ハクサンコザクラは、雪融け後の湿性お花畑である雪田植物群落の代表格です。雪渓の雪が融けた後に開花するので、雪渓の消失とともに次々と開花し、長い期間にわたって登山者の目を楽しませてくれます。
加賀の白山は、主峰の御前峰でさえ2702mと、さほど高い山ではありませんが、古来、富士山・立山とともに日本の3名山(3霊山ともいう)の一つとして古くから山岳信仰の対象となってきた山です。全国に三千社以上の白山社(白山神社)とよばれる神社が存在することでも分かると思います。そういう関係で、古くから日本中によく知られ、学者の研究も行われていたもののようです。それは、和名に「はくさん」あるいは「ごぜん(白山の主峰である御前峰)」などのついた高山植物が20種類もあることでも分かります。(富士山では15種類、立山では9種類)
白山はいわゆる高山帯をもつ山としては、日本における西南限の山です。また、日本アルプスの山々から離れた孤立峰でもあります。したがって、高山植物の分布としては西南限になっているものが多く、また、種類数も少ないのが実態であります。種類数は少ないのですが、個体数は多いのが特徴になっています。例えば、ハクサンコザクラの1平方メートルにおける平均株数の比較では、白山161株、立山60株という調査結果もあります。
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