FILE14  クマガイソウ
 クマガイソウの群落  すべての花が同じ方向を向いているのが面白い

 環境庁の植物版レッドリストで絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)として位置づけられています。
 山野草として人気の高いこの植物は、石川県内でもかつては各所に見られましたが、山野草ブームの拡大につれて次々と自生地からは絶滅していったようです。現在、完全な野生状態のものは極めてわずかです。知っている人もそれぞれ産地は秘密だとしています。もっともだと思いますので無理に産地を聞くこともできません。それが保護のためには一番いいのかもしれません。
 袋状の唇弁を、平家物語の熊谷次郎直実が背負った母衣(ほろ:矢を防ぐ武具といわれているが、実用面では疑問。おそらく味方に自分の働きをアピールするための道具だったのではないか)に見立てて名付けられたという。
 今回紹介するクマガイソウは、輪島市の山中の民家の裏山で60年にわたって大切に肥培管理して育てられているものです(おそらく一千株を超す)。その昔、採取されて植えられたものか、元々の野生であるかは明確ではありませんが、昔から輪島市の各所には自生が知られております。純粋な野生とは言えませんが、「トキ」のような存在と考えて紹介することにいたしました。
 十年以上も前の話ですが、「輪島市の山中に、クマガイソウの大群落があり毎年開花期に観察するのを楽しみにしていたところが、ある年行ってみるとすべてが掘り取られてしまっていた。」と新聞の投書欄にありました。山取りのものが市場に売りに出されていたこともあるという投書もありました。


花模様