杓子平東大斜面 2500m 岐阜県

ワサビ平正面尾根から杓子平を目指すこのコースは冬季でも比較的安全なコースである。天候次第では抜戸岳まで足を延ばして

さらなるパウダーを楽しめる。杓子平から林道まで標高差1000mを越すこの大斜面は斜度,無木立など日本でも

屈指のパウダーを楽しめるコースだろう。

ルート地図

標高1700m辺りから樹林はほとんど無くなる。1800mから尾根は左に折れる。雪の状態が良ければ標高1800mからも沢筋を行けば

すべて樹林帯はカットできる。

赤のコースは標高1900mから杓子平標高2500m辺りまで示している。両脇は沢筋となりこの斜面だけが比較的安全に

杓子平まで導いてくれる。

ワサビ平正面尾根1500m

小屋の前のやや左沢筋から入って尾根に乗り上げる事にした。

ワサビ平小屋

尾根に上がって小屋を見下ろした光景


標高1650m

尾根はこの辺りで少し平坦になる。靴から膝程度のラッセルが延々と続いた。

標高1750m

中崎尾根も下に見える様になって来た。この辺りから樹林はほとんど無くなってしまう。

標高2000m

遥か下に尾根の屈曲点標高1750mが見える。屈曲点を過ぎれば上はご覧のような大斜面となる。

後は頑張って杓子平までラッセルするのみである。

弱層テスト

標高2000m付近でやや斜度が増したため安全性を確かめよと1m以上掘ってテストした。

体重をかけ思いっきり引っ張って1m下でスパット切れた。

切断面

切断面はカッターで切ったように見事に切れていた。この深さと強度の弱層なら

まず安全にすすめると判断した。

標高2250m

急斜面は雪崩が恐いので壺足でトレースを付けていく。大腿部まで潜った。

標高2350m

この辺りに巨大な岩があり良い目印になる。もう稜線まで残り100m。


稜線下

稜線には雪庇ができている。雪庇の切れ間を捜そう。どこか必ず登れる場所はある。

穂高の大展望

天気が良ければ穂高の大展望を楽しみながらの登りであるが,この日はガスで見えなかった。

写真は晴れた日のもの。

杓子平から雪庇を超えゴー

杓子平から上はガスで抜戸岳は断念した。ここからあと標高差300mだから1時間チョイで抜戸岳ヘ行ける。

晴れれば笠でも抜戸でも頑張れば日帰可能である。さあ大斜面パウダー滑降の始まりである。

中崎尾根を眼下に

登りのラッセルが辛い分激パウダーが楽しめた。もう言葉はいらない。

雪庇を見上げて

雪庇には十分気を付けて滑りましょう。

大斜面全景

どこまでも楽しんで下さい。名人は珍しく雄叫びを上げていた。

テール滑り

名人はいつでもテール滑り,これが一番楽しいそうです。

パウダー

パウダーをまき散らして滑る名人。

沢筋

雪の状態も良く屈曲点1750mからも沢筋で林道を目指した。

ゴール

ワサビ平小屋が見えればゴールである。

山行記録2006年3月21日(火)

以前笠が岳(五の沢)を滑降した時利用したワサビ平正面尾根、この尾根は上部で素
晴らしい無木立の大斜面になる。この斜面のパウダーランを狙っていたが今日はすべ
ての条件に恵まれ標高差1000mを越す感激のパウダーランを満喫した。

【山域】杓子平東大斜面 2500m  
【場所】岐阜県
【日時】3月21日(火)
【コース】新穂高―ワサビ平小屋―ワサビ平正面尾根―杓子平往復
【メンバー】僕・深澤君
【装備】アトミックシュガーダディ 153cm,ディアミール,ガルモント(僕)   
    サロモンポケロケ 175cm,ディアミール,ガルモント(深沢君)
【天気】曇り時々雪(2500mより上はガス)

標高差1000mを超える無木立の大斜面と言えば乙妻北東斜面が有名だが今日の斜面は
その上をいっていた。

3月20日(月)いつものように仕事が終わり金沢を出たのが夜7時過ぎ新穂には夜
10時前到着した。車から深沢名人に電話をするとようやく甲府を出られるという。
まあ事故を起こさないようにと先に寝る事にした。

名人は深夜2時過ぎに到着した。起床は朝3時、出発は4時であった。名人はほとん
ど一睡もできないと愚痴を言うが一日くらい大丈夫だといつものように鬼であった。

3月21日(火)

4.00 1050m 新穂高発。暗闇の中林道をシコシコ行く。名人はもう24時間以上寝
ていないとヒイヒイ言っていた。かわいそうだから僕が先頭でラッセルした。今日は
期待出来る。

5.23 1402m ワサビ平小屋。林道は2mほどの雪があった。十分だ。さあここから
正面の尾根に上がる。ラッセルは靴から徐々に膝と厳しくなっていく。さすがの名人
もペースは上がらない。対岸の中崎尾根は見えるが槍穂高は全然見えなかった。時折
雪もちらつく。

標高が上がると傾斜も所々急になる。無木立ゆえ雪崩が怖い。果たして今日は大丈夫
かためらわず二人でピットを掘る事にした。

8.00 2000m ワサビ平正面尾根標高2000m ここで1m以上掘り下げた。弱層はな
かなか見えない。抱えて円柱を引いたら見事にすぱっと切断。弱層は約1m下にあっ
た。これなら大丈夫だと確信す。案の定雪は安定しており登り上げる最中も一切ずれ
る音や亀裂はできなかった。帰りも安心して滑れそうだ。

傾斜が急な場所はツボ足で大腿部まで潜り進む。さあ稜線が見えてきた。もうチョイ
だ。最後は雪庇を少し削って杓子平に出た。万歳。

10.28 2500m 杓子平着。時間があるので抜戸岳まで行きたかったがここより上はガ
スで視界が効かなかった。ガスの中杓子平を進むのは危険と判断しここからまだ視界
の良い内にパウダーゲットとした。

10.46 2500m 杓子平発。ワーォー素晴らしいパウダーだ。斜度も抜群で顔まで粉を
巻き上げ全身に雪を浴び空中浮揚である。予想通り素晴らしい斜面である。登りのピッ
ト通り一切雪崩れる事はなく安心してパウダーを楽しめた。標高差1100mをあっとい
う間に楽しんで林道まで落ちた。

11.29 1402m ワサビ平小屋。もう大満足です。さあ帰りましょう。雪の多い林道を
一気に飛ばして帰った。

12.06 1050m 新穂高着。うーん今日も大満足でした。名人は寝ないで来た甲斐があっ
たと涙ぐんでいた。

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