白山山系の幻の巨木

近年地元の熊撃ちによって白山山系に幹周りが18mにも及ぶ巨大な桂の木が発見され
た。このことは昨年通院中の患者さんから聞かされた。それが本当ならもちろん県内
で最大の巨木である。この患者さんは白山のガイドも兼ねている方で白山の自然に関
しては知らないことはない人であった。以来僕は是非ともその木のある位置を教えて
欲しいと頼んでいた。そして再診の日患者さんは巨木の位置を記した地図を持ってき
てくれた。

しかしながら登山道はなくこの木にたどり着くまでには猛烈な藪漕ぎや川の徒渉,急
な沢登りを余儀なくされるため無雪期は安易には近づくことはできないとのことであっ
た。しかし雪の多い春先なら山スキーを使えば問題なく行けるだろうと思っていた。
僕にとって幻の巨木,今年の3月コロンブスになった気持ちで探検に出かけついに遭
遇することに成功した。 以下その山行記を報告します。

3月14日(水)前夜白峰の緑の村ゲート前で車中泊をした。朝3時起床。気温が上がれ
ば林道に雪崩が落ちる危険があり,早朝に出ることにした。ゲートからスキーを担ぎ
自転車を漕ぎ出す。雪の壁にはさまれてドンドン行く,百万岩付近まで除雪は進んで
いた。大いに助かった。ここで自転車をデポし,ここからスキー歩行である。約1時
間の歩行の後ようやく市ノ瀬が見えてきた。

この時期市ノ瀬でも2m近くの積雪があった。まだまだ春遠しという感じである。ここ
から雪原を進み最初の徒渉である。何とか靴は濡らさずにすんだ。徒渉後尾根に取付
き谷へ下り谷伝いにスキーを履いてドンドン標高を上げた。更に尾根を二つばかりま
たぎ地図上の巨木の生える森が眼下に見えた。

あれだ。どでかい木である。遠くからでもはっきり認識できた。僕は一目散に目指す
森へ下った。さあ待ってなさい。白峰を出て4時間後であった。この辺りまさに巨木
の森である。地形的に日当たりがよく,風が通らない地形になっている。おまけに木
もまばらである。巨木が生える好条件が揃いすぎているという印象であった。この辺
り,現在4〜5mの積雪はあるだろうから雪の上の部分だけでもどでかいのに雪のない
時期の根元はどれだけの巨大さか想像しただけでも胸が膨らむ。来て良かった。会え
て良かった。この森に王のように高く聳えるこの木の前で何度も写真を撮った。いつ
までもいつまでもたくましくひっそりと生き続けて欲しい。そう願って僕はこの木を
後にして,市ノ瀬まで一気にスキーで滑り込んだ。またいつか必ず会いに来るから・・


巨木と記念写真

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