FILE58  クサレダマ
1982年7月 湿地をクサレダマが埋めていた。
 
 クサレダマはサクラソウ科の多年草で、北海道、本州、九州の湿地に生えます。高さ1m50cm近くになる割と大型の植物です。私が見つけた当時、1982年には潟の水辺の一部の湿地にほとんど純群落といった状態で繁茂していました。一昨年(1998年)再び見学に行ったところ、昔の群落地では見ることが出来ませんでした。少し離れたところでヨシに埋もれるような状態で、十数株が離ればなれにありました。どうもヨシとの生存競争に負けたもののようです。周囲4kmほどの潟を一周してみましたが、生育地は1カ所だけのようでした。もちろん県内では、他にも産しますが、減りつつある植物で、2000年に発行された石川県レッドデータブックでは、絶滅危惧U類とされています。
 クサレダマははじめて聞くと、「腐れ玉」かと思ってしまうのですが「草連玉」のことです。マメ科の木本である「連玉:レダマ」(地中海沿岸、ヨーロッパ南西部に分布)が江戸時代初期に渡来していたらしく、そのレダマに似て草本であるからと言うことらしいのですが、レダマはマメ科というくらいですから花の形は当然違います。あまり似ていません。花の色は、黄色ですから、その点では似ていることになります。別名のイオウソウ(硫黄草)は花の色から来たものでしょう。

 夏の湿原を鮮やかに染める美しい花です。萼の縁に赤い隈取りがあって、後ろ姿も綺麗です。

 写真3と4はどちらも花のクローズアップですが、写真4はデジカメで撮影したものです。色彩の深みには少しかけるようですが、細部までよく描写されていると思います。デジカメはマクロ写真が苦手で、特に花の接写をした場合には、何処にピントが合っているか(雄しべの葯なのか、柱頭なのか、花弁なのか、子房なのか)
まったく分からず、不安であるとともに失敗も多いのですが、うまくピントがあった場合には、細部までよく写っています。花冠の内面や葯は黄色の微細な小点に覆われているのですが、一眼レフで撮った写真3では、その気配すら見えません。皆さんはどちらがお好みでしょうか。 
 



花模様