『千鶴さんの休日』
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「なによ、なによみんなして、私が耕一さんの所に行くのがそんなに悪いことなの?」
耕一のアパートに向かう電車の中で昨日の夜の会話を思い出していた。
「みんな、聞いてね」
食事の後に、みんなを集めた。
「お姉ちゃん、明日から耕一さんの所に行こうと思うの」
「えっ、急にどうしたの?」
突然の事にみんな驚いている。
「まさか、耕一お兄ちゃんに何かあったの!!」
初音ちゃんがいち早く反応する。
「そういうわけじゃぁ無いのよ。ただ、耕一さん今、教育実習だっていってたから、毎日
疲れて大変なんじゃないかなって思って、ほら、私明日からお休みに入るから、それなら
耕一さんの為に部屋のお掃除や、お食事の用意でもして上げようかな〜って」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙の後、
「千鶴姉っ!あんた耕一に恨みでもあるのか」
「千鶴お姉ちゃん・・・耕一お兄ちゃん、今大事な時なんだよ」
「姉さん・・・・・・」
目でヤメテとうったえている。
千鶴さんが耕一のアパートに行くと言った時のみんなの反応は冷たかった。
再び電車の中。
「わたしはただ、耕一さんの為に部屋のお掃除したり、お食事を作ってあげたりしたいだけなのに」
ぶつぶつぶつ
「そりゃ〜梓みたいに料理が得意ってわけじゃないけど・・・精一杯心をこめてつくれば
耕一さんはきっとよろこんで食べてくれるはずよ」
ぶつぶつぶつ
「そうよ、きっと梓達はわたしだけが耕一さんに逢いに行くんでやっかんでいるんだわ。
そうよ、そうだわ、そうに違いない!」
ぶつぶつぶつ
「耕一さんまってて下さいね、今あなたの千鶴が逢いに行きますからね」
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ぶつぶつ独り言をつぶやく姿は、まさにあぶない人だった。
その頃耕一は、
「・・・と言うわけです。何か質問は?」
「は〜い、先生 彼女とかいるんですかぁ?」
お約束な状況に立たされていた。