FILE11  アズマシロカネソウ  Dichocarpum nipponicum (Franch.) W.T.Wang et Hsiao
          (Ranunculaceae キンポウゲ科) 

図1 満開(1981年4月)

図2 花弁のように見えるのが萼片で、黄色くこん棒のように見えるのが花弁の変形した蜜弁だという。

図3 花の中。蜜弁5、花粉を出していない雄しべ8、花粉を出した雄しべ5、柱頭2が見える。

図4 蜜弁の拡大 図5 雌しべの柱頭が2個見える。

図6 滝の水しぶきがかかるような岩上が好きだ。すでに果実になっている。(2001年5月3日)

図7 果実は袋果(たいか)と呼ばれる。
水平方向に広がり魚の尾のように見える。
図8 いつまでも熟したようには見えない緑色の果実だが割ってみると立派な種子ができていた。(2003年5月10日)

図9 直径ほぼ1mmの種子。

  1953年、私の中学2年生の時に買った「学生版牧野日本植物図鑑(牧野富太郎著)」の249ページに、とても詳しい図版が載っており、そのころからのあこがれの植物の一つです。
 福井県から秋田県にかけての日本海側の山地で、水の滴るような崖地にしばしば群生します。石川県でも、けっして多くあるというものではありませんが、時々大群落を形成しています。金沢市近郊の丘陵の地下水が降り注ぐ崖にも大群落があり、よく撮影に行きました。ほとんど垂直の崖の面に数百株が張り付いていました。早春にここを訪れると、冬の間に崖から落ちた株が多数見られました。1〜2度拾ってきて栽培を試みたことがありましたが、うまくいきませんでした。水分の補給が難しいようです。それ以後、栽培はしていません。
 1999年の4月初め、数年ぶりに訪ねてみましたら、往時の1割以下という量になってしまっていました。崖一面に張り付いていた情景が嘘のようで、がっかりしました。ただし、これは乱獲によって少なくなったと言うよりは、冬の間に、雪や霜などによって崖の面からはがれ落ちてしまうことのようです。
 花弁のように見えるのは萼片(がくへん)で、花の中の黄色い玉が蜜を分泌する蜜弁と呼ばれる花弁だそうです。萼の外側の不規則な紫色の帯が美しい。

 


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