猿ヶ馬場山(北西尾根) 1875m 岐阜県
山頂から直に北西に伸びるこの尾根はパウダーの宝庫であった。しかしかなり厳しいバリェーション
だから挑戦するなら心して頑張って欲しい。
通常のノーマルコースは左の黄色のコース。帰雲山経由コース
林道を出て20分,宮谷下部
宮谷下部は険悪で雪崩の危険が高い。取付手前まで右岸を進んだ。写真左がけの上を高巻いて進んだ。
高巻き中に川に落ちたらただでは済まない。
ダイブ
下りは右岸から左岸に渡り,また右岸に戻った。ダイブして対岸に飛んだ瞬間の深澤君。
崩れたら腰まで水に浸かったはず。成功して良かった。成せば成る。
北西尾根取り付き
標高700mから更に奥にも堰堤群が続く。取付は堰堤左の尾根。最初はかなり急登。
モンキーラッセルの連続。
また徒渉
尾根に取り付く直前にもう一度徒渉。深澤君は滑って川に落ちた。
標高900m
この辺りでようやく尾根は緩み,山頂まで快適な登りを保証してくれる。
ブナの原生林
ブナの原生林をラッセルする。これが山スキーの醍醐味である。
笈ガ岳(左)大笠山(右)
振り返れば笈ガ岳,大笠山が白く輝いていた。
ブナ林のラッセル
厳しいラッセルが延々と続く。これも山スキーである。
標高1700m
籾糠山がこの辺りで輝いて見える。
巨大モンスター
標高1700mから1800mまでお化けモンスターが続く。
山頂手前雪原
さあもう少しで山頂だ。ラッセルから開放される。
山頂
今日も自分との闘いに勝った。充実感は格別である。
ブナ林かっ飛び
ブナ林をかっ飛ばす深澤君。いつもの華麗な舞い。
パウダースキー
150cmの板だがおもしろいくらい浮いた。
粉雪
粉をまき散らし滑り込む。
雄叫び
だから山スキーは止められない。今日も完全燃焼だ。
山行記録2004年2月11日(水)
猿ヶ馬場のスキールートは帰雲山経由が一般的だが地図を見ると山頂から直に北西に
伸びるスキー向きの尾根がある。どうしてこのコースの報告が無いのか不思議であっ
たが,今日氷解した。徒渉有り,崖上トラバース有り,急傾斜の藪漕ぎ有りととても
ハードなコースであった。川に落ちてびしょ濡れになるハプニングもあった。しかし
それを帳消しにする最高のパウダー尾根であった。
【山域】猿ヶ馬場山 1875m
【場所】岐阜県
【日時】2月11日(水)
【コース】天生峠林道除雪終点−宮谷右岸−北西尾根−山頂往復
【メンバー】僕・深澤君
【装備】サロモン・Verse7 150cm,ディアミール3,ノルディカTR12(僕)
K2・summit 153cm,ディアミール2,ローバストラクチュラ(深沢)
【天気】晴のち曇り
猿ヶ馬場は4回目だが新たなルートを開拓すべく,今日もあの人を呼びだして挑戦し
た。深澤君は初めて聞くこの山にいきなりバリェーションからの挑戦にもかかわらず
下道を9時間かけてやってきた。これが本当のスキー馬鹿か。
2月10日(火)今日も仕事が終わった夜7時過ぎ,高速を走らせた。豪雪地帯の白川郷
の道の駅であの人と待ち合わせであった。彼は先日スキーで足をひねって以来安静に
していたが根性で復帰第一戦にやってきた。道の駅に着くと既に彼は到着しており晩
飯のカップ麺を食べているところであった。
彼の食事が終わった頃車で天生峠林道を走らせた。案の定入ってすぐの地図上600mで
除雪は終了していた。僕の車に入ってもらいいつものように酒盛りをはじめた。今日
は時間に余裕があり少し酔っぱらった。
2月11日(水)朝3時起床。それほど寒くはなかった。問題は北西尾根の取付に安全に
取り付けるかである。食事をしながらモチベーションを上げる。
4.05 600m 天生峠林道除雪終点ヘアピンカーブ地図上600m発。今日も暗闇スタート
だ。宮谷の右岸を堰堤を越えながら進む。この辺りで左岸に行こうとスノーブリッジ
をスキーで渡っている時ブリッジは落ちて僕はスキーごと川に落ちた。
やってしまった。スキーにシール,靴の中までびしょびしょだ。足が凍傷になりそう
である。早くも敗退かと諦めたが深澤君が予備のインナーが車にあるという。合うか
分からないが濡れ鼠で車に戻る。あっと言う間にスキーもシールも凍り付いてしまっ
てた。車に戻り暖房を全開にし足を暖めシールを乾かす。深澤君は外で板にこびりつ
いた氷の固まりを取ってくれていた。シールは何とかなりそうだ。インナーと靴下を
借りてもう一度モチベーションを上げることにする。山行を止めれば9時間かけて来
た深澤君に申し訳が立たない
5.35 600m 天生峠林道除雪終点再出発。もうへまはしない。対岸の徒渉は止め右岸
の崖上を高巻いて根性で危ういトラバースをすることにした。怖くて下は見られなかっ
た。川に落ちたらただでは済まない。何とか危ういトラバースをこなすと堰堤群が見
えた。これもすべて右岸から乗り越すが雪が付いていなければ乗り越せないドキドキ
の厳しいトラバースであった。
ようやく堰堤を越えると目指す北西尾根の取付が見えたがまたもや川に行く手を阻ま
れる。ブリッジは無い,徒渉だ。凍り付いた石を伝い何度も足を取られるが何とか対
岸にたどり着いた。2番手深澤君はやはり川に滑って落ちた手袋は濡れて凍り付い
たがブーツのバックルを完全に締めていたおかげで水は入らなかった。助かった。
6.44 700m 猿ヶ馬場北西尾根取り付き。ようやく取付にたどり着いた。ここまで最
初に出てから2時間半を越えていた。難儀なルートである。しかし取付はかなり急な
傾斜で藪もあった。根性のモンキーラッセルで高度を上げる。今日も激しいですね。
深澤君は傷めた膝をかばいながらの登行である。今日は150cmの板にしたのでかなり
潜ると嘆いていた。膝ラッセルの厳しい登りを交代で進む。
ようやく斜度も緩むとブナの原生林の宝庫になった。厳しいラッセルをものともせず
ガンガン登っていく。
8.41 1043m 地図上1043m。ここで少し下ると山頂まで素晴らしいパウダーの登りで
あった。ブナの原生林を見ながらの登りは全然苦にならない。今日も来て良かった。
これしか言葉は見つからない。その後も交代でラッセルを変わりながら高度を上げる。
標高1700m辺りからは木々に積もった雪が巨大なモンスターと化していた。すごい景
色である。
更に進むと山頂付近の広大な平原となった。まだまだ山頂は向こうである。山頂間近
で帰雲山経由のスキートレースと合流した。僕たち以外にもこの厳しいラッセルに耐
えてきた人がいることに驚いた。トレースから見て単独行か。日帰りか,泊まりか。
僕たちは正直驚いた。世の中には根性のある人もいるのだ。
11.31 1875m 猿ヶ馬場山頂着。ここで360度の展望を楽しみ記念写真を撮った。さ
あそろそろ行くか。
11.51 1875m 猿ヶ馬場山頂発。後は取付まで標高差1200mの北面のパウダーランの
オンパレードであった。雪質は最高であった。これが山スキーである。二人の150cm
の板はおもしろいように浮いた。お互い立ち止まりながらの撮影会である。そこをジャ
ンプしてみてなど。互いの滑走写真を取り合う。単独では味わえない楽しみである。
1.10 700m 猿ヶ馬場北西尾根取り付き。取付からの標高200mの藪は避け急な沢を滑
り降りた。かなりの斜度でとてもスリリングだった。
ここからは徒渉やトラバースを繰り返しながら川に落ちないように慎重に下った。
1.57 600m 天生峠林道除雪終点着。今日も完全燃焼でしたね。それにしても川に落
ちたときは正直敗退かと思った。今日も深澤君に助けられた。感謝感謝である。
白川郷で別れ深澤君はまた下道で10時間近くかけて甲府に戻って行った。
山スキー命の根性の人である。
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