初日の出

正月はのんびりこたつに入ってテレビを見て届いた年賀状をめくっている。日本人の
ごく一般的な光景であろう。しかし山が好きなものにとって元旦は年の始めを飾る大
切な日なのである。元旦は山で初日の出を仰ぐ。これが正しい元旦の過ごし方である。
僕もやむなく当直が当たった場合をのぞいて元旦は大抵一人で山にこもることが多かっ
た。

ただし残念ながら日本海側では元旦に初日の出を拝める機会はなかなか無いのでその
願いは叶わないことが多い。運良く元旦に初日の出が拝めればその年はきっと良いこ
とがたくさんあるに違いないと思っている。だから毎年宝くじを買うような気持ちで
山に出かけるのだろう。

今年の元旦は大晦日の夜に自宅を立ち金沢近郊の医王山に出かけた。金沢の夜景を楽
しみながら真っ暗な山道をライトを頼りに一人黙々と雪を掻き分け日の出時間とほぼ
同時に山頂に到着した。他に誰か自分のような好き者もいることを期待したが誰もい
るはずはなかった。しかも残念ながら東の空は厚い雲に覆われ初日の出は拝めなかっ
た。これもまた人生である。

しかし昨年の元旦は九州の傾山で初日の出を拝むことができた。東の空から真っ赤に
染まる太陽が姿を現した瞬間久しぶりに熱き血潮が騒いだ。この時の山行には長男を
同行していたが雪山で初めて拝む初日の出に長男はいたく感動していた。

一般的に高い山で見る日の出をご来光と呼び神聖なものとして日本人は古くから敬っ
てきた。その中でも元旦に山で拝む日の出は特に価値が高いものとされている。
しかしながら元旦の山はどこも雪山でありこんな時期に山の頂で夜明けを迎えること
は容易なことではない。でも本当の山好きならその労もいとわず山を目指すものであ
る。

今年の年末年始は思い切って8連休にした。そんなに頑張って働いてばかりいたって
仕方がない。元旦は俗世間から逃れニュージーランドの山の中で一人初日の出を拝ん
でいるに違いない。



遠見尾根の初日の出

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