奥大日岳(カスミ谷)(2605m) 

奥大日山頂から落ちるカスミ谷は傾斜も手頃で剣を見ながらのダイナミックなスキーが楽しめる。

しかし稜線の雪庇崩壊には十分気を付けよう。室堂からではなく小又川から山頂に登り上げて

初めて充実感が得られるというものである。

大日まではこちらへ

2万5千の地図

ルートは赤の通り,大日岳からはアップダウンの連続で距離も長く意外と疲れる。累積標高差は2300m

カスミ谷は目立った滝もなくコット谷出合まで遅い時期まで通過可能である。

奥大日へ

大日岳を過ぎてからのアップダウンが最後の核心部,山頂手前コルから250mの登り返しがきつい。

適宜進行左からトラバースも可能。

奥大日から大日の稜線を振り返る

稜線には雪庇がつながる。十分慎重に進もう。

立山方面

4月中ならまだ立山もひっそりしている。

奥大日山頂から

山頂からは剣が素晴らしい。

剣アップ

剣が三角錐に望める奥大日は最高の展望台である。

山頂からカスミ谷へ

雪庇の切れ間からいよいよカスミ谷へGo,傾斜はさほど急ではない。

カスミ谷を下る     

剣を見ながらカスミ谷を下っていく。デブリの少ない快適な谷であった。

稜線には雪庇が

稜線から雪庇が落ちないか常に監視していこう。

シュプール

僕は左,深澤君は右のシュプール,快適な滑り

カスミ谷2200m

真っ新な斜面がどこまでも続く。

標高2150m

剣を背景に,下に見えるのは天狗の踊り場標高2100m

カスミ谷全景

斜度は適度にあり危険性は少ない。雪庇の崩壊雪崩のみ注意しよう。

自己陶酔

標高1800m付近を行く。

標高1700m

この辺りから傾斜は緩くなっていく。標高1550mで二股。

カスミ谷下部

どこまでも自己陶酔。

コット谷出合

出合が近くなり雪割れが始まるが問題なく左岸を進める。

              山行記録2004年4月18日(日)

今シーズンの大きな目標の一つカスミ谷,室堂までバスで入って奥大日山頂から滑降
するなら誰でもできそうな山行である。しかし滑るならやはり下から歩いて奥大日に
登頂し滑降するのが正攻法の山スキ−ヤ−である。今日もあの人と燃え尽きた。累積
標高差は2300mあまりであった。

【山域】奥大日岳 2602m
【場所】富山県
【日時】本日 4月18日(日)
【コース】馬場島手前小又橋−コット谷−早乙女岳−大日岳−奥大日岳−カスミ谷−
コット谷出合−小又橋
【メンバー】早川・深澤
【装備】サロモン・Verse7 150cm,ディアミール3,ガルモントGライドg-fit(早川)
    K2・summit 153cm,ディアミール2,ローバストラクチュラ(深沢)
【天気】快晴

カスミ谷は予想通り静寂に包まれた素晴らしい谷だった。デブリも少なく快適な滑降
が楽しめた。

4月17日(土)いつもの如く仕事が終わるとすぐに富山へ直行。とろ一で最近やみつ
きになったキノコ汁,鳥から,すり身上げなどたらふく食べて上市に向かった。10日
前の赤谷の時に比べ驚くほど雪解けは進んでいた。剣センター前のゲートはもう開い
ていたので小又橋まで車が入れた。自転車は余計だった。

既に深澤君は山梨から到着していた。MLのパーティと仲良くなって宴会に混ぜてもらっ
ていた。折角だから僕も荷支度を終えてこのパーティの宴に混ぜて頂いた。高岡の滝
さんパーティ4人で明日大日へ行くという。記念写真も撮ってもらった後車に戻り明
日の打ち合わせを深澤君とした。

コースは西大谷尾根経由,長くつらそうな尾根である。初めてのコースでありザイル
や登攀具も持っていくことにした。出発は朝3時という事で早々に寝た。

4月18日(日)朝2時起床。目覚ましが鳴る前に眼が覚めた。トイレのついでに深澤君
の車を叩くと彼はもう起きていた。気合いは十分入っているようだ。ダンゴとゼリー
飲料を取っていざいざ。

2.52 625m 小又橋発。雪はなかったがしばらくで出てきた。暗闇の中小又川の徒
渉点を探しながらウロウロするので時間はかかってしまう。クズバ山に突き上げる目
標の沢にやっとの事で到着したが目の前の光景に愕然とした。沢は雪解け水で溢れか
えり入渓不可であった。もう帰りたい気分だったが深沢君が山梨から6時間かけてき
て帰るわけには行かないと涙声,しょうがないコット谷経由で行きますかと彼を慰め
気を取り直した。この間河原を何度も行ったり来たりを繰り返し時間は大幅にロスし
た。

堰堤は大抵どちらからか越えることができた。雪は少なくいずれ厳しい徒渉も必要に
なるだろう。今回はデブリ橋で濡れることなく進めた。

4.24 840m 林道出合。ここが林道終点だ。このコースは辞めた方がよい。まだ徒渉
した方が早いかも。

4.49 995m コット谷出合。ふむふむカスミ谷からの合流部は問題なくスキーが可能
だ。ここからゆるんだ雪をコルを目指して懸命に進む。ようやくコルの手前で朝陽が
コルにあたりだしてきた。

6.01 1515m コット谷コル。対岸のブナクラ谷も雪解けは進んでいる。5月に入る
ともう終わりだろう。ここから疎林の尾根上を快適に早乙女を目指す。風は緩く楽勝
だ。
  
7.57 2035m 早乙女岳。ようやく到着。3月の人津谷経由で入山したときに比べや
はり雪は2m近く減っていそうな感じである。ここから大日も雪は緩んでおり登りやす
かった。前日はツボ足1名,スキー2名が大日登頂を果たしたようである。
 
9.23 2501m 大日岳山頂。ようやく到着。雪庇が怖いので山頂を少し巻くようにし
ながら大日小屋に下りた。ここから見る奥大日はまだまだ先である。おまけにアップ
ダウンはかなりきつそうで雪庇にも十分注意が必要である。奥大日手前ピークまでシー
ル歩行しここからスキーで一端コルまで滑る。最後の登り標高差250mがきつかった。
限界ではないがかなり疲労していた。
 
11.42 2605m 奥大日岳山頂着。ようやく到着。山頂から見る剣は圧巻だった。三角
錐の端正な姿はここの展望の象徴である。剣をバックに何枚も記念写真を撮る。
バスが開通した立山方面はまだ人がまばらであった。深澤君はまだ十分余力がありこ
こから更に雄山まで足を伸ばしても良いと言っている。冗談だろう,頼むもう勘弁し
て欲しい。彼の目標は厳冬期の雄山日帰りであった。懸命にルート研究をし写真を撮
る彼を横目にもう行きますぞ。

12.17 2605m 奥大日岳山頂発。それカスミ谷だ。雪庇の切れ間から一気に谷に飛び
込んだ。あいにく雪は重たく疲れた足に余計に響くが剣を正面に見ながらの滑降は言
うこと無し。誘発雪崩と上部雪庇を常に警戒し慎重にシュプールを描いていく。
この谷はデブリは少なく真っ新な快適な谷だった。念願が果たせた。僕たちは交互に
写真を撮りながら下りていった。

1.13 1550m カスミ谷二股。雪崩の心配はまるでなくここまで下りてきた。ここか
らも快適な緩斜面が延々と続く。

1.22 1355m 大日山谷出合。大日山谷はかなりデブリで荒れていた。大日山谷は過
去2回滑っているが快適さならカスミ谷が遙かに上だろう。ここからコット谷出合ま
でたまに雪割れがおきていたがまだまだ数週間は通過可能であろう。

1.32  995m コット谷出合。ふーっようやく安全地帯に到着。山頂から1時間10分ほ
どであった。写真を撮らずに一気に来れば30分で来るだろう。やはり山スキーはすご
い。あとは惰性で小又川を右岸左岸と滑り下る。

2.16 625m 小又橋発。今日も大満足,しめて11時間20分今日も大満足の一日であっ
た。

過去にこの時期奥大日を下から日帰りされた方いますでしょうか。
カスミ谷はそれほど危険ではなくお勧めです。ただし自己責任です。

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