白鳥山(1286m)正面尾根 新潟県
白鳥山は標高こそ1286mだが広い山容は北アルプスの高みにも引けを取らない一級の山である。
登山口の上路集落は標高200m足らずだが豪雪地帯で雪は多く。ここから遙かなる標高差1000mの
ラッセルが待ち受けるため冬の入山者はほとんどいない。上路からのルートは坂田峠経由,正面尾根経由,
県境尾根(北西尾根)経由があるが,後2者は標高800m付近まで頑固な藪があるので雪の豊富な2月がよいと思う。
山頂小屋は冬でも快適に過ごすことが出来る。最も展望の優れた正面尾根コースを紹介する。
上路集落行き止まりで車を止め,すぐに杉林に入って山姥の洞の入り口を目指す。
送電線をくぐって標高350m辺りが正面尾根の取付になる。しばらくはヤブ漕ぎとなり
しばらくはつらい登りが続くことだろう。
正面尾根標高630m
この辺りから少し藪は楽になり正面に杉の木が見える。この小ピークは右から巻こう。
正面尾根標高800m付近
前項の杉の木が下に見える。尾根の全景を示す。標高760mで新たに作られた林道を横断する。
この辺りまで来ると疎林になり登りも随分楽になる。
北西尾根中間部
標高800m付近から北西尾根を眺める。この尾根もなだらかな山スキー向きの尾根である。
標高1000m付近平坦地
標高1000m少しでやや平坦になりここで初めて山頂小屋が見渡せる。何とも言えないよい雰囲気の場所だ。
稜線手前
標高1150m付近で栂海新道(稜線)に合流する。
稜線付近
稜線に出れば後は小屋を見ながらの快適な登りになる。左には雪庇が出るので要注意だ。
広い山容
北西尾根と栂海新道に挟まれた広い山容はとても1300mに満たない山とは思えない。
稜線から見た白鳥
この辺りの景観もとても素晴らしい。冬の白鳥は本当に来る甲斐がある。
標高1200m
登るにつれ山頂小屋がどんどん迫ってくる。帰りも素晴らしいパウダーだ。
初雪山と栂海新道
山頂間近で左手に初雪山(右)と白鳥から南に延びる栂海新道が見える。初雪山も
素晴らしい山スキーが楽しめる山である。白鳥のワンランク上である。
振り返れば
振り返れば栂海新道の先に日本海が見えることだろう。
山頂直下
さあもうちょいで山頂である。
山頂小屋
激しい雪と強風のため小屋は埋まっている。シャベルがないと入り口は開かないので泊まりの場合は
必ず携行しよう。入り口は常に開放されているはずである。
山頂の展望
遥か先の朝日岳まで栂海新道は伸びていく。帰りは日本海に向かってパウダーランを楽しもう。
山行記録2003年2月2日(日)
今日もまた黙々とつらいラッセルに耐え北アルプス北端の白鳥山を目指しました。ド
カ雪直後のため素晴らしい景色が僕を待っていた。今日は生きていて良かったとしみ
じみ感慨に浸った。
【山域】白鳥山 1287m
【場所】新潟県
【日時】本日 2月2日(日)
【コース】上路集落−正面尾根コース−栂海新道合流−山頂往復
【メンバー】単独
【装備】アトミックβライド9.22 160cm,ディアミール,TR12
【天気】晴れ後曇り,ガス
白鳥山は栂海新道で有名な山である。豪雪地帯ゆえ厳冬期の登山者はほとんどいない。
上路は標高200mだから山頂まで1000mを越すつらいラッセルが待ち受ける。しかし山
頂には快適な小屋があり日本海に向かってパウダーを楽しめるという最高のロケーショ
ンでもある。
2月1日(土)いつものように仕事が終わった夜7時過ぎ金沢を発った。北陸高速の路
肩は雪でバンバン。山では相当の積雪だろうと嬉しいやら怖いやら。朝日インターで
下り8号線をしばらく進み,運ちゃん御用達栄食堂で腹ごしらえ。鱈汁はいつものよ
うに一匹丸ごとの鍋ごと運ばれる。一人でとても食べきれずギブアップした。食事の
後は向かいのたから温泉でゆっくり湯に浸かる。最高の気分になっていざ上路へ。
上路は標高こそ低いが既に1m近い積雪でこの時期四駆でなきゃとてもいけないところ
だ。集落終点まで強引に進み車中泊。深夜寝ている時野犬のワンワンで目を覚まして
しまう。勘弁してよ。ともう一回就寝体制に。
2月2日(日)朝4時起床。今日も厳しそうだから早出しかないだろう。急いでカップ
ラーメンを食べ湯を沸かしていざ出発。
4.54 210m 上路集落発。案の定トレースはなく出だしから厳しいラッセル。何度も
来ているが雪が多く暗闇の中で地形が少し不明瞭。いきなり道を間違えては登り返す
というへまをやってしまう。ショックはかなり大きい。
標高350mの山姥の洞の登山口が正面尾根の取付である。さすがに時は2月厳冬期,雪
は多く藪もあるのだがそれほど気にならずどんどん高度を上げていく。暗闇の中でま
たルート誤認の登り返し,もう勘弁して欲しい。正面尾根を登るにつれ少しずつ明る
くなってきた。上路の集落も下に見える。ラッセルはつらいが頑張るしかないでしょ
う。
7.45 760m 林道横断。新しく山腹を切り開いた林道にいきなり出た。これ以上山を
破壊しないでくれと声を大にして叫びたい。この辺りから疎林になり快適に高度を上
げる。振り返れば日本海や右手には北西尾根が朝陽に輝いて見える。
8.50 1030m 山頂が見える雪原。頑張って高度を上げると標高1000m過ぎでやや平坦
な場所に飛び出しここで初めて山頂小屋が見えた。素晴らしい景観である。今日はス
キーヤーではなく写真家に徹することにする。少し歩いて素晴らしい景観に会うたび
に三脚を取り出すわけだから時間は多いにかかってしまう。こんな素晴らしい景観は
白鳥では初めてだ。樹氷と青空,真っ白な山容。生きていて良かった。これが人生だ
ろう。
9.42 1150m 栂海新道合流。更に写真を撮り撮り,やっと栂海新道に合流。ここか
らも素晴らしい景観に酔いしれながら三脚出しまくり,スキーは二の次だ。
左手には栂海新道が延々と南に延び,振り返れば日本海,やっぱり厳冬期のこの山は
最高である。
10.20 1287m 白鳥山山頂。ラッセルの労もいつの間にか忘れてしまい,雪に半分埋
まりかけた小屋に到着。中には入らず折角だから屋根の展望台へ。ここでまたうなっ
てしまった。素晴らしい〜。写真を撮りまくり屋根からそのまま下に飛び降りれるく
らい雪は多かった。
10.44 1287m 白鳥山山頂発。シールを外してさあと思ったらいつの間にか雲がわき
ガスが上がってきた。これが山ですね。急いでパウダーランを楽しまなければ,後は
ガスに隠れた山頂を尻目に一目散に正面尾根を下った。
11.00 760m 林道横断。
11.38 210m 上路集落。下りてみると山頂から十分休憩を取っても1時間とかからず。
今日も充実した休日を送ることが出来た。
帰りはレストハウス地中海で特急が脇を通る露天風呂に浸かりながら子供のように列
車を眺めた。自宅に戻るとかみさんがデパートで峠の釜飯(おぎのや)とイカめしを
買って待っていてくれた。駅弁祭りだったらしい。感謝感謝。