笈ヶ岳 1841m 石川県
笈ヶ岳は深田久弥も百名山に入れたかったと言うだけあって白山の北方稜線の山々の中でもでもひときわ
高く奥深い山である。残念ながら登山道がなく残雪期しか登頂が出来ない。白川側と中宮側から登頂を目指す。
今回中宮側のジライ谷から日帰りでスキー山行を行った。予想通り厳しい山行だった。
一里野からしばらく進むとゲートがある。通常中宮までの開通は4月中旬以降である。ここから
白山自然保護センターまで約4km自転車があれば楽である。歩けばゆうに1時間はかかる。
ジライ谷出合
料金所少し手前に自然保護センターがある。ここから水平な遊歩道が野猿園左まで続く。歩いて約30分
正面がジライ谷狭く急な険悪な谷である。写真右左岸尾根に取り付くが,踏み跡はしっかりしている。
かなり急な尾根を枝にしがみつきながら標高を上げる。兼用靴でスキーを担ぐとかなりしんどい。
標高1100mのブナ林
この辺りはブナ林が素晴らしい。手つかずの原生林である。この年は標高1000m付近まで尾根上に
雪は全くなかった。この辺りからスキーが履けるが此処より上部も尾根の西側をトラバースしながら進む。
尾根から見た白山
標高1200m辺りで振り返ると白山の眺めが素晴らしかった。白山を背にしてどんどん標高を上げる。
尾根上部から見た冬瓜山
標高1450mで尾根は終了。稜線に着く。右が冬瓜山,さらにシリタカ山へと続く。
冬瓜平
冬瓜山の北には平坦な地形が広がる。一般的には此処でテントを張って翌日笈ヶ岳を目指す。
冬瓜山頂のナイフリッジ
山頂の約20mのナイフリッジは雪が非常に不安定でいつ落ちても不思議ではない。
神に祈りながら馬乗りになって進む。冬瓜山北をトラバースして冬瓜山を過ぎた鞍部に出ることも出来る。
シリタカ山山頂付近にて
冬瓜山の次はシリタカ山。ここからは笈ヶ岳に続く稜線が見渡せる。ここから一端下るが,稜線西には
雪庇が発達しているので十分気を付けたい。
雲沸く白山
この辺りから白山には雲がわきだしていた。天候は崩れそうである。
シリタカ山を過ぎた鞍部
鞍部から見た笈ヶ岳(写真左)。見上げるその姿は登行意欲をかき立てる。
鞍部の先
正面に見える稜線が白山から続く北方稜線である。正面の三角岩は左から巻いていく。
北方稜線にて
ここから山頂まで穏やかな登りが続く。稜線東側を適当にトラバースしながら進む。
手前ピークからの滑走もなかなか楽しい。
山頂手前
手前ピークを過ぎるといよいよ笈ヶ岳が見える。長い長いアルバイトがようやく終わる。
山頂にて
天候は下り坂。急いで下りなければ。この山は短い板がよい。背負ったスキーに藪が絡まると難儀する。
山頂から見た人形山
正面人形山も山スキーに適した名山である。
山頂から見た北方稜線
この稜線が白山までつながる。正面左に三方岩岳が見える。白川側からのこちらからのアプローチも長い。
山行記録2002年3月31日(日)
白山北方稜線で最も奥深く登頂が厳しい笈ヶ岳に今回は石川県中宮側からリベンジを
果たしてきました。緊張とトラブル続きの13時間労働でした。でもスキーで滑れて良
かった。
【山域】笈ヶ岳 1841m
【場所】石川県 白山北方稜線
【日時】本日 3月31日(日)
【コース】一里野−中宮−ジライ谷左岸尾根−冬瓜山−シリタカ山−笈ヶ岳−ジライ
谷1100m−登り返しジライ谷左岸尾根−中宮−一里野
【メンバー】単独
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12
【天気】晴れのち曇り,ガス,雨
笈ヶ岳は深田久弥も百名山に入れたかったと言うだけあって白山の北方稜線の山々の
中でもでもひときわ高く奥深い山である残念ながら登山道がないのとアプローチの大
変さから今ひとつ知名度に欠けるが古くから信仰の山であった。以前から是非ともス
キーで滑りたいと思っていた山だった。今回は中宮温泉側からトライした。ついでに
険悪なジライ谷も滑り降りる予定だった。
3月30日(土)前回白川郷から挑戦し悪天で敗退した笈ヶ岳にリベンジを果たそうと
晩飯が終わった夜8時車に自転車を付けいざ一里野へ向かった。一里野スキー場の下
部はまだ雪が残っている。雪解けが早いと行ってもまだ3月だ。雪はそこそこあるこ
とを期待した。一里野を過ぎしばらく進むと案の定ゲートがあった。こんな事だろう
と自転車を持ってきてある。ゲート前に車を止めいつものように車中泊。満月が輝い
ていた。
3月31日(日)朝3時50分起床。今日は気合いが入りそうだ。頑張って明るい内に戻り
たい。車から出ると後続に1台到着。山ヤではなく釣り師だった。
4.26 610m 一里野ゲート発。暗闇の中自転車にまたがり中宮を目指す。距離にして
約4km歩けば1時間はゆうにかかる。
4.51 610m 白山自然保護センター着。この辺りで30cmの積雪。ここから遊歩道がジ
ライ谷まで延びているはずだが雪と暗闇のせいで入り口がとんと分からず,行ったり
来たり難渋する。気持ちは焦るが明るくなるまで待つしかなかった。時間を大幅にロ
ス。明るくなって遊歩道取付が分かりほぼ水平な遊歩道をジライ谷へ向かう。
5.37 680m ジライ谷着。ジライ谷を見上げるが噂どおり険悪な急な狭い谷である。
とても登りでは使えない。両側壁は切り立っており何が落ちてきても不思議ではない
危険な谷である。ここから左岸の急な藪尾根をスキーを担いで登り出す。踏み跡はしっ
かりしていたが,かなり急な尾根であり兼用靴でスキーを担いで登るのはかなり大変
だった。スキーが藪に引っかかり素直に進めない。尾根上はまるで雪が無くがっかり
した。やはり雪解けは早いのだ。
6.48 ジライ谷左岸尾根1140mスキー歩行開始。何とか尾根上1000mを過ぎたあたりで
雪が出てきた。1140mからようやくシール歩行が出来た。これでスキーが引っかかる
ことはない。ここから上部も尾根上には雪は少なく仕方なく尾根の西側をトラバース
しながら進む。スリップしたらただでは済まないため気が抜けない。
7.24 地図上1271m。尾根上も小さなアップダウンがありしんどい。その後忠実に尾
根を進み冬瓜平に到着。冬瓜山は山頂が危険なナイフリッジとなっているため冬瓜平
の少し上をトラバースしながら冬瓜山を過ぎた鞍部に出るつもりだったが,雪が少な
く途中でトラバースは断念。そこから再び稜線戻るために急な雪壁を直登する。登る
につれ傾斜は増し生きた心地はしなかった。
10.17 1699m シリタカ山。稜線に出てからも細かなアップダウンがありシリタカ山
を過ぎて大きく下る。この辺りから見る笈ヶ岳は圧巻だった。最低鞍部まで下りいよ
いよ北方稜線が迫ってくる。
10.52 1785m 白山北方稜線。やっと此処まで来たか。笈ヶ岳まであとわずかだ。稜
線に出てからは展望を楽しみながら先を進む。手前のピークを過ぎてようやく笈ヶ岳
が見えた。あとわずかだ。やっと念願が叶う。
11.23 1841m 笈ヶ岳山頂着。山頂からの展望は360度だった。白山をはじめ,ひと
きわ目立つ猿ヶ馬場山,更に先に大笠や大門がよく見えた。記念写真を撮りまくりさ
あシールを外す。
11.45 1841m 笈ヶ岳山頂発。行けぞ。念願の山頂滑走だ。余韻に浸る間もなくあっ
という間にシリタカ山手前の鞍部までザラメの極上の滑りを楽しんだ。
11.54 1590m シリタカ山手前の鞍部。此処で一息。振り返ると笈ヶ岳が素晴らしい。
此処でシールを貼り冬瓜山まで150mの登り。雪は腐りダンゴ状態に閉口する。帰りは
あの雪壁は御免なので忠実に稜線伝いに行く。
1.11 1627m 冬瓜山。山頂の約20mのナイフリッジはマジで怖かった。下から見ると
雪が非常に不安定でいつ落ちても不思議ではない。神に祈りながら馬乗りになって進
む。ナイフリッジを無事すぎて一息つくと今度はホワイトアウトになった。雨風も強
くなってきた。ここから尾根は広くなる。もう勘弁してくれ。GPSなんてしゃれた物
はないのでコンパスを頼りにスキーで下る。途中かすかに行きのトレースを発見これ
で助かった。下りはもう一つの課題であるジライ谷滑走を試みることにした。もし滝
が出て下れなければ登り返すことにした。まだ余力は残っている。
標高1400mよりジライ谷の源頭に飛び込んだ。上部は広く快適だったが,徐々に廊下
状に細くなっていく。両側壁から落ちたデブリがすざまじい。来るんじゃなかったと
少し後悔。標高1150mで最初の滝に遭遇。左岸を巻いてクライムダウン何とか通過し
また下ると完全に水流が出ている箇所に出た。まずいこの先もたかが知れているだろ
う。命あっての物種だとここで滑走は中止。ここから再び登り返すが雨で雪は大いに
腐りズブズブと潜る。さすがに疲労困憊。明るいうちに帰らねば。根性で登り返し。
何とか左岸尾根1300mにたどり着く。これで帰れる。
3.09 1300m 尾根上。ここからも小さなアップダウンが続き大いに体力消耗。
3.22 尾根上1250mスキー開始。ここでようやくスキーが履けたと喜ぶも標高差にす
ればわずか150mと雀の涙。再びスキーを担ぎ急な尾根を下るもスキーが引っかかり一
向に進まない。おまけに雨で濡れた岩は滑りやすく兼用靴では極めて歩きにくい。一
度木の枝を踏み雪の上を滑り落ちる。木に股ざき状態になり引っかかりようやく止ま
る。助かった。ここから下も道に迷いまた登り返す羽目にもう限界に近い。
4.37 680m ジライ谷出会い。ぼろぼろになってようやく遊歩道に出た。何とか暗く
なる前に帰れそうだ。
5.07 610m 白山自然保護センター。ここで自転車にまたがる。一里野ゲートまでま
たもアップダウン。最後の最後まで苦しめられる。
5.32 610m 一里野ゲート着。誰にも会わない静かなスキーが終わった。かみさんが
心配すると行けないから風呂にも入らず着の身着のままで金沢に帰る。既に真っ暗に
なっていた。かみさんは心配して10回近くも携帯を鳴らしていたとのこと大いに反省。
笈ヶ岳に登頂するだけなら登山靴にわかんが良いでしょう。スキーで滑りたい人はそ
れなりに覚悟してください。
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