ばないと雪崩れ,落石,

ブロック崩壊の餌食になってしまう。このコースは鹿島槍の最短コースでもあり,山スキーの好ルートでもある。

最終堰堤

大谷原からMTBを駆使して40分で赤岩尾根の末端西俣出合に着く。ここから北俣本谷を行く。

堰堤は皆容易に越えられる。最終堰堤を越えるとそこは雪天国。標高1420mから吊り尾根2780m

までたっぷり雪は続いていた。

標高1800m

標高1750mでルートは右に折れる。このあたりからデブリと落石が目立つようになる。此処でスキーを担いで

吊り尾根を目指すことにする。ヘルメット必携である。

標高2300m二股

標高2300mで二股になる。右左とも吊り尾根に出る。北峰山頂付近から滑るなら右俣がよい。

南峰よりから滑るなら左俣がよい。どちらも急斜面。僕たちは左にルートを取った。

爺が岳と赤岩尾根

二股から振り返ると爺が岳がピラミダールにそびえ立っていた。

左股を行く

左股を登る際にシュルンドを確認しておく。落石には細心の注意が必要である。上部から音もなく飛んでくる。

吊り尾根手前

ようやく吊り尾根2780mが見えた。このあたりは急登であり,僕は四つん這いになってピックを打ちながら

登った。この日は新雪ザラメで斜面はきれいだった。

吊り尾根にて    

ようやく吊り尾根,北峰はすぐだが南峰は意外に遠い。バックは北峰。

南峰にて

山頂2889mにて記念写真。おいおい岩の上に乗って身長をごまかしているのは誰だ。

南峰から北峰を見る

時期によっては北峰山頂から右俣を滑ることもできそうだ。6月に入ってもまだまだ雪は多い。

いざエントリー

男なら吊り尾根雪庇の上から飛ぶべし。引き続いて僕も雪庇上から飛ぶべし。

吊り尾根直下

上部に吊り尾根雪庇が見える。このあたりジャンプターンの連続で高度を下げる。なかなかスリル満点。

左股上部

延々と急斜面は続く。ジャンプターンの連続で随分くたびれる。

ドンドン落ちていく

谷は徐々に狭まるが思いの他の新雪ザラメにほとんど自己陶酔。病気の二人。

もうすぐ二股

二股まで快適な滑りを堪能した。これだから止められません。

二股下

二股を過ぎると落石が多くなり,根性ですり抜けていくべし。

標高1700m

落石帯を抜け安堵感ただよう。ここから最終堰堤までまた快適な緩斜面ゲレンデが続く。

無事安全地帯

最終堰堤まで緩斜面が続く。時期が早く雪が多ければ西俣出合まで問題なく滑れるだろう。

              山行記録2003年6月8日(日)

週末寒気が入るとのこと。この時期もしかして新雪が楽しめるかも知れないと急遽
5年ぶりに北俣本谷に深澤君を誘って日帰りした。本谷はまだまだ楽しめます。

【山域】鹿島槍が岳(北俣本谷) 2889m
【場所】長野県
【日時】本日 6月8日(日)
【コース】大谷原−西俣出合−北俣本谷左股−吊り尾根−南峰−本谷往復
【メンバー】僕と深沢君
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12(僕)
    カービング150cm,ディアミール,TR9(深沢君)
【天気】晴れ後ガス

週末は休養日の予定だったが,金曜の天気予報で週末寒気が入りしかも日曜は晴れる
とならば行くしかないであろう。5年前の単独北俣本谷は4月であった。6月に入って
雪があるかどうか不安であったが駄目元で行くことに決めた。

6月7日(土)深澤君も山スキー中毒のようで僕が休みに山に行くなら必ず誘ってよと
言うので今回も即話はまとまった。仕事が終わって夜8時前に金沢を出た。いつもの
糸魚川すし活で今日は特上ちらし3200円を注文。すざまじいほどの豪華な具の量。感
激雨霰で店を出た(この店帰りも寄ってしまった)。店で深澤君にtelすると既に大
谷原に着いていた。雪は左股なら吊り尾根までつながっているとのこと。安堵感ただ
よう。

深夜近く大谷原着。深ちゃんもまだ起きていた。打ち合わせをして朝3時発を確認す
る。僕は仕事の疲れを癒すためコロッケとビールを飲んで寝た。結局この日も2時間
ほどしか寝られなかった。

6月8日(日)朝2時半起床。昨夜のコロッケがまだ胃にあるようで随分胃もたれして
気持ち悪い。吐きそうだ。ガスターを飲んで何とか一服。さあ急いで準備をしてモチ
ベーションを上げる。今日も気合い十分である。今シーズン40回目の記念山行である。

3.00 1100m 大谷原林道終点ゲート発。今日もMTBしかないだろう。暗闇を漕ぎ出
す。西俣出合まで標高差約300m,所々急登ではMTBを押すが概ね根性で乗車した。

3.46 1350m 西俣出合MTBデポ。まだ暗く今一つルートに悩む。雪は西俣には一杯
あるので本谷も期待できそうだ。ここから地下道をくぐり対岸にわたり堰堤を右岸か
ら乗り越す。最終堰堤のみ左岸から乗り越す。最終堰堤の上に出るとこの時期でも雪
は豊富だった。さすが本谷。ここからスキーで歩き出す。

4.23 1480m 最終堰堤上スキー歩行開始。デブリで汚れているが贅沢は言えない。
雪があるだけで満足だった。標高が1800mを越えたあたりから岩と土砂が目立ち始め
た。傾斜も急になったのでこのあたりでスキーを担ぐことにする。

5.22 1850m アイゼン歩行開始。さあ吊り尾根目指していきますか。深澤君は相変
わらず一直線に直登。とてもでないが僕はふくらはぎに痛みを感じるのでジグを切る。
歩くスピードを同じだが当然ジグを切る僕は離される。雪は堅くドンドン高度は上が
る。

6.26 2300m 本谷二股。本当は右俣を行き北峰山頂付近から滑りたかったのである
が前日の偵察で雪は途中で切れているというので左股を進むことにする。ドンドン高
度を上げるが陽が射した部分は雪が腐り始めたので歩きにくかった。ただし二股から
上部は新雪ザラメのおかげで凹凸は少なく帰りは楽しみである。来て良かった。

5年前の経験から落石の危険があるので深澤君にはヘルメットを持参するように伝え
ていた。案の定,数度落石があり一度すぐ横をピストルの玉が飛ぶようにすごい音を
たてこぶし大の石が飛んでいった。二人大いにびびった。あれに直撃されたらただで
は済まなかった。お互い細心の注意を払いながら落石を避けるルートを選びながらノ
ンストップで吊り尾根に駆け上がる。足は潜るので交互に先頭を変わりながらスピー
ドを上げる。

7.53 2780m 鹿島槍吊尾根。ふーっ無事到着。雪は切れることなく申し分のない量
と雪質であった。南峰山頂には前泊の登山者が一名見える。此処で荷物をデポし最高
峰の南峰を目指す。

8.16 2889m 鹿島槍南峰着。ようやく到着。二人きりの展望を楽しむ。しかし周囲
にはガスが沸きもたもたできない様相である。写真を撮って一気に下ることにする。

8.25 2889m 鹿島槍南峰発。まずいまずいガスが濃くなるぞ。急げ急げ。

8.38 2780m 鹿島槍吊尾根着。ガスが晴れるのを少し待つ。案の定晴れたので一気
に下ることにする。

8.45 2780m 鹿島槍吊尾根発。かっこいい写真を撮ろうと深澤君に雪庇付近から飛
び込んでもらった。ウーン決まった。お次は僕もとってもらう。上部は40度程度の急
斜面が延々と続く。雪質は良く落石もなく。今日も自己陶酔であった。ずっとジャン
プターンばかりなのでいい加減に疲れてくる。お互い交互に先頭を譲り写真を取り合
う。少し下るともう上部は濃いガスに覆われてしまい以後晴れることはなかった。やっ
ぱ3時発で良かった。

9.20 2300m 本谷二股着。ようやく到着。此処まで実に快適な滑りだった。この時
期新雪に出会うとは夢にも思わなかった。やっぱまだオフにしなくて良かった。ここ
から下は落石の雨霰。飛んで飛んで落石を避けるも叶わず随分板は痛んでしまう。御
免なさい。来シーズンは用具をすべて新品に替えることにする。落石多発地帯は板を
少し脱いで歩くが,そこを過ぎるとまたゲレンデ状態。本来の滑りを取り戻す。

9.55 1480m 最終堰堤着 スキー終了。大満足の滑りであった。此処で板を洗いス
キーを担いで下る。

10.23 1350m 西俣出合MTBデポ。もう着いたも同然。あとは一気に下るのみ。

10.38 1100m 大谷原林道終点ゲート。わずか15分で到着。鹿島槍往復7時間半。
スキーとMTBのなせる技だろう。深澤君は来週の水曜もまた行こうと言うが僕は用事
があります。梅雨の晴れ間を狙ってもう少しスキーで遊ぼうと約束して解散した。

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