『幸せの時…』
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う〜ん…色々あったけど、無事クラスデビュー完了ね♪
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と、思ったのも束の間……。
「……………………あぅ〜……全然わかんないよぅ………」
授業が始まり、まだ教科書が揃っていない私は、隣の席の美汐と机をくっつけ並んで授業を受けていた。
が……全然わかんない。……さっぱりわかんない。 ……ちっともわかんない。
大体……真琴、今まで学校なんて行った事も無いんだから、分るはず無いよぅ。
う〜、こうなったら、なるべく先生の方を見ないでおこ〜っと。
授業を受ける事を放棄し、そう決め込んだ私。
………だが、そう考えた時が1番危ないのだ。
教壇の上では、先生が教室中を見回していた。
そして……
「それでは、この問題を……………………………じゃあ、転校生の水瀬さんにやってもらいましょう」
あぅ〜……何で真琴なの〜。
ま…まずい……どうしよう……。
思いっきり焦って、頭を抱えたその時、
スッ…っと1枚の紙切れが差し出された。
………ん? こ、これは!!
隣を見ると、美汐がニッコリと微笑み…。
ツンツン
差し出した紙切れの上を人差し指でつついた。
……………あっ! もしかして答え?
私が気付いたのを確認するかのように、美汐がコクンと頷く。
あ、ありがとう…美汐♪
私は席を起つと、美汐が教えてくれた答えを、自信満々に読み上げた。
「え〜と、答えは…『まこと……こたえは○○ですよ』…です♪」
し〜〜〜〜〜〜〜ん
教室中が静まり返った……。
「あ…あれ?」
………一瞬の沈黙の後。
あははははははははははは〜っ
教室は爆笑の渦に包まれた。
「あ…あぅ…」
焦ってそのまま読んじゃったよぅ……。
私は真っ赤になって俯いた。
先生も笑いを堪え切れず口元に手をあてる。
「え〜、水瀬さん。 答えは合ってますが、次からはちゃんと、自分で考えて下さいね」
苦笑を浮かべて優しく諭す。
「あぅ〜、ごめんなさい…」
私は席に着き、しゅんと項垂れる。
そして、隣の美汐にぎこちなく微笑みかけ謝った。
「ごめんねぇ、美汐ぉ〜。 せっかく教えてくれたのに……」
私の謝罪に、美汐は首を左右に振る。
「気にしないで下さい」
にこにこと美汐はそう答えた。
私のせいで恥ずかしい思いをさせたハズなのに、何故か美汐は、楽しい事でもあったかの様に笑みを返す。
「で、でもぉ〜」
「今のは、真琴らしくて良かったですよ」
私らしい?
………あぅ、それって私がドジだって事?
少し拗ねた感じで美汐を見返すが、相変わらずにこにこと微笑み続ける美汐に、私は何も言う事が出来なかった。
『あとがき』
あはは……前のお話から結構、間が空いちゃいましたね(汗)
でもまだまだ続くんだよ♪
今回、書きたかったのは、真琴の初めての授業風景でした。
まあ、お約束な展開ですが、私の中の真琴ちゃんならこう云うボケをやってくれる………そう信じて(笑)
真琴ちゃんになりきって書き上げました。
ホントは、真琴ちゃんのやる事なす事、全てが嬉しくて仕方が無い………、そんな美汐ちゃんの心情を
現したかったんですが、表現力不足で断念しました。
次回は、祐一君の一人称に戻ります。
授業も終わり、休み時間……約束通り、祐一達が真琴ちゃんの様子を見にやって来るシーンを考えています。
よかったら、又、読んで下さいね♪
次こそは、間を置かずに執筆しますから( ̄▽  ̄;;
それでは〜っ♪
00/08/06(日)