針木岳(2820m)・蓮華岳(2798m)蓮華大沢 長野県
扇沢を起点に針ノ木岳山頂から滑走した後雪渓を登り返し峠から蓮華岳に登頂。山頂から蓮華大沢左股を滑り降りる
と言う累積標高差2000mの欲張り山行である。針ノ木山頂からの急斜面と蓮華大沢の急斜面が最大の見所である。
針ノ木雪渓取付
雪の多い年なら駐車場向かいのレストランのすぐ裏に出ればそこは雪渓,ここから稜線までスキー歩行で
難なく歩けることだろう。
赤沢の猛烈でブリ
赤沢岳から落ちた全層雪崩れが針ノ木雪渓で猛烈なデブリを形成していた。左岸を歩く場合は常に気を付けよう。
大沢小屋付近
大沢小屋まで来れば正面に針ノ木岳が望める。標高2250m辺りで右手マヤクボ沢に入り稜線を目指すのが
楽である。
マヤクボ沢2500m
マヤクボ沢上部ではカール状の広大な斜面が広がる。稜線までもうすぐだ。
針ノ木ルート
針ノ木までのルートは写真のように行くのが最も効率的だ。稜線までスキーが使えるが,稜線からは
アイゼンとなる。山頂直下の斜面は50度を超す。
針ノ木山頂にて
山頂からは剣岳の展望がすこぶる良い。
蓮華方面
山頂からは蓮華の展望も良い。峠から蓮華までは雪のほとんど無い夏道を歩くことになる。
針ノ木岳直下急斜面
山頂からの急斜面は50度を超す。転けたら終わりだが快適すぎてつい飛ばしてしまう。これぞ山スキー
このまま針ノ木雪渓2200m付近まで滑り降りていよいよ峠への登り返しである。
峠から蓮華までの間で
峠から蓮華に行く途中,雷鳥さんとご対面。逃げないで写真を撮らせてくれた。
蓮華山頂にて
蓮華までは意外に長かった。山頂からは爺,鹿島槍の展望が見事である。
いよいよ山頂から大沢左股を滑り降りる。右股でも良いが,左の方が急斜面で楽しそうだった。
広大な大沢上部
大沢上部はデブリのない真っ新な大斜面が広がる。これだから山スキーは止められない。
大沢左股標高2600m
しばらくは何処までも快適な斜面が続く。
シュプールを振り返る
僕は右の大回り,深沢君は左の小回りターン。どちらも楽しいのです。僕たちだけのシュプール。
だんだん狭くなる
左股はだんだん狭くなり2200m付近でノドとなる。此処は数mの幅となり超急斜面,水の音が聞こえたので
2250m辺りから左にトラバースして右股斜面を目指した。このまま左股は滑れるのか誰か教えて。
右股合流手前の急な壁
そう易々と右股には移れなかった。合流手前で急な50度を超すガチガチの狭い斜面が待ち受けていた。
雪が続いていたので何とか滑り降りた。深沢君も難儀している。標高2000mで右股と合流。
大沢下部,大沢小屋付近
大沢小屋付近からは大沢全景が見える。左股はよく見えない。雪の切れ具合は現地でしか分からない。
右股の方が安全性は高いが,ちょっと物足りないかも。
山行記録2003年4月27日(日)
GW初日,まだ一度も滑っていない針ノ木方面を先日火打に同行した深沢君と山梨のド
ン三井さんをお誘いして,折角金沢から行くなら一日で2山滑ろうと企てた。まんま
と大成功のはこびとなった。
【山域】針木岳 2820m 蓮華岳 2796m(蓮華大沢左股)
【場所】長野県
【日時】本日 4月27日(日)
【コース】扇沢駅−マヤクボ沢−針ノ木山頂−マヤクボ沢経由針ノ木雪渓2250m−針
ノ木峠登り返し−蓮華岳−蓮華大沢左股−2000mで右又へ−大沢小屋−扇沢
【メンバー】僕と深沢君と三井さん
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12(僕)
カービング150cm,ディアミール,TR9(深沢君)
ゲレンデカービングスキー,ゲレンデ靴(三井さん)
【天気】小雨のち晴れ
まだ未滑走の針ノ木雪渓と蓮華大沢,累積標高差は約2000mだが雪質の良い午前中に
は戻るという予定で勝手に計画を立てMLの常連三井さんコンビを誘う。
4月26日(土)仕事が終わった夜7時前いつものように金沢発。オーダーストップ夜9
時の白馬飯店目指し雨の高速をすっ飛ばす。何とかギリギリ間に合い,いつものよう
にエビチャーハンと五目ラーメン。ウーン大満足これで計画の3割達成である。
ガスと小雨で視界の悪い扇沢に着いたのは夜10時過ぎ,駐車場は満車だがいつもの要
領で最高の場所に止めることができた。ほんまに晴れるのか心配になったがすぐ就寝。
4月27日(日)朝3時過ぎ起床。集合時間は駐車場横レストラン朝4時だ。何と小雨が
降っている。ほんまかいな。愕然としながら完全防水で身を固めいざ出発。待つこと
少し山梨メンバー到着。軽く挨拶をしていざ出発。
3.59 1400m 扇沢駅駐車場横レストラン発。暗い気分,もちろん僕たちしか歩き出
す人などいない。小雨の中ライトを付け黙々と歩き出す。デブリを避けながらずっと
雪の切れない雪渓を快適に歩く。
4.50 1670m 大沢小屋着。この辺りでもう薄明るい。小屋からスキーヤが出てきて
僕たちの前を歩いていた。軽くかわしてどんどん行く。先行者は皆無である。
6.07 2300m マヤクボ沢着。此処までかなりのハイペースであったが,皆黙々と歩
いていた。まだ雪渓はガスで覆われ視界が今一だ。目指す針ノ木も見えない。マヤク
ボをガンガンシールで歩き通し上部の急斜面もこなすとようやく針ノ木左手の稜線に
出た。
7.33 2800m 針ノ木稜線着。深沢君を待つことしばらくようやくガスも晴れ展望が
広がってきた。ナイスな光景である。劔が眩しい。稜線から最後の急登はアイゼンで
歩いた。
7.58 2820m 針ノ木岳山頂着。無事到着。此処が針ノ木山頂か。なかなか良い展望
である。蓮華もよく見える。しばらく待ってなさい。しばらくで三井さんも無事到着。
三人でしばしの休憩とおやつタイムである。雪は山頂からつながっている。なかなか
の急斜面であるが実におもしろそう。
8.20 2820m 針ノ木岳山頂発。いざ出発,すぐに50度を超す急斜面,僕が最初に飛
び込んだ。超快適,雪質も程良く締まってもう自己陶酔の世界。スーキーって本当に
楽しいですね。次々に急斜面に飛び込んでくるメンバーを写すのに忙しい。あっと言
う間に皆滑り降りてしまった。
8.33 2250m 針ノ木雪渓。さあここからが今日のメイン大沢左股である。三井さん
は登り返すとすぐに足が痙攣してしまい無念のリタィアー。先に滑って下で待つこと
になった。ここからは火打でパワフルな馬力を見せてくれた深沢君と共に根性を入れ
登り返す。先行パーティーを軽くかわして峠が目前になった。
9.09 2536m 針ノ木峠着。ここからは雪のほとんど消えた夏道を蓮華岳までスキー
を担いで登り返す。意外と長い道のりであった。
10.24 2798m 蓮華岳山頂着。ついに到着。雪は十分すぎるくらいあった。しばし休
憩の後急な左股斜面を山頂から一気にダイブすることにした。
10.44 2798m 蓮華岳山頂発。素晴らしい急斜面であった。一切のデブリのない真っ
新の純白の斜面に僕たちは狂喜乱舞した。こんな素晴らしい斜面もあったんだ。遙々
来た甲斐があった。
11.18 2250m 蓮華大沢左股ノド手前。どうかいつまでもこの斜面が続いてくれと祈
るのも束の間,標高2200m付近を見下ろすとノドのように狭まっている。わずか数mの
超急斜面のようだ。何やら水の音もする。このまま下りて滝だったら一貫の終わり,
登り返すのも厳しい。
と言うことで安全策をとってここから右又を目指してトラバースした。樹林を避け避
け何とか右又が見えてきたと思ったら,最後の50度を越すガチガチの狭い斜面が待ち
受けていた。ちょっとビビルなと思いながら適当にジャンプと横滑りを駆使して何と
か右又に降り立った。
11.23 2000m 大沢右又着。此処にボーダーのシュプールが付いていた。右又を登っ
て途中から滑ったのだろうか。稜線にはトレースは皆無であったが。ここからは緩斜
面を風を切りながら一気に下った。
11.35 1670m 大沢小屋付近。
11.45 1400m 扇沢駅駐車場着。フーッ楽しい楽しいスキーだった。予定通り午前中
には下ることができた。荷物を片付けているときに仕事の電話が鳴ったのでメンバー
には携帯でお別れをしてまたの再会を誓って金沢まで飛ばして帰った。