白馬沢左俣 長野県

白馬沢左俣は白馬山頂直下から落ちる急峻なルンゼである。核心部分のノドには滝が出るため滑降時期が難しい。

この滝の巻きもかなり難儀である。滑るなら白馬沢右俣から登りラインをしっかり見極めた上で無いと

進退極まる事になりかねない。ようやく念願がかない滑降に成功した。

登りのラインは赤の白馬沢右俣,下りは青の左俣

大雪渓から見た左俣

白馬沢に少し入ると左俣の全貌が見えた。山頂から雪は何とか繋がっていた。行くしか無いか。

白馬沢

白馬沢の下部は緩やかで快適である。振り返ると雲海が。

白馬沢右俣

右俣も徐々に岩で荒れ出した。傾斜もきつくなっていく。

右俣上部

標高1800m辺からスキーを担いでアイゼンで登る事にした。

右俣見下ろし

右俣はエクストリーム滑降の初級ライン。

右俣稜線直下

右俣も稜線下で広大な斜面となる。

稜線から見た左俣

山頂から落ちる左俣は実に美しいラインである。

稜線にて

稜線に出ると小蓮華が見える。もう夏道がしっかり出ていた。

白馬山頂にて

旭岳をバックに記念写真。いよいよ左俣にエントリーする。

左俣上部

山頂付近は崩壊したオーバーハングの雪庇やシュルンドでエントリーできず,直下からエントリーした。

急な左俣

雪面は荒れており快適には程遠かった。落石も多かった。

どこまでも落ちていく

どこまでも落ちて下さい。転けたら終わりです。

左俣核心部手前

緊張して滑るとほどなくノドに出る。ここは滝が出ていた。

滝の難儀な巻き

滝の巻きが最大の難所だった。雪壁を這いながらトラバースした。

巻いてまたゴー

巻いたら白馬沢まで本流まで雪は繋がっていた。

白馬沢二俣

ようやく白馬沢の二俣が見えた。もう大丈夫だ。

左俣見上げ

なかなかスリリングな滑降でした。

林道にて

林道では新緑が眩しかった。今日も完全燃焼。

僕達の滑走写真を白馬沢右俣で撮影してくれた方がいました。赤の矢印の下が僕と名人

山行記録2006年6月4日(日)

シーズン終盤、以前から狙っていた白馬沢左俣滑降に挑戦した。核心部分は滝が出て
おり際どい巻でしたがかろうじて雪を繋げて無事滑降に成功しました。

【山域】白馬沢左俣 2932m
【場所】長野県
【日時】6月4日(日)
【コース】猿倉―白馬沢右俣―稜線―白馬岳―白馬沢左俣―白馬沢―猿倉
【メンバー】深沢名人と二人
【装備】フォルクルマウンテン156cm,TLT,ガルモントメガライド(僕)
    K2サミット 150cm,ディアミール,ガルモントメガライド(名人)
【天気】晴れ

6月3日(土)この日も仕事が終わった夜金沢を出てすし活で飯を食べて猿倉に入っ
た。猿倉にはすでに名人が到着していた。かなり雪は減ったとは言えまだ林道には雪
が残っていた。すぐに宴会しながら作戦会議をした。

山頂から白馬沢左俣に雪が繋がっていれば第一候補、だめなら二号雪渓と鑓中央ルン
ゼのハシゴとした。ぼちぼち寝るか。

6月4日(日)朝三時起床。駐車場には5割くらいの車が止まっていた。さあ気合い
を入れていきますか。

4.00 1235m 猿倉発。スキーを担いで行く。しばらくで先行者に追いつく。高山の
篠崎Drだった。しばらくおしゃべりをしながら歩く。彼は鑓方面へ行くと言ってい
た。長走沢も雪で渡れた。ここから雪は十分繋がっておりシール歩行とした。例年の
1ヶ月遅れの雪だ。嬉しい。

大雪渓から見た白馬沢左俣は山頂から雪が何とか繋がっていそうだった。名人行くし
かないな。合点、と言う事で第一候補を攻める事にした。

4.55 1500m 白馬沢。下部は緩やかな斜面、石も少なく快適だ。

5.40 1800m 白馬沢二俣。左俣はかなり荒れて落石の巣になっていた。ちょっとび
びるが男なら行くしかなかろう。右俣をどんどん詰めて標高1800m辺りからスキーは
不可能になりアイゼン歩行とした。ガシガシ高度を上げると稜線が見えた。

7.49 2680m 稜線。ここから見る左俣ラインは実に美しいラインだった。感激。稜
線からは夏道が出ており山頂を目指す。
 
8.47 2932m 白馬岳山頂着。ようやく着きました。回り道だから時間は少し余計に
かかった。山頂で記念写真を撮りながらエントリー場所を探す。

山頂裏は雪がない、少し下は雪庇が崩壊しオーバーハング、もう少し下ったとこは行
けそうだったが上からのぞくとシュルンドがありこれまた却下。更に下へ行くと何と
かエントリー出来そうだ。山頂から標高差は十数メートル程度の差だろうからまあい
いか。

9.31 2932m 白馬岳山頂発。さあエントリーだ。2号雪渓よりは遙かにハードだろ
う。ジャンプターンで荒れた急斜面を落ちていく。なかなかの斜面だ。主稜の脇をど
んどん滑る感じである。高度感はあるが問題ない。山頂にはギャラリーがずっと見て
いる。どんどん下ると標高2500m付近に滝があった。ここが核心部分だ。ここから際
どい尾根の乗越をする。スキーを担いでアイゼンに履き替え60度近い壁を這いなが
らトラバースする。落ちたらただでは済まない。神経をすり減らし何とか巻いた。

巻いた場所からはずっと雪が繋がっている事は登りで確認していた。さあーゴーゴー
落石を避けながら快適に落ちていく。たまに深い縦溝があるから要注意だ。

10.39 1800m 白馬沢二俣。やりました。無事右俣に合流です。もう安全です。後は
一気に下りて行った。

10.48 1400m 林道。長走りまで快適に滑る。

11.14 1235m 猿倉着。万歳。ようやく長年の課題を一つ終わらせる事ができた。

駐車場で片付けをしていると右俣を滑った三人パーティがやはり早川―深沢パーティ
でしたかと声を掛けてくれた。稜線から弁当を食べながら見てくれていたそうで、転
けなくて良かったです。



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