『幸せの時…』
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俺達が学食を出ると、真琴は俺の腕を振り払った。
そして俺に向き直るなり怒鳴った。
「祐一っ!! 突然、何すんのよぅ〜っ」
「お前なぁ〜、なに行き成りばらしてるんだよ」
「ばらすって、何を?」
真琴は、きょとんと見詰め返す。
どうやら良く判っていないようだ。
「俺達の関係だ」
「あぅ? 言っちゃいけなかったの?」
「当たり前だろ。 大騒ぎになるとは思わなかったのか?」
「うぅ……だって、本当の事だもん。何が悪いのよぅ〜っ!」
「いや、悪いって訳じゃないけどな…………」
「じゃあ……いいじゃない……」
「……そう言う訳には……う〜ん、困ったなぁ……」
「…………………」
俺は真琴に、どう説明すれば良いのか悩んでいると……。
「……ねぇ……祐一……」
神妙な声がした。
はっとして見上げた真琴の顔は、悲しい顔…………あの頃の顔……。
「………真琴とけっこんした事…………後悔……してるの?」
胸が締め付けられた。
もう悲しませたりはしない………そう誓ったのにハズなのに……。
「もし……祐一が後悔してるなら……」
「違う!! 後悔なんかしてない……するもんか」
俺は真琴に最後まで言わさず、思いっきり抱きしめた。
「あぅ……ホント?」
「あぁ…本当だ。 俺は真琴を………愛してるよ。 今までも……そして、これからもだ……」
「………………うん。 真琴もだよぅ」
ぎゅっ
真琴の腕にも力がこもる。
・
・
・
・
(じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ)
ふと気付くと沢山の視線を感じた。
よくよく考えてみれば、ここは学食前。
しかもお昼の混雑時だ。
当然……。
「ゆ、祐一……みんなが見てるよぅ」
「あぁ、見てるな」
恥ずかしさで顔が火照ってくる……。
ふと真琴を見ると、俺と同じように頬が赤く染まっていた。
「あぅ……恥ずかしいよぅ」
「奇遇だな……実は俺もだ……」
「えと……じゃあお姉ちゃん達の所に戻ろう?」
「あぁ、そうするか…」
俺達は人目を避けるように、食堂の中に戻った。
その道すがら……。
「でも祐一……何でみんなに隠さなくちゃいけないの?」
改めて真琴が疑問をぶつけてくる。
「あぁ、俺……まだ17歳だからな」
「あぅ?」
真琴は首を傾げる。
よくわかってないようだから、更に判り易く説明した。
「この国の法律で、男子は18歳にならないと、結婚出来ない決まりがあるんだ」
「えぇーーーーーーーーーっ! じゃあ私達の結婚はーっ!?」
「まあ、正式には、学校を卒業してからだな」
「あぅ………」
真琴はしゅんと項垂れる。
「そんな顔するなって…」
俺は真琴の頭に手をのせ撫でる。
「正式にって言ったって、たかが紙切れ1枚の事だぜ。 真琴は、そんな事を気にするのか?」
「………………」
「大事なのは、俺達の気持ち……だろ?」
真琴は俺の顔を見上げ考え込む。
「……………………………うん、そだね」
真琴の顔に笑顔が戻った。
つられて俺も笑うが、次の真琴の言葉を聞いて絶句した。
「だって……祐一と真琴は、ラブラブなんだからぁ〜っ♪」
「…………………………………」
顔が引きつる。
「そうだよね〜、祐一♪」
「えぇ〜い、そんな恥ずかしい事を大声で叫ぶなぁ〜っ!!」
俺は照れ隠しも手伝って、取り敢えず小突いておいた。
ぽかっ!
「あぅ〜〜〜〜〜〜っ」
真琴は頭を抱えて蹲るが、その顔にはもう悲しさは微塵も感じられなかった。
『あとがき』
久々となりました今回のお話。
1シーンで1話としている為、ちょっと繋ぎだけで終わっちゃいましたがどうでしょうか……。
良かったら感想とか下さいね♪(ちょっと切望)
続きを書く気力が沸きますので……。
さて次回こそは、栞ちゃんが出演できる流れにもって行かなくては……( ̄▽  ̄;;
(注: この連載は、その場のノリで書いてます)
それでは〜っ♪
01/02/03(土)