FILE25 ミミカキグサ類

タヌキモ科の食虫植物です。
 食虫植物と聞くと獰猛な感じもしますが、ミミカキグサ類は小さくはかない植物たちです。いずれも本当に小さくて、たかだか1cm程度のへら形の葉が、湿地の水に浸かるようにして生育しています。これでは、よほど好奇心の強い人でなければ気がつかないでしょう。しかし、花が咲けば、少しは目立ちます。湿地の中から10〜20cmくらいの花茎を伸ばして、5mmくらいの紫色または赤紫色の花を咲かせています。

図1 ムラサキミミカキグサ 図2 ホザキノミミカキグサ

ムラサキミミカキグサとホザキノミミカキグサの花はよく似ていますが、見分けるポイントは、

ムラサキミミカキグサ:花の下方にある距(きょ)と呼ばれる飛び出した部分が、下を向き短い。
ホザキノミミカキグサ:距が横へ伸び、長い。

図3 ムラサキミミカキグサの葉 図4 ムラサキミミカキグサの捕虫嚢  図5 同捕虫嚢の顕微鏡写真  

  
図6 ムラサキミミカキグサでは、果実が耳掻きの頭のような形になる。 図7 ホザキノミミカキグサの果実は、耳掻きのような形にはならない。

 ミミカキグサの名は、ムラサキミミカキグサやミミカキグサの果実が耳掻きの頭の様な形をしていることによります。(ホザキノミミカキグサの果実は、耳掻きのような形ではありません。)
 
 本県に自生するミミカキグサ類は、ムラサキミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ミミカキグサの3種類ですが、今回は、前2者を紹介いたします。

 ムラサキミミカキグサは、環境庁のレッドリストで絶滅危惧U類(絶滅の危険が増大している種)に区分されています。湿地の減少とともに数を減らしています。
 
 
 タヌキモ科の植物らしい捕虫嚢(ほちゅうのう:葉が袋状に変形したもの)は、泥の中へ伸びる地下茎に沢山付いています(図4)。図5の画像は、その捕虫嚢を顕微鏡で見たものです。実物の大きさは1mmほどです。泥の中の微小生物を捕らえて栄養分としています。
 

花模様