FILE18  トウカイコモウセンゴケ
 
 モウセンゴケは、県下の各所に自生していますが、コモウセンゴケは極めて稀で、加賀地方の数カ所でしか見ることができません。モウセンゴケと似ていますが、モウセンゴケの葉がオタマ形であるのに対し、サジ形であることと、花色がピンクであることですぐに区別が付きます。
  
 今回紹介するトウカイコモウセンゴケは、かつては、コモウセンゴケの関西型といわれていたものです。今では別種の扱いで、トウカイコモウセンゴケと呼ばれています。もともとのコモウセンゴケの葉はもっと極端なへら型で、葉身がなだらかに葉柄に移行して、葉身と葉柄の区別が付かないもののようです。モウセンゴケが2倍体で、コモウセンゴケが4倍体。トウカイコモウセンゴケが両者の雑種に起源をもつ6倍体であると聞きますと、納得できます。
 食虫植物 清水清写真集(誠文堂新光社)によると、関西型(トウカイコモウセンゴケ)は静岡・愛知・三重・石川・岐阜・滋賀・京都・奈良・大阪・兵庫に分布するとなっております。関東型(コモウセンゴケ)は、植物の世界(朝日新聞社)によれば、宮城県南部を北限として太平洋岸沿いに南西諸島まで分布するとなっています。そういう分布からすると、石川県は日本海側の数少ない貴重な分布地と言うことになります。そのように、石川県に分布すること自体が珍しいのですが、山道を切り開いてできた崖(山道の法面)等人手に掛かり易い場所(人の手が加わった場所)にあるため、道路工事や湿地の開発により、石川県では絶滅の危険にさらされています。 
 最初に花の撮影に挑戦した頃は、いつもしぼんだ花しか見ることができなくて、分布の北限に近いのでいじけているのかと思っていましたが、実はこの植物の花は午前中で閉じてしまうのです。ある日、ファインダーを覗いている間にどんどん閉じていくのでその早い動きに驚いた次第です。最近は午前9時頃に撮影に行っております。モウセンゴケの白花を見慣れた目には何とも新鮮で美しい花です。
 
 


花模様