剣岳、北方稜線 ワンディ山行記録2012年9月2日(日)
馬場島を起点として白萩川を遡行、大窓を経由して池の平山、小窓、三の窓を経て本峰に立ち早月尾根を下降するワンディ周回を行った。
16時間に及ぶハード山行になった。
【山域】剣岳北方稜線
【場所】富山県
【日時】20012年9月2日(日)
【コース】馬場島−白萩川−大窓−池の平山−小窓−三の窓−剣岳−早月尾根−馬場島
【メンバー】僕、大魔人、ひげ魔人
【装備】沢+岩+登山
【天気】晴れのち曇り
0.06 馬場島発 735m
1.13 池ノ谷出合 1070m
3.07 大窓出合 1505m
5.52 大窓 2195m
8.15 池ノ平山 2525m
9.21 小窓 2315m
10.38 三の窓 2635m
12.33 剣本峰 2999m
12.45 本峰発 2999m
14.28 早月小屋 2210m
16.20 馬場島 735m
剣岳北方稜線は時期が早すぎると白萩川や小窓の王手前に危険な雪渓が残るし遅すぎ
ると新雪に阻まれる可能性がある。9月に入ればワンディ可能だろうと考えていた。
今回は両魔人を誘って決行、大魔人は岩登りが本職なので頼りになる。何と言っても
ひげ魔人は剣岳が初めてでもちろん岩登りの経験は無い、しかし沢登り体験でこのコー
スをワンディする実力はあると思っていた。
前夜6時まで仕事をして自宅に戻り食事をして夜10時半に医院で待ち合わせひげと大魔
人が待つ馬場島へと車を走らせる。馬場島に着くとすでに大魔人はスタンバイしてい
た。
0.06 馬場島発 735m 深夜の馬場島を沢装備で歩き出す。林道は慰霊碑が多く
て早くもひげはビビりまくっていた。取水口から入溪、水かさは少なくタカノスワリ
も問題なく徒渉できた。
1.13 池ノ谷出合 1070m ゴーゴーと言う川の音を聞きながら右岸左岸と徒渉を繰
り返す。高度が上がると富山の夜景がきれいだった。西仙人谷出合手前でスリップし
て左前頭部を岩に強打した。脳震盪を起こして座り込む、ヘルメットが無ければ大怪
我をしていただろう。幸い目の上を切っただけで済んだ。
西仙人谷出合付近は不安定な雪渓がたくさん残っており崩壊片が多数落ちていた。不
気味だった。
3.07 大窓出合 1505m ここから水が少なくなったので登山靴に履き替えガレ場
をガシガシ登って行く。満月も隠れて周囲が暗くなると地形がよく分からない、沢の
分岐を間違えて急なガレ場で進退窮まる。
ぶら下がっていたロープにひげは捕まったが滑って宙づり状態、助けてと叫び声を上
げていた。僕たちは尾根に逃げたがここがまた激薮、しばらく登ったがたまらず、沢
に懸垂で下りる事にした。ひげはロープワークを大から教わり怖々懸垂下降、僕は肩
絡みで無事着地。
さてガレ場に下りて大窓を目指す。これが本来のルートと安堵して薄明るくなったガ
レ場を大窓を目指す。尾根をまたいでようやく大窓が見えた。
5.52 大窓 2195m 無事着きました。ルートミスの影響で1時間ほど余計に
時間はかかった。ここで大休止、初心者ひげのため大はロープを出してここから北方
稜線を歩いてくれる。
大窓から大窓の頭までは薮打ちされていて大いに助かった。眼下に白萩川を見下ろし
振り返ると赤谷山や毛勝が美しい,大窓の頭から先はルートも不明瞭で自分たちで判断
しながら尾根を巻くが薮を漕いだり難儀する事もあった。池の平北峰の登りで僕とひ
げは少しハマったが剣岳の雄大な景色を楽しみながら先を急ぐ。さあ池の平山がすぐ
だ。
8.15 池ノ平山 2525m 大窓からここまではロープも使わず無難に来れた。大展
望を楽しみいよいよ剣に向けてモチベーションは益々高まる。大魔人はスイスイ先を
行く。僕は所々写真を撮るのでどうしても間が開く、小窓の下りでルートミスをして
しまい進退窮まりまた大きく登り返す羽目になった。
小窓までは急なクライムダウンが続くが残置ロープの助けも借りて問題なく下りるこ
とができた。
9.21 小窓 2315m ここで池の平小屋の関係者の人と出会う。北方稜線をワ
ンディしていると言うと少し驚いてくれた。ひげはここで雪を水筒に詰めていた。さ
あここからも気は抜けない,小窓の王目指してガシガシ行く。心配していた急斜面の雪
渓横断は距離も10m程度が二つでアイゼンやピッケルは出さずに済んだ。
小窓の王の基部を巻き三の窓に下りる頃にはガスが立ちこめ視界は悪くなった。
10.38 三の窓 2635m 三の窓に立ちながら昔ここで何度かテントを張った頃を
懐かしんだ。さあ池ノ谷ガリーを進む。大魔人は先を進むが僕は初心者ひげをリード
しながら慎重にゆっくり足を進める。
池ノ谷乗り越しから先も視界が悪く、小雨も降り出し、滑る岩場にひげは何度も無事
に帰れます様にと神に祈っていた。剣岳本峰までの稜線は主に長次郎谷側を巻いて行
く。
大魔人は随分先を進んだだろう。半泣きのひげは怖々進むのでゆっくりペースである。
ガスの中ルートを確認しながら慎重に進むとようやく本峰が見えた。
12.33 剣本峰 2999m 無事到着、大魔人は12時頃着いたと言う。さすがに吹き
抜ける風は冷たく全く視界の無い山頂で三名で握手を交わす。登山者は数名だった。
12.45 本峰発 2999m さあ行きますか。飛ばせば三時間程度で馬場島へ下りれ
るはずだ。剣岳が初めてのひげはもうかなり脚に来ている様で後で良くスリップして
いた。これはヤバイとペースを落として早月まで慎重に下りた。
14.28 早月小屋 2210m ここまで何人ものすれ違った方にHP見てますと声を掛け
て頂き嬉しかった。ここで大休止してラスト馬場島へ。長い下りにひげはかなりへた
ばっていた。1200mの表示が出たのでもう一人でも大丈夫だろうと僕と大魔人は走り出
した。
登山者をごぼう抜きしてあっという間に馬場島へ
16.20 馬場島 735m 無事到着です。ひげを待つ事30分、雨が降り出して来た
が何とかひげが下りて来て試練と憧れの前で記念写真を撮り無事今日も完全燃焼する
ことができた。
ルート図 白萩川は沢グッズで
暗闇の大窓登り
9月に入れば白萩川の水量も減り徒渉は楽だった。しかし上部はまだ雪渓が豊富に残っていた
懸垂下降
闇夜でルートを間違え進退窮まる。激薮にたまらず懸垂で尾根からガレ場に下降
大窓と大窓の頭
ようやく薄明るくなり大窓が見えた。
大窓にて
大窓で大休止、さあ剣まで頑張るのみ
白萩川を振り返る
大窓の頭の途中で白萩川を振り返る。
赤谷山
稜線はかすかに踏み跡があるが這松の薮も多い、赤谷山も朝日に照らされて来た
大窓頭にて
大窓から1時間で頭に到着
池の平山への稜線
大窓の頭から池の平北峰を経て池の平山に
池の平山
最後急登を登り切れば池の平山に着く
剣岳全貌
池の平山に着くと剣岳の全貌を目にすることができる。まだまだ気は抜けない。
池の平山を後に
池の平山から小窓まではアップダウンと急なクライムダウンが続く
小窓
小窓に着いてようやく安堵、あんなところを草木に捕まりながら下りて来た。ロープは使わず
小窓の王
小窓から王を見上げる。あそこまで登り上げなければ
岩登り
小窓雪渓を背にガンガン登るのみ
小窓王手前の急な雪渓のトラバース
2カ所の雪渓を横切る。気温が低くて凍っていたらヤバイのでアイゼン、ピッケルがあれば助かる
三の窓へ
小窓の王の基部をダウンして三の窓へ
三の窓
三の窓から池ノ谷左俣を見下ろす
池ノ谷ガリー
三の窓からガリーを登り上げる。
ようやく本峰に
稜線に登り上げてからは小雨が降り出し岩が滑り緊張の連続、ピークに着いたひげの顔がすべてを物語る
試練と憧れ
山頂から早月を無事下山、ここでの写真撮影は定番、今日も完全燃焼