『幸せの時…』

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学食に戻ると、何故か俺達のテーブルの周りだけ異様な雰囲気に包まれていた。

にやにやと妖しい笑みを浮かべる北川と香里。

ジト目で責めるような視線を送る天野。

「???」

首を傾げる俺達に、北川と香里が口をひらいた。

「相沢、真琴ちゃん。結婚…おめでとう♪」

「クスッ……相沢君もやるわね♪」

「なっ!?」

「あぅ!?」

俺達は咄嗟に名雪に視線を向けた。

「……(サッ)……」

名雪はすかさず視線を逸らす。

「………」

「………」

(こ、こいつ……バラしたな……)

(あぅー、お姉ちゃんー)

取敢えず俺は、名雪におしおきをしつつ二人と話す事にした。

グリグリ

「う、うにゅ〜。祐一痛い……」

 

 

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「その……なんだ。分かってるとは思うが……」

俺は含みを持った口調で話し掛ける。

言わんとしてる事を理解したのか、二人はコクリと頷いた。

「大丈夫よ、他言はしないわ」

「安心しろ、俺は口が固いほうだぜ」

「そ、そうか…たすか…」

 

『『学食1週間でいいぞ(わ)』』

 

二人は互いに顔を見合わせると、にっこり微笑んだ。

「……なっ……そ、そんな条件が飲めるわけ…」

「北川君、放送室は何処だったかしら?」

「!?」

「放送室は確か……」

意味ありげな会話。

二人はそこで言葉を止めて俺の反応を伺う。

どうやら俺に選択権は無いようだ。

「………くっ……了承だ…」

俺は涙を飲んで条件をのんだ。

二人は両手をパンッと合わせて喜びあう。

「悪いわね、相沢君」

「持つべきものは友達だな」

ぽんぽん…っと肩を叩く北川と香里に対して、おもわず殺気が漲る。

(く、屈辱だ……)

「ねぇ祐一」

真琴はぷるぷると肩を振るわせる俺を心配そうに見詰め、袖を引く。

「あの二人ってホントに友達なの?」

「………さっきまではそう思ってたが、ちょっと自信がなくなった……」

「…………」

 

 

***********************************

 

 

「……相沢さん」

今まで沈黙を守っていた天野が静かに口を開く。

じっと真剣な眼差し。

友達を脅迫するような二人とは大違いだ。

「なんだ?」

俺の返答には答えずに、天野は真琴に視線を向ける。

「あぅ? どーしたの美汐?」

天野はそのまま、じーっと真琴を見詰め続ける。

やがて、ふっと表情を緩めると、再び俺に向き直る。

「相沢さん。真琴を……幸せにして下さいね」

「あ、あぁ…もちろんだ」

「あぅ…」

改めてお祝いの言葉を貰うと、何故か照れるものがある。

北川と香里に脅された後と言う事もあって、余計に心にくるものがあった。

「天野、任せてくれていいぞ。 真琴の事は俺がしっかり……」

 

「それと……学食1週間です」

 

俺の話しを遮って、天野はピシャリと言いきった。

「…………………はい?」

一瞬、何の事だか分からずに首を傾げる俺に、天野はもう一度繰り返す。

「……学食1週間です。当然、デザートも付けます」

何故かデザートが上乗せられていた。

「あ、あの……天野…さん?」

「それ位当然です。学食位で許してもらえるのですから……」

「……………」

(何故に天野に許してもらわなければ……)

天野は真琴に向き直ると、真琴の手を両手でぎゅっと握る。

「真琴」

「あぅ…?」

「相沢さんに酷い事をされたら、私に言って下さいね。力になりますから……」

「う、うん」

「……………」

(り、理不尽だ。 兎に角理不尽だ。 俺が一体何をしたと……)

こ、このやり場の無い怒り、何処にぶつければいいのだろうか……何処に……。

辺りを見まわす。

ふと目に付いたものが1つ。

 

取敢えず……。

ぐりぐり

 

「う、うにゅ〜。祐一痛い……」

 

 

 

 

 

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『あとがき』

…………………手屁、お久しぶりです(汗)

ちょっと個人的に、お仕事で出張が4ヶ月も続いちゃってまして、                 真琴「あぅ〜、ネットゲームはやってるくせにぃ〜っ」

SS書く気力が沸かなかったのです(汗)

 

でも、何人かの方から感想めーるを戴き、ちょっぴり気力回復♪

裏で書いてる夏祭用原稿の合間に(笑)こちらの方も、こつこつと書いて行こうと思ってます。

(注: この連載は、その場のノリで書いてます)

 

それでは〜っ♪

 

02/05/05(日)